ボザーク B410 Moorish

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 アメリカのボザークは、オール・コーン・スピーカーのマルチ・システムという一貫したポリシーで、クラシックなデザインのエンクロージュアに収めた高級システムをつくっている。その節度ある渋い音色と、品位のの高いクォリティは、高級ファンの中に根強い支持層をもっているようだ。このB410はシリーズ中の最高機種で、〝ザ・コンサート・グランド〟の異名を持つ。計14個のユニットから放射される音は圧巻である。

ヴィソニック David 50

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 西独・ヴィソニックの開発した、超小型本格的スピーカー・システムである。17×10.7×10.3cmという完全密閉型の高密度エンクロージュアに9.8cmウーファーと1.9cmドーム・トゥイーターがつまっている。ムーヴィング・ストロークの大きいウーファーはハイ・コンプライアンスと相俟って、外観から想像できない豊かな低音を再現するし、全帯域にわたって、きわめてエッジ・オブ・サウンドの明確な再生音だ。

ヴァイタヴォックス CN191 ConerHorn

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 イギリスのヴァイタヴォックス社は、ほぼ半世紀にわたる歴史を持つメーカーで、プロフェッショナル機器を専門に製造している。したがって同社のスピーカーは、米国アルテック社と相通じ、劇場・ホール用、スタジオ用として高い名声を得ている。このCN191というシステムは複雑なホールデッド・ホーンでしられるクリップシュ氏の設計になるホーン・エンクロージュアに38cmウーファーとホーン・ドライバーを収めた2ウェイである。

スペンドール BCIII

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 イギリスのスペンドールは比較的新しいメーカーだが、その製品への信頼度は非常に高い。BBCのモニター・スピーカーの規格にもとづいて開発された同社のシステム中、このBCIIIは、シリーズ中の上級機種で、かなり大型のシステムである。独特なユニット構成で、30cmのプラスティック・コーンをベースにした4ウェイ・4スピーカーである。仕上げの高いエンクロージュアもこのスピーカーの音の美しさの要因だろう。

ダイナコ Stereo 400MA

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 アメリカのアンプ・メーカーとして、すでに長い間馴染みのあるダイナコの現役シリーズの最高製品が、この400MAであり、これからパワー・インディケイターを取り除いた400Aというモデルと共に、ダイナコ製品群の旗艦だ。200W+200Wの出力を持つ。ドライバー段はA級動作で、スイッチング歪の少ない小レベル時の音質を重視した設計だ。大型ヒートシンクにより放熱効果をあげているが、オプションでファンもつく。

エレクトロボイス Interface:A

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 アメリカのエレクトロボイス社は、スピーカー、マイクロフォンの専門メーカーで、長い歴史と高度なテクノロジーを持つ名門である。インターフェイスAは、ユニークな構成のシステムで、ウーファー20cmに25cmパッシヴラジエイター、そしてフロントにメタルドーム付の5cm径のトゥイーター、そして背面にも同サイズのトゥイーターを備える。専用イコライザーが用意され、ルーム・アコースティックに対処する。ペアで売られる。

タンノイ Arden

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 名門タンノイが生れ変ったニュー・シリーズ中の最高機種が、このアーデンである。
 伝統的のコアキシャル同軸ユニットHPD385Aは38.5cmウーファーとトゥイーターのカップリングである。この優れたユニットを、フロアー・タイプの大型バスレフ・エンクロージュアに入れたアーデンは、往年のタンノイの伝統が生きた優れた新鋭機といえるだろう。豊かな音は、格調高いタンノイのそれであり、堂々たる再生音を満喫できるもの。

QUAD ESL

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 イギリスのクォードは、きわめて主張と個性の強いメーカーで、その製品の種類はきわめて少ない。常にプリアンプ、チューナー、パワーアンプ、スピーカーをその時々に一通りそろえているだけだ。スピーカーは、このESLが唯一のもので、その名の示す通りエレクトロスタティック型である。繊細きわまりない高域の美しさと、優美なデザインが特徴で、ラウドネスさえ望まなければ、最高品位の再生音が得られる。

