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オーディオクラフト AC-10E

菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」より

レコードからレコードらしい音の魅力を拾い上げる製品。

オーディオクラフト AC-10E

瀬川冬樹

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 国産のカートリッジが、概して中〜高域にエネルギーバランスが集まりがちで、言いかえればオーケストラのトゥッティ等でやや派手やかすぎのカン高い音を鳴らす中で、オーディオクラフトのカートリッジは、中〜高域をむしろおさえこんで、低域に厚みを持たせた、国産には得がたいバランスで聴かせる。

オーディオクラフト AC-10E

菅野沖彦

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」より

 オーディオクラフトのシェルつきカートリッジで、発電方式はMM型である。このカートリッジの音は、国産には珍しい味わいをもっていて、いたずらに周波数レンジの広さの誇示が感じられず、充実したサウンドである。高域に肉付があり、無機的な音の多い国産品の中では、ユニークな存在としてあげられる。

オーディオクラフト AC-10E

井上卓也

ステレオサウンド 39号(1976年6月発行)
特集・「世界のカートリッジ123機種の総試聴記」より

 オーディオクラフトのカートリッジAC10Eは、全体の音の傾向として、最近同社から発売されたコントロールアンプAC3001と似た音をもっている。
 聴感上の帯域バランスは、無理がなく自然にコントロールされ、歪感がなく、おだやかで、大人っぽい印象があるのが特長である。全体に音の粒立ちは細かいタイプで、滑らかな柔らかさがあり、艶やかさもあるために、表情はおだやかである。低域から中低域にかけての質感は甘く、軽い音であるために、ビートが効いたリズミックなプログラムソースではやや不満が残るが、逆に、適度に音場感を感じさせるような適度の間接音が全体の音をフワリと包んで響くあたりはメリットと思う。音と対決して聴き込むタイプではないがマイルドな性質は好ましい感じである。

オーディオクラフト AC-10E

岩崎千明

ステレオサウンド 39号(1976年6月発行)
特集・「世界のカートリッジ123機種の総試聴記」より

 オーディオクラフトは、オイルダンプ型トーンアームで一躍脚光を浴びたメーカーだが、最近ではフラットタイプのシンプルなプリアンプAC3001を発表した。
 アームをスタート台にした、このもっとも新しいブランドのカートリッジは、新進メーカーらしく、新しい音を狙っている事はよく理解できる。決して単なる広帯域再生だけを求めず、バランスの良さの中に、音楽性を少しでもあざやかに盛り込もうと考えている。しかし力強さが音域の中の高域に片寄っているためか、演奏曲によってはそれが少しばかり気になって低域での充実感が欲しくなってくる。歌の声の乾いた感じも少し気になる。楽器なら輝やきというプラスも声ではそうではなくなってきてしまうのが残念だ。ステレオ感の再現性についても、かなり自然さをもっていて無理がないのだが、しっかりとした安定感をもう少し望みたいと思わせるところがあり、今ひとつ決らないもどかしさが感じられてしまう。つまり、ダイレクトカッティングの良さが別な意味で、その良さを薄くしてしまうのが残念だ。

オーディオクラフト AC-10E

オーディオクラフトのカートリッジAC10Eの広告
(オーディオアクセサリー 1号掲載)

AC10E