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マッキントッシュ MC7270

井上卓也

ステレオサウンド 84号(1987年9月発行)
特集・「50万円以上100万円未満の価格帯のパワーアンプ15機種のパーソナルテスト」より

バランスのよい安定感のある音である。低域は柔らかく、中低域の量感がタップリとあり、適度に硬さのある中域が、このアンプの潜在的な味わいの中核である。高域はなだらかに落ちているように聴こえる。プログラムソースには、かなりアクティブに働きかけ、バランスを保ちながら、雰囲気よく音楽を伝える。太鼓の連打では、予想よりも軟調な表現となり、瞬発力よりはジワッとした力感であるのが判る。音像はやや大きく、音場感はほぼ標準的か。

音質:81
魅力度:90

マッキントッシュ MC7270

菅野沖彦

ステレオサウンド 79号(1986年6月発行)

特集・「最新パワーアンプはスピーカーの魅力をどう抽きだしたか 推奨パワーアンプ39×代表スピーカー16 80通りのサウンドリポート」より

(マッキントッシュ XRT18での試聴)
 この優れたステレオフォニックスビーカーシステムにとってベストマッチのアンプであることが確認できた。ただ、JBL4344をあれほど魅力的に鳴らしたアンプだが、ここではXRT18の陰に廻って、そこから自然な音をさり気なく鳴らす縁の下の力持ちといった感じになる。しかし他のアンプで一通り鳴らした音を思い起こすと、やはりこの音がもっとも自然で素直で、かつ魅力的だ。音場の見透しといい、各楽音の質感といい、最高のレベルである。

マッキントッシュ MC7270

菅野沖彦

ステレオサウンド 79号(1986年6月発行)

特集・「最新パワーアンプはスピーカーの魅力をどう抽きだしたか 推奨パワーアンプ39×代表スピーカー16 80通りのサウンドリポート」より

(タンノイ GRF Memoryでの試聴)
 私の感覚では、もっともタンノイらしい音が、この組合せによって出たと思う。骨格とボディのバランスが中庸で、豊潤さが加わる。UTY5ほどしなやかではなく、510ほど骨格が目立たない鳴り方だ。クレーメルのヴァイオリンが力強く熱っぽい。アルグリッチのピアノが少し丸みが勝ち過ぎるようだが、大きな違和感ではない。弦合奏は優美しなやかな鳴り方より格調の高い毅然とした表情で、これがタンノイらしさだと思われる。スケールの大きな音。

マッキントッシュ MC7270

菅野沖彦

ステレオサウンド 79号(1986年6月発行)

特集・「CDプレーヤー・ダイレクト接続で聴く最新パワーアンプ48機種の実力テスト」より

 繊細にして豪放磊落、艶っぽく滑らかでいて清々しいという、表現のスケールもダイナミズムも桁違いの優れたアンプだと思う。ほとんどのアンプが細身になるか太めになるか、暖かいか冷たいか、力強いか繊細かという二極分化的傾向をもつものだが、これにはそれがない。そして自然に聴けると物足りないといった反面も残るものだが、これは、さわやかな充実感を感じるだけだ。前作2255をパワーで上廻り、質的にも向上したようである。完成度の高いアンプというのにつきるだろう。

音質:9.8
価格を考慮した魅力度:9.8

マッキントッシュ MC7270

井上卓也

ステレオサウンド 79号(1986年6月発行)

特集・「CDプレーヤー・ダイレクト接続で聴く最新パワーアンプ48機種の実力テスト」より

 柔らかく、しなやかで、フレキシビリティの高い音である。従来のマッキントッシュ独自の力強く、重厚で余裕のある音とは異なり、音色は軽く、表情はよりしなやかで、滑らかになったようだ。聴感上の帯域バランスはナチュラルで、適度に音の芯があり、とくに中域での粒立ちのよさは、さすがに、同社らしい味だ。プログラムソースとの対応は、基本的には自分の音として聴かせるタイプで、デジタル的な薄さが感じられず、アナログ的にまとまった音を聴かせる。個性の強い音だ。

音質:8.7
価格を考慮した魅力度:8.7