フェログラフ S1

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 イギリス・フェログラフ社は、テープレコーダーでその名を知られたメーカーであるが、同社が開発した傑作スピーカー・システムがこのS1である。ウーファーは楕円型のプラスティック・コーン、スコーカーが10cm口径のコーン型、トゥイーターはドーム型である。エンクロージュアはバスレフ式で、きわめて現代的な美しいプロポーションと仕上げを見せる。すっきりとのびる高域を低域が豊かに支え、大変品の高い再生音が得られる。

ジェニングス・リサーチ The Amp

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 アメリカの新生メーカー、ジェニングス・リサーチは、スピーカー・システムにおいても注目に価する製品を我々の前に見聴きさせてくれた。このザ・アンプと名づけられた製品も、一見して魅力のあるパワーアンプである。200W+200Wの大出力をもつパワーアンプとは思えぬコンパクトなもので、詳細は不明だが短時間の試聴の限りでも、きわめてタッチの明確な明るい音であった。華麗なサウンドという印象である。

アナログ ANALOGUE 520

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 アメリカのエレクトロニクス・エンジニアリングのひとつの顔といってよい。きわめてモダーンでドライなテクノロジーにより開発されたプリアンプ。その名前からも伺えるように、コンピューター・テクノロジーのオーディオへの導入により、徹底的にアナライズされたデータにもとずき開発された製品。ほとんどのパーツはプラグ・イン・モジュール化され、ワイアリングは最少限に押えられている。

タンノイ Cheviot

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 イギリスの伝統的なスピーカー・メーカー、タンノイの新しいシリーズ中の中間機種がこのチェビオットである。使用ユニットは、タンノイの伝統的なコアキシャル・2ウェイの全帯域スピーカー・ユニットで、これはこの一つ下のクラスのデヴォンと共通のHPD315Aという31・5cm口径のもの。エンクロージュアがデヴォンより大きく、チェビオットから上が、台座つきのフロアー・タイプとなる。堂々とした重厚な再生音だ。

AGI Model 511

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 アメリカのAGIが作ったプリアンプで、動特性重視のハイ・スピード・アンプを標榜して登場した。つまり、過度特性を重視して設計されたスルーレイトにウェイトを置いた新しい回路の見つめ方であるが、外観からも、往年のマランツ7、7Tのトラディションが流れている。パネル・デザインからも解るように必要最低限にコントロール機能を整理している。生き生きとした音質の高級プリアンプ。

ゲイル GS-401A

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 イギリスのゲイル・エレクトロニクスが発売するシステムで、大変ユニークでオリジナリティに溢れた製品である。構成は、3ウェイ4スピーカーで、20cmウーファーのトゥインドライブで豊かな低域再生を得ている。中域は10cmのコーン・スピーカーだが、よくコントロールされた振動板の設計だ。トゥイーターは1.9cmのドーム型である。401Aはブラックとクロームのユニークな感覚を見せるモダーンなデザインもポイントだ。

クワトレ DG-250

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 アメリカのクワトレのパワーアンプで125W+125Wを持つ。いかにもパワーアンプらしい、簡素なまとめで、よけいな飾り気はまったくない。ブラック・ボックスという感じで、背面のヒートシンクが、パワー・ディバイスの存在を認識させる。ゆっくり試聴してはいないが、音質は、がっちりとしたソリッド感をもったもので、エッジ・オブ・サウンドは明解である。価格もリーズナブルな高級パワーアンプといえる。

スペンドール BCII

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 スペンドールのシリーズ中、もっとも、バランスよくまとまった傑作といってよいのが、このBCIIで、やや縦長のプロポーションをもった中型ブックシェルフ・システムである。構成は3ウェイ3スピーカーだが、2ウェイで時稀有分、全帯域をカバーして、その上にスーパー・トゥイーターを附加した作りである。比較的薄いが堅いエンクロージュアは、いかにも音のよさを物語る。透明で暖かい艶のある音は、大変品がいい。

ESS amt1

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 アメリカ生れのユニークなスピーカー・システムである。特長は、ハイル・ドライバーと呼ばれる新方式のトゥイーターで、アコーディオン・プリーツ状のプラスティック振動板が伸縮し、呼吸するように音圧を放射する。その原理構造も、外観上も、オリジナリティとユニークさに溢れたものだ。これを25cm口径のウーファーと600Hzでクロスオーバーさせた2ウェイ・システムで、きわめて繊細華麗な高音が今までにない新鮮な響きだ。

