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ダルクィスト DQ10

菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’79ベストバイ・コンポーネント」より

 ユニークな形状を採用したダイナミック型スピーカーで、フェーズドアレー方式と呼ばれる、各ユニットのボイスコイル一を同一平面上に揃える方式がとられている。

ダルクィスト DQ10

瀬川冬樹

ステレオサウンド 37号(1975年12月発行)
特集・「スピーカーシステムのすべて(下)最新40機種のテスト」より

 低音から高音までの音のこまかな起伏を塗りつぶしてしまうような、良くいえば細かな欠点もくるみ込んでしまうような、そして艶消しの感じの乾いた質感。オーケストラのレコードで総体のバランスに注意して聴いても、ピアノの音でもヴォーカルでも、大掴みなところのバランスは問題なくまとまっているのだが、例えば楽器の演奏にともなう附帯雑音──たとえば弦合奏のざわめくような、楽器の周囲に漂うような雰囲気感──までも塗りつぶしてしまう感じで、たとえばアンバーとンやバルバラのレコードで、ほかのスピーカーでは聴きとれる唇の湿った感じが出てきにくいし、どこか音の鮮度が落ちたようでいわゆるインティメイトな雰囲気が出にくい。まるで歌手が向うを向いて唱っているみたいだ。細かいことをいえば全域の中で低音域の質感が少し落ちる感じだが、そういうことより、すべてを無難にまとめたような作り方が私には全く魅力の欠けた音にしか思えない。いわば高級なイージーリスニング用には悪くないかもしれない。能率は低い方だ。

採点:82点

ダルクィスト DQ10

岩崎千明

ステレオサウンド 35号(1975年6月発行)
特集・「’75ベストバイ・コンポーネント」より

 Mr.ソール・マランツがこれと見込んだダルキストは、コンデンサーシステムの繊細な輝きとため息の出るような広帯域性とを豊かなハーモニーと共に再現できる音楽性を秘める。

ダルクィスト DQ10

岩崎千明

ステレオサウンド 31号(1974年6月発行)
特集・「オーディオ機器の魅力をさぐる」より

 新しいオーディオ界を目指しつつある米国において、特にスピーカーの新興勢力はめざましいばかりだ。ESS、ヴェガと並んで好評の、新参ダルキストの風変りな容姿と、澄みきったサウンドは新進メーカー中の白眉だ。その提唱するところの新たなる基本理論よりも音楽的、音響的なセンスが無類にすばらしい。その滑らかな中高音をそのまま超低域まで拡張したサウンドが、新たなる時代に羽ばたく要素となった傑作といえる。