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オンキョー Integra A-755MKII

瀬川冬樹

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 ややウェットなタイプだが、耳当りが柔らかくキメの細かいニュアンスのよく出る音質は相当に品位が高い。パネルレイアウトや色調には、もう少し洗練された味が欲しいが。

オンキョー Integra A-755MKII

菅野沖彦

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 このクラスではずば抜けた品位の高い音質のアンプ。力感はまだ充分とはいえないが、従来の755のもつ透明感と滑らかさに一腰入った充実感が加わった。

オンキョー Integra A-755MKII

井上卓也

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 かなり愛嬌があり、人なつっこい庶民的な雰囲気をもったアンプである。プログラムソースは、かなりの幅をこなすが、気軽に楽しく聴ける点が特長といってよいだろう。

オンキョー Integra A-755

岩崎千明

スイングジャーナル 7月号(1973年6月発行)
「SJ選定 ベスト・バイ・ステレオ」より

 オンキョーがステレオに本腰を入れてからまだ6、7年しかたっていない。今日のリーダー的ステレオ専門メーカーが、昭和20年代から20年以上のキャリアを誇っている中にあっては、まあ後発メーカーといわれても何の不思議もない。しかし、スピーカーというステレオ・パーツの中でも、もっとも音楽的な感覚を要求される部分を手がけるキャリアは20年を軽く越しているのだから、後発というのはメーカーからすれば不当なりともいえる。
 しかし、ここ数年の驚くべき努力とそのみごとな成果によるこうしたメーカーの体制の変化は、後から割り込んだこのメーカーの実力を、業界のあらゆる分野に驚きとおののきをともなって知らしめたことは、まごうことなき事実なのだ。
 あらゆるアンプ・メーカーが、オンキョーの放つ新製品、特にそのアンプに注目し、市場に出るや否や、その製品の解析がライバル・メーカーの開発技術者のひとつの課題として、もはや定着してしまっている風潮がみられるほどだ。
 オンキョーのアンプ設計技術は、他社の新型を模することからはじまる中級アンプの大方の傾向とはまったく違って、常に新たなる設計理論の裏付けを持ち、国産メーカーには珍しくはっきりした形をとって輝いているのである。それも、このクラスの製品によくみられる生産性に比重を置いた技術ではなく、性能向上をはっきりめざした技術としてである。
「回路供給電圧を高くしただけじゃないか」といったライバル・メーカーの技術者がいるが、それがもたらす向上、ダイナミック・レンジの大幅なアップ、パワー段ドライバーの歪率の絶滅化、加えてそれらに反する安定性への大きな配慮など……こうした技術は次の時期の各社の製品にわがもの顔ですばやくとり入れられてしまうのだが、それに気付いたのはオンキョーのアンプが皮切りになっているはずだ。
 701からはじまり、725、733と経て、現在オンキョーの主力製品は755と、そのジュニア版766だ。近くそのトップ・レベルとして722が出るが、この3種のアンプ技術こそ、国産アンプの格段の飛躍の引き金となっていることは、広くは知られていない。
 だが、オンキョーという他の専門メーカーよりはいくらか弱いイメージのこのブランドの製品が、この半年間、日本のあらゆる市場で売れまくっているのは業界内部の常識である。これはユーザーは決しておろかではなく、知らないわけではないということを物語る痛快な事実だ。
 オンキョーのアンプは、中を開けるまでもなく、パネル・デザインも派手さがなく、おとなしくて控え目である。性能表示も決して誇大にしてはいない。しかし、このつつましやかなアンプが、いったんボリュームを上げたとき、そのしとやかな、ためらいがちな外観からは想像できないパワーとエネルギーをもたらすのである。30Wというのは、こんなにも力強いものなのかという実感をひしひしと味あわせてくれるのだ。
 カタログに記載されている表示値になかなか達することの少ない国産車なみのオーディオ・パーツの中にあって「うそのないアンプ」、これがオンキョーのアンプだ。
 インディアンのたわごとと軽くみるのはまちがっている。倍以上もする価格のアンプの発表データさえ当てにならず、規格どうりの出力はスイッチ・オン以後20分間だけ、あとは規格の70%でクリップしてしまい「それが当り前だ」といってはばからない「高級エリート向けアンプ」が少しも疑われずに大手を振っている国産アンプ業界なのだ。
 よく、オンキョーのアンプは真空管的だなどといわれるが、そういういい方よりも、「あらゆるアンプが最終的に到達するであろうと思われるサウンド」というべきだろう。3極管OTLにも近いし、超低歪率を狙った多量NFのトランジスタ・アンプにも似ている。こうしたサウンドはまじめなアンプ回路の追求から生れ出る以外のなにものでもない。
 オンキョーのアンプは755に限らず次の製品も次の製品も、常に多くのユーザーに支持され、多くのメーカーの注目するアンプであるに違いないと思うのである。

