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ラックス MB3045

菅野沖彦

’81世界の最新セパレートアンプ総テスト(ステレオサウンド特別増刊・1981年夏発行)
「’81世界の最新セパレートアンプ総テスト」より

 管球式のモノーラル・パワーアンプで、60Wの出力をもっている。このぐらいのパワーがあれば現代の広Dレンジのプログラムソースも、まずまずカバーすることができる。真空管自体をはじめとして、往年の常識を越えた高性能管球式アンプといえるもので、別売のキットとともに、オーディオ界に嬉しい存在だ。心情的にはシャーシの薄さのためか、プロポーションが悪く、もう少し重厚さと暖かみがほしいところ。

音質の絶対評価:8

ラックス MB3045

瀬川冬樹

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

管球独特の弦や声の滑らかさを生かすにはTRプリとの組合せを推選。

ラックス MB3045

井上卓也

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 CL32との組合せでの音からくらべると、かなり活気があるクリアーな音である。聴感上での周波数レンジは、現在のパワーアンプの水準からすればやはり狭いが、中域の粒立ちがかなり明快であり、適度なエネルギー感があり、よい意味でのバンドパスフィルターとしてのアウトプットトランスのメリットが、音にあらわれている。
 全帯域にわたり音色は統一感があり、明るく伸びやかなタイプにコントロールされ、いわゆる管球アンプというイメージの生暖かい豊かな響きの音とはならず、スッキリと明快に、適度の反応の早さが感じられる音を聴かせる魅力があり、表情も活気があって、リッチなクォリティの高い音である。

ラックス MB3045

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 球と石という単純な分類には賛成しないが、トランジスターアンプでかなりの水準を実現させたラックスがあえて残しているだけの理由は、音を聴いてみて十分に納得できる。旧型の管球アンプの概して不得手な音の切れこみの悪さがこのアンプにはあまり感じられず、LNP2Lのように解像力の良いコントロールアンプと組み合わせることでいっそう引き締った現代的な面をみせながら、しかしマーク・レビンソンのときとして鋭くなりがちの高域を適度に甘くやわらげて、ついいつまでもボリュウムを絞りがたい気分にくつろがせてしまう。弦やヴォーカルには素晴らしく味わいの深い良い音を聴かせるが、打音に対していささか締りの不足する感じがやはり管球アンプの性格か。

ラックス CL32 + MB3045

瀬川冬樹

世界のコントロールアンプとパワーアンプ(ステレオサウンド別冊・1978年春発行)
「最新型94機種のテストリポート」より

 ラボラトリー・リファレンス・シリーズでトランジスター技術の粋をみせたラックスが、それでもあえて管球アンプを残しているのは、やはりトランジスターでは得られない何らかのメリットを認めているからに違いない。そのことは、音を聴いてみるとすぐにわかる。音楽が鳴り始めた瞬間から、ふっと肩の力が抜けてゆく感じで、テストしようなどという気負いを取り去ってくつろがせてしまうようなこの暖かい鳴り方はいったいどこからくる魅力なのだろう。解像力も甘いし、決して音を引き締めないから曲によっては少々手綱をゆるめすぎる傾向もなくはない。ただ、管球というイメージから想像されるような古めかしさはない。新しい傾向の音楽や新録音の魅力を十分に抽き出すだけの能力は持っていて、弦や声など、思わず、あ、いいなあ! と言いたくなるような親密感というのか、無機質でない暖かさに、ついひきこまれてしまう。こういう音を良いと感じるのは、こちらの年齢のせいなのだろうか。

ラックス MB3045

井上卓也

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 オーディオ用に新しく開発した出力管とドライバー管を採用しているのが、このMB3045の最大の魅力であろう。モノーラル構成のパワーアンプには、ダイナコMKVIがあるが、三極管でそれに匹敵するパワーを得ているのは、現在でも、過去でも、この製品の他に例はないはずである。いわゆる管球アンプらしい音よりは、パワフルであるだけに、マッシブであり、最新のディスクの利点を十分に聴かせるだけの性能がある。

ラックス MB3045

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 SQ38FD/IIのような耳当りのよい音ではなく、球としてはやや硬目の、ワイドレンジ型の音質といえる。したがって、管球ゆえの解像力の甘さという弱点はあまり感じさせずに、しかし弦やヴォーカルに球ならではの滑らかな暖かみを加えて鳴らす。CL30や32で鳴らすのが常識的かもしれないが、トランジスターのワイドレンジのプリアンプを組み合わせてみると、意外にフレッシュで充実した音が楽しめる。