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JBL L110

菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’79ベストバイ・コンポーネント」より

 現在の同社ブックシェルフの代表機種ともいえるが、いかにもJBLらしい明快な、それでいて豊かさもあるたのもしいスピーカー。とにかくプログラムソースに含まれている情報は克明に再現する。

JBL L110

菅野沖彦

最新ステレオ・プラン ’78(スイングジャーナル増刊・1978年7月発行)
「タイプ別本誌特選スピーカー42機種紹介・コンパクトスピーカー特選8機種」より

 JBLについてはいまさら申し上げることもないと思うがアメリカを代表するスピーカー・メーカーである。
 JBLはスピーカーのシステム化がたいへんにうまいところで、非常に数多くのシステムを出しているが、ユニットを合理的に組み合わせてシステム化しているのが、このメーカーのスピーカーのシステムの特徴だろう。ところが、L110というのはそうした中で今までになかったシステムというか、新設計のシステム。つまり、昔からのJBLのオーソドックスなスピーカーではなくて、新世代のJBLのスピーカーと言うことができる。JBLとしては非常に数少ないドーム・トゥイーターを使ったシステムの一つでウーファーは、ノン・コルゲーションの、これもJBLとしては珍しいタイプの、一つの新しいユニット構成によるブックシェルフ・スピーカーである。
 L110は大きさとしてもブックシェルフ型だから、JBLの中では最高級なスピーカーとは言えない。おそらく中級ということになる。構成はスリー・ウェイのスリー・スピーカーで、上がドーム型で、スコーカーとウーファーがコーン型。これがJBLのお得意のパイプ・ダクト式のバスレフの変形のエンクロージャーに納められている。デザインは全く新しいJBLのデザインで、従来のJBLのデザインから見ると、イメージがかなり変わったようだ。コンシューマ・ユースてありながら、ややプロフェショナルのモニター・スピーカーというふうな様相が濃くなった。だから、私のイメージでは、これはプロフェショナル・ユースのスピーカーというふうに受け取れるのだが……。
 さすがにJBLらしいすばらしいスピーカーに仕上がっていて、音の力というか抜けのある低音ということがよく言われるが、この場合はむしろ張りのある低音がいかにも魅力的。全帯域にわたって音のバランスはたいへんよく整えられていて、JBLのスピーカー共通の非常に積極的な表現である。決してソフトにぼかしてアラを出さないというのでなくて、ある音はそっくリズバスバ出してくるという積極的な表現のスピーカーだ。
 それだけに、このスピーカーを鳴らすには、プログラム・ソースからプレイヤー、アンプリファイアーに至るまでがハイクォリティのものでないと、どっかのバーツのアラをちゃんと出してしまうことになるだろう。JBLが妙な耳ざわりな音で鳴っているのは、必らずどこかに何かの欠陥があると言ってもいい。全体に欠陥がなければ、JBLは決して耳ざわりな荒々しい音を再生するスピーカーではない。
 組み合わせるアンプリファイアーとして、私はこのスピーカーをかなり高級なアンプで鳴らしたいと思う。セパレートアンプを組み合わせてみたいと思うので、ヤマハのC2、B2でいきたいと思う。それはこのスピーカーのもっているデザイン的なイメージからいっても、ブラックで統一したいと思うのと、音も相当緻密な精緻な感じで整えたいということによる。ヤマハのC2、B2のコンビネーションでL110を鳴らすことが、イメージ的にも音の面でも最もピッタリくるのではないかと思うのだ。      プレイヤーも外観上あまり明るい傾向のものではイメージに合わないのて、そういう意味から、アンプと同じヤマハのYP−D9がいいのではないか。あるいは、もう一つの候補として、サンスイのSR929を推薦したい。

JBL L110

菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

新しいコンセプションによるブックシェルフの最新型。