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スペクトロ・アコースティック Model 217

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 全体の構成やコントロールのしかたに、ふつう使いなれた一般的なコントロールアンプと考え方の異なる部分が多く多少とまどったが、コントロールのピントが合うと、たいへんクリアーで切れこみの良い、夾雑物のないディテールまで見通しの良い音が楽しめる。ただし、ボリュウムコントロールを時計の針で10時あたりの角度以上に上げたところで使わないとそういう明るく切れ味の良い音にはならない。フォノ・ゲインが30dBと40dBに切換えられるので、ゲインを30dBに下げてボリュウムを上げるようにした方がいい。絞った場合はやや反応が鈍く曇ってそれでいてどこか硬質の音になってしまう。極上とはいえないが輸入品としての価格を考えると一応の水準の製品か。

スペクトロ・アコースティック Model 217

井上卓也

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 屈託なく、活気のある音をもっている。
 聴感上での周波数レンジは、現在の水準からすれば少しナローレンジ型に感じられるが、ナチュラルに伸びており、とくに不足を感じることはない。バランス的には、低域はやや軟調傾向があり、中低域にかけてある種の粘った印象に特長がある。中域は、量的には充分あるが密度が少し薄く、高域は粗粒子型と面があるが、ほどよく磨き込まれている。
 音の表彰はかなりアクティブで、表面的に感じられる面がなくはないが、価格的に考えれば充分のクォリティがある。なお、ボリュウムの回転角度により、キャラクターが変化する点は注意したいところである。

スペクトロ・アコースティック Model 217 + Model 202

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 コントロールアンプ、パワーアンプ双方とも、見た目がずいぶんユニークだ。デザインや仕上げやコントロール機能の整理のしかたなども含めて、どこかアマチュアの手づくりのセットというイメージが残っている。こういう作り方は、ほかにもDBシステムズやハフラーなど、アメリカで最近誕生しはじめた新顔のメーカーによく見受けられ、たとえていえば少し改まった会合へもジーンズで出かけるというような、良くいえば虚飾を排した気取りのなさ、いわば実質本位の作り方で、共通しているのは見た目や価格から想像するよりもはるかにしっかりしたグレイドの高い音が鳴ってくること。ただ、コントロールアンプ単体のところで書いたように、ボリュウムを絞ったポイントでは精彩を欠いた音になってしまうので注意が要るように、必ずしも上質のパーツが使われているとは思えない。スイッチ類の感触なども含めて、アメリカでもかなりローコストの製品であることを頭に置いて評価したい。

BGW Model 203, Model 410, スペクトロ・アコースティック Model 217

BGWのコントロールアンプModel 203、パワーアンプModel 410、スペクトロ・アコースティックのコントロールアンプModel 217の広告(輸入元:オーディオニックス)
(オーディオアクセサリー 8号掲載)

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