オンキョー Integra A-755

岩崎千明

スイングジャーナル 12月号(1972年11月発行)
「SJ選定新製品試聴記」より

 秋葉原でベストセラーのひとつとして、発表以来2年間、いまもって売れに売れているインテグラ725のオンキョーが、また、ベストセラーを狙う新型アンプを発表した。
 インテグラ755である。
 725が発表された時、これに接して、このクオリティーの高さと、それに対するペイとの比、つまり、コスト・パーフォーマンスという点で当時のアンプ市場で、画期的ともいえる注目すべき製品であったことを察し、いち早くそれを伝えたものだった。
 今回の新製品755も、また現時点におけるこのクラスのアンプの中にあって、725同様の地位を占めるに違いないことを予感し、それは725の場合のように、広くファンに伝えるべきが義務でもあると思う。
 インテグラ・シリーズと銘うったオンキョーのアンプは、725出現より約1年前からスタートを切った。しかし、そのあまりにオーソドックスなあり方と企画は必ずしもメーカー側の思惑どおりにはかどることがなかった。
 しかし、そのアンプ設計方針の手がたい正攻法は、725においてはっきりと実を結んだ。「コンピューターによる時定数の決定」という謳い文句は、宣伝だけのものではなく、アンプ設計の重要なポイントとしてクローズ・アップされてきたのはトランジスター・アンプ時代になってからである。それは段間直結が普及し、低音域が飛躍的にのぴトランジスター自体の改善により高域が目覚ましい帯域を獲得するや、ますます重要なファクターとなってきたのである。負帰還技術を駆使する現代の高性能アンプにとって、ハダカ特性、つまり負帰還をかける以前の回路の位相特性が、完成された状態のアンプのすべてをすら決定してしまうからである。インテグラ・シリーズにおいて、この点を追求したオンキョーのアンプ設計陣の狙いは正しかった。インテグラの725以後の製品がトランジスター・アンプにありがちだった「固い音」を一掃したのは、かつて位相特性を重視した設計の結実であり、勝利なのであるといえよう。
 725以後のオンキョーのアンプのすべてに、この格段の向上がみられ、すぐ続いて出た733は、さらにハイグレードの高性能をそなえた高級志向のアンプとして、725同様ハイレベルのマニアに柏手をもって迎えられ、725と並んでオンキョーのアンプ作りの見事な成果として実績を挙げて今日に到っている。
 ただ、それぞれについて、ひとこと注文をつけるなら、725はコンパクトにまとめたそのデザインが、物足りないし、733は価格的にもうちょっと購入しやすくして欲しいという点を加えたい。
 ところが この両者の長所をそっくり受け継いで、さきの注文をそっくりそのまま受け入れて、実現した新製品が出た。それが、今回の755なのである。こういえば、755がいかにすぐれ、いかにコスト・パーフォーマンスの点でも優れた製品かをお判りいただけるのではないかと思う。
 実際に内容をみると、まさに両者のイイところをそのまま組み合せたともいいたいほどで、プリ・アンプ部は725直系、パワー・アンプはハイ・パワーで鳴る733直系なのである。
 メーカー発表のデータの信頼度というのはそのままメーカーそれ自身の信頼度となるが、技術的にまじめなオンキョーの姿勢そのまま、755のデータは、私自身のチェックによっても発表値を少しも下まわることなく、きわめて高い信頼性を誇る。
 透明で暖みある音といわれるように、SJ試聴室においてフリーダム・レーベルの69年録音のスタンリー・カウエルのピアノが文字通り透明なひびきを室内いっぱいにみたし、ウッディ・ショーのペットがシャープに突ききさり、62年録音のニュージャズ・レーベルのバイアードの「ハイフライ」はプレゼンスも生々しく、楽器のサウンドを克明にえぐり出してくれたのである。

オンキョー Integra A-755, Integra A-766, Integra T-455

オンキョーのプリメインアンプIntegra A755、Integra A766、チューナーIntegra T455の広告
(ステレオ 1972年12月号掲載)

onkyo