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アキュフェーズ DP-100 + DC-101

菅野沖彦

ステレオサウンド 137号(2000年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング863選」より

アキュフェーズのSACDプレーヤーで世界初のセパレート型である。つまり初のディジタル出入力をもつSACDトランスポートであり、DACである。これはHS−Linkというディジタル・インターフェイスによるもので、同社のディジタル機器(DP75VとDC330)との接続でも威力を発揮する。SACDもCDも高品位な再生音だ。

デンオン DP-100M

井上卓也

ステレオサウンド 61号(1981年12月発行)
「THE BIG SOUND」より

 業務用プレーヤーシステムでは最高の性能と信頼性を誇るデンオンの最高級大型プレーヤーシステムが、現実に姿を見せたのは昨年のオーディオフェアであったが、今回、ついに製品として発売されることになった。
 受註生産として発売されるこのモデルには、電子制御方式の標準型トーンアームが付属したコンプリートなプレーヤーシステムDP100Mと、アームレスタイプのDP100の2機種があるが、その基本型には変りはない。
 デンオンのフォノモーターは、回転系性能を向上させるために、DD型の最初期からいちはやく高精度磁気記録検出方式によるスピード制御を開発。ほかにも回転の滑らかなACサーボモーター、クォーツ位相制御をはじめ、アコースティックフィードバック対策として開発された2重構造ターンテーブルやアームフローティング機構、さらに水平・垂直両方向を電子的にダンピングする電子サーボアームなど、独自の技術内容をもつ開発がアクティブに行なわれており、すでにもっとも信頼すべきメーカーという高い評価を確立している。
 今回、DP100Mに採用されたモーターは、本来カッティングレーサーや放送局用プレーヤー用に開発されたアウターローターAC3相サーボ型で、AC3相駆動方式とすることにより、振動や逆転トルクとして働く回転磁界の3の倍数次高調波が打ち消し可能となった。また、ローターとステーターの間にギャップ差があっても磁束が自動的に均一となる特殊巻線方法、防振構造の採用とあいまって、SN比90dB(DIN−B)とワウ・フラッター0・003%WRMS(回転系)を実現している。
 ターンテーブルは、重量6・5kgの厚肉アルミ鋳物製。モーターのローターに固定された下部ターンテーブルとレコードを載せる上部ターンテーブルは、フルイドダンパーとスプリングによる2重構造で、音響的ハウリングに強く、固有振動が少ない独自の機構設計である。 
 モーターシャフトは直径14mm、SU304材を使用し熱処理、研磨、ラッピング仕上げが施されている。ラジアル軸受けは銅錫合金系材料を使用、スラスト軸受けはサファイア使用であり、ターンテーブルに8G以上の外力が加わると緩衝機構が動作して保護する設計だ。
 トーンアームは電子制御型で、トーンアームの低域共振による影響を最少値とする低域カットオフ周波数調整と、低域共振レベルを抑えるダンピング量の調整が可能である。針圧対応アンチスケーティング機構、アームリフターも電子的にコントロールされ、リフターの下降スピードも微調整が可能だ。機構的には、ストレートとS字型パイプアーム交換方式のスタティックバランス型。ストレートアームのヘッドシェルは、3層ラミネート構造による無共振型である。なお、高さ調整はヘリコイド式で、約8mmの範囲で可変することができる。トーンアーム取り付け部分は、ターンテーブルと同様、スプリングとオイルダンパーによりフレームは重量級の厚肉アルミ鋳物製で、スプリングとオイルダンパーにより固有振動を3・5Hzに設定したインシュレーターを装備する。このインシュレーターは、付属の6角レンチを用いて最大10mmの高さ調整が可能であるため、プレーヤーの水平をとることもたやすい。
 操作系では、15mm厚のガラスを使用した自照式パワースイッチとスタート/ストップスイッチ、回転数およびピッチのデジタル表示窓と並び、右端にはアームリフタースイッチを配している。ポケット内にはSPレコード用の78回転を含む3スピードの回転数切替、0・1%ピッチで±9・9%までクォーツロックのまま可変で切るシンセサイザーピッチコントロールのプッシュボタン・スイッチ、ダンピング、カットオフ周波数、リフター降下速度、アンチスケート調整の回転型ツマミが収納されている。
 DP100MにS字型パイプをマウントし、重量級MC型カートリッジから軽量級MM型カートリッジにいたるまで、数種類の製品を使って試聴をはじめる。基本的には、スムーズでキメ細かく滑らかな帯域レスポンスがナチュラルに伸びた、デンオンのサウンドポリシーを備えている。しかし、カッターレーサー用のモーターを備えた、全重量48kgという超重量級システムであるだけに、重心は低い。本来の意味での安定感が実感できる低域をベースとした、密度の濃い充実した再生音は、DD型はもちろん、ベルトや糸ドライブ型まで全製品を含めたシステム中でのリファレンスシステムという印象である。この表現は、このDP100Mのために用意されていた言葉である、といいたいほどの音質、信頼性、性能の高さをもつ。カートリッジによって低域カットオフ周波数調整はシャープな効果を示し、その最適値を聴感上で明瞭に検知することは、予想よりもはるかにたやすい。総合的に見事な製品である。