DBシステムズ DB-1

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 きわめてシンプルでコンパクトなプリアンプで、これも増幅度をった針金の基本思想から開発された製品だろう。黒い小箱のイメージをもったマニアライクなアンプである。マークレビンソン同様電源コンセントを差しておく限り常に入りっぱなしであるというそっけなさも、この製品のポリシーを示しているようだ。いかにも、現代のテクノロジーによるドライなコンセプションだがオリジナリティとユニークさは注目に値する。

クインテッセンス Preamplifier 1A

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 アメリカのクインテッセンスの作る、大変シンプルなプリアンプで〝増幅度をもった針金〟という理想にもとずいて開発された姿勢が伺われる。外観もブラック・パネルのシンプルなものだし、中味もIC化された超現代アンプである。トーンコントロールやフィルター類は全部省かれ、モードセレクターもないしテープダビングのコントロールも不能。いかにもマニアライクでモダンなコンセプションによる製品だ。

QUAD 405

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 クォードが従来のパワーアンプ303に加えてよりパワーの大きいアンプの要求に応えて出したのがこの405である。しかし、さすがにクォードはただのパワーアップに止まらず同時にクォリティ・アップをも実現した。カレント・ダンピングと称する新回路の採用で歪を大幅に押え、音質の向上を果たしたのである。パワーは100ワット/チャンネルで、能率の低いESLスピーカーを理想的にドライブできるものになった。

オーディオリサーチ D-150

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 アメリカのオーディオリサーチ社は現在も管球式アンプだけを作るメーカーである。このD150は同社の最高級パワーアンプで150W/チャンネルの出力をもっている。6550真空管を10本、冷却ファン3個をもつ巨大なアンプでAC電圧計中央に、左右にパワー・メーターを配したパネルはいかにも重量級の風格だ。グリッド・バイアス電源の調整も可能という。管球式アンプのファンには魅力たっぷりのもの。

ハーマンカードン Citation 11

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 ハーマンカードンは、歴史のあるアンプ・メーカーとしてアメリカではダイナコと並んでシェアーを持っている。サイテイション11は現役のプリアンプで新しい回路構成を持っているが、そのイメージは昔ながらのハーマンカードンのサイテイションを引継ぐオーソドックスなものだ。5素子のイコライザーを内蔵し、きわめてすっきりとまとまった使いやすさが好ましい。価格も輸入品としては手頃である。

マークレビンソン LNP-2L

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 マーク・レヴィンソンという名前の示すように同名のオーディオマニアが、あらゆる贅を尽くして作り上げた最高級プリアンプである。選び抜かれたパーツの一つ一つにその意気込みと、最新のテクノロジーが感じられる。全体はモジュール8個による構成で、いかにも現代アンプの代表的存在にふさわしい。この製品は最新の改良型で従来のものより、さらに安定したコントロールが実現している。使い手にはかなりの知識が必要だ。

スレッショルド 800A

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 アメリカのスレッショルドは、最近登場したニュー・フェイスで、この800Aはあらゆる点で話題性に富んだ超弩級のパワーアンプである。定格出力は8Ω負荷時、20Hz〜20kHzの帯域で両チャンネル駆動時において片チャンネルあたり200Wということになっている。しかし、瞬間パワーは片チャンネル1kWを越える実力をもつといわれる。111万円という価格も凄いが、こういう超弩級はオーディオの世界に大きな夢をもたせてくれる。

QUAD 33

菅野沖彦

ステレオ別冊「あなたのステレオ設計 ’77」(1977年夏発行)
「’77優良コンポーネントカタログ」より

 イギリスのクォードの現役プリアンプで、いかにもこの社の製品らしいセンスの溢れた美しいプリアンプである。家庭で使う再生装置はかくあるべしというクォードの思想を強く前面に押し出しているのが、この社の製品の特色で、このユニークな美しさからもそれがわかるだろう。シンプルな中にも豊富なコントロール機能を持っている。端正な癖のない音だが、クォードらしいバランスと質感に個性が感じられる。