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B&W DM2

瀬川冬樹

ステレオサウンド 29号(1973年12月発行)
特集・「最新ブックシェルフスピーカーのすべて(下)」より

 ドンシャリ型という表現ほどではないにしても低音のごく低いところで音に弾みとふくらみを持たせ、中域ぜんたいを抑え気味にし、高音域には独特の華やかな色彩を感じさせる。イギリスのスピーカーのひとつの典型で、ひと世代前のKEFなどにもこういう傾向があった。こういうタイプのスピーカーは、女性ヴォーカルの艶や弦合奏のオーヴァートーンを少しばかり色気過剰に鳴らすが、そこに一種の麻薬的な要素もあって、この音にとり憑かれると、ほかの鳴り方では満足できなくなるような魅力もある。しかしそれは弱点と裏腹の魅力とも言えるもので、男声の音域、オーケストラの厚みを表現する中低音域がことに抑えられているので、線が細いひっそり型で、そしてパワーに弱い鳴り方を嫌う人にはまったく受けつけない音でもある。しかし中低域が出ないわけではないことは、オーケストラの内声部のパートの動きもよく聴きとれ美しくハモって聴こえることからもわかり、ただ表面的には柔らかく芯の弱い音に聴こえるところが独特だといえる。高域のレインジがきわめて広く、従って28号の92ページや107ページに書いたような雰囲気(プレゼンス)を、このスピーカーは確実に聴かせてくれる。

周波数レンジ:☆☆☆☆
質感:☆☆☆☆
ダイナミックレンジ:☆☆☆
解像力:☆☆☆☆
余韻:☆☆☆☆
プレゼンス:☆☆☆☆
魅力:☆☆☆☆

総合評価:☆☆☆☆

B&W 70 Continental, DM-1

B&Wのスピーカーシステム70 Continental、DM1の広告(輸入元:ラックス)
(ステレオ 1972年12月号掲載)

bw

B&W 70 Continental, ラックス LX77

B&Wのスピーカーシステム70 Continental、ラックスのスピーカーシステムLX77の広告
(ステレオ 1972年11月号掲載)

B&W

B&W 70 Continental, DM-1

B&Wのスピーカーシステム70 Continental、DM1の広告(輸入元:ラックス)
(ステレオ 1972年10月号掲載)

B&W

ラックス SQ38FD, CL35II, MQ36, MQ60, LX77, BOSE 501, 901, B&W DM-1, 70 Continental

ラックスのプリメインアンプSQ38FD、コントロールアンプCL35II、パワーアンプMQ36、MQ60、スピーカーシステムLX77、BOSEのスピーカーシステム501、901、B&WのスピーカーシステムDM1、70 Continentalの広告
(スイングジャーナル 1972年7月号掲載)

Lux

オルトフォン MF15, SL15, B&W DM3

オルトフォンのカートリッジMF15、SL15、B&WのスピーカーシステムDM3の広告(輸入元:オーディオニックス)
(スイングジャーナル 1971年1月号掲載)

ortofon

オルトフォン M15, SPU-G, SL15, B&W DM3

オルトフォンのカートリッジM15、SPU-G、SL15、B&WのスピーカーシステムDM3の広告(輸入元:オーディオニックス)
(スイングジャーナル 1970年12月号掲載)

ortofon

B&W DM3

瀬川冬樹

ステレオサウンド 16号(1970年9月発行)
特集・「スピーカーシステム最新53機種の試聴テスト」より

 今回テストしたものは、キャビネットを日本で作ったもののようで、8万円台の製品としては外装や仕上げに高級感が欠けているのがちょっと気になるが、試聴したモデルについていえば、なかなか品位の高い、澄んだ美しい音質を持っていた。キャビネットが割合に大きいためと、EMI製のダエン型ウーファーの低音がもともと良いために、低音はやわらかくたっぷりしているが、中低音から中高音まで全体にわたって音の厚味がやや不足して、高音はしゃくれ上るようで、バランスの上でも難点があるが、これはトーン・コントロールで十分にカヴァーできる。つややかな中高音の美しさは、IIILZやディットン15と一脈通じる、まがいもないイギリスの音質だ。オリジナル・エンクロージュア入りの音質をぜひ聴いてみて頂きたい。

採点表
大編成:★★★★
小編成:★★★★
独奏:★★★★
声楽:★★★
音の品位:★★★★
音のバランス:★★★
音域の広さ:★★★★
能率:★★★
デザイン:★★★
コストパフォーマンス:★★
(準推薦)