オンキョーのスピーカーシステムU4500、E53Aの広告
(スイングジャーナル 1971年12月号掲載)
Category Archives: 国内ブランド - Page 160
オンキョー U-4500, E-53A
テクニクス SB-30, SB-50, SB-100, SB-300, SB-310, SB-400, SB-500, SB-600, SB-700, SU-3100, SU-3400, SU-3600, SU-50A, ST-3100, ST-3400, ST-3600, SL-30, SL-40, EPC-205C, EPC-260C, EPC-280C
ナガオカ CALMONIX JN-301
Lo-D IA-1000
パイオニア MU-3000
ラックス LX77, BOSE 901
オットー DCA-1300, FMT-1300
サンスイ QS-1, QS-10, QS-100
トリオ KR-5170, KL-2060, KP-2022
サンスイ FR-2060
テクニクス RS-262U, RS-270U, RS-275U, RS-715U, RS-720U, RS-732U, RS-736U, RS-74OU
パイオニア T-3100, T-3300
パイオニア SM-3000, SM-101
フィデリティ・リサーチ FR-54
岩崎千明
電波科学 12月号(1971年11月発行)
「実戦的パーツレビュー」より
FRというブランドで、高級マニアの間でひろく親しまれているカートリッジとアームのメーカーであるフィデリティ・リサーチが、久しぶりにアームの新形FR54を発売した。
ステレオ業界の中でも、メーカーの数の多いこの分野では、急速に進む技術開発に加え、宣伝的な要素もあって新製品の発表がかなり早いサイクルでなされているのが通例である。
この中にあって、FRは体質的に共通点のあるグレースとともに、新形発表のチャンスの少ないメーカーである。
ひとたび市場に送った製品はこれを基に新技術を加えて、いつの時代においても、性能上の高い水準に保つべく努力を積み重ねていく、といった姿勢をくずさない。これは、国内メーカーに少なく、海外メーカー、特に歴史のある老舗によくみられる特長である。
これが、商業ベース上メーカーとして好ましいかどうかは別として、自社の技術に自信と誇をもっていなければ保つことのできないのは確かな事実だ。
そして、この色彩を一段と濃く持っているのがFRなのである。
こう語れば新製品FR54は、同社の従来の軽量級アームFR24とは、全然違ったアームであることがお判りだろう。
FR24が軽針圧用と、最初から銘うってカートリッジ自重が2grから12grの範囲と使用目的をしぼっているのに対し、FR54は自重4grから32gr、つまり市販カートリッジ中もっとも重い、オルトフォンSPU/GTさえう装着使用できる数少ない万能形の高級アームである。ただ、はっきりしておきたいのは、万能形であっても、無論その性能は、FR24そのものの高感度など動作を上まわるこそすれ、決して下まわるということはない。
つまり、カートリッジのトレース特性さえ十分に優れていれば、このアームはなんと0.7grで普遍的カッティングレベルのレコードを完全にトレースすることができる。それはシュアV15IIにしろ、ADC25にしろ、エンパイアにしろ、オルトフォンM15にしろ、さらにFR5Eにしても、このアームの組合せにより、最良コンディションで動作してくれることを約束するのである。
オルトフォンといえば、このFRの新形アームは、オルトフォンの新しいアームと、あらゆる無駄を廃した現代的デザインの共通点を感じる。
2つ並べてみると、オルトフォンがゆるやかに彎曲するSカーブを打出しているのに対して、このFRは、ストレートな直線を組み合わせたS寺アームである。その組合せも、FRならではの実に美しい組み方が、メカニックな中にも品格と優雅なたたずまいをかもし出しているのである。
FRのこの姿はすでに2ヵ月前から広告写真で知っていたのだが、現物を前にすると、とうてい写真の上では感じとられ得ない気品に圧倒される。
欧州オーディオ界にあってずば抜けた技術と伝統とを誇るオルトフォンのアームと並べてみると、両者とも、風格と精密技術の粋を感じるが、FRの方には、それに加えて気品の高ささえただよい出ているのが感じられる。オルトフォンの、冷徹なはだを強調したメタリックなタッチとは対称的といえよう。
さて、シンプルなデザインの美しさにふれすぎたが、このFR54の真髄は、そのアーム本来の再生にもある。
アームをFR24からFR54に換えて、針を音溝に落すときにこそ、このアームが発売されたもうびとつの理由が判るに違いない。メーカーの追究する音楽再生の技術の、限りない向上が4年間の間に、2つのアームを出すべき態勢というか、責任というかを育ててきたのであろう。
このFR54によって、まるでカートリッジはその低域から中域に及ぶ中声域全般にわたって音の豊かさと深さとが加わって、ソロの圧力がひときわ冴える、といってもいいすぎではなかろう。尋ねてみると、このアームの質量分布は、音楽再生の目的で、今まで以上に留意されて設計されたときく。
軸受けまでのアーム自体が6mm径から10mm径に改められたのは、単に万能の目的だけではなかったとみた。
ハウリングというディスク演奏上の宿命的欠陥も、このアームは格段と押さえることができ、使いやすくなったというのもうなづけられる。
使いやすいといえば、カウンターウェイトのロックが、FR24と違ってアーム上の小さなポッチを押すだけで外れて、回転調整できるようになったのも、小さいことなのだが、大きな進歩だ。
アイワ TP-1100, TPR-2001
サンスイ AU-888, TU-888
オタリ MX-5000
菅野沖彦
スイングジャーナル 11月号(1971年10月発行)
「SJ選定新製品試聴記」より
テープレコーダー・メーカーとしての小谷電機(オタリ)の名前は一般には耳新しいかもしれない。事実そんなに古い会社ではないが、それでも創立以来7年目を迎える。そして、この会社の製品は、デュプリケーター、マスター・レコーダーの分野ではプロの間で既に有名で、特にデュプリケーターのシェアは圧倒的。一部、外国製品をのぞいて、ほとんどのミュージック・テープ・メーカーでは同社のものを使っている。8トラック・カートリッジのブームに乗って急激に成長したメーカーである。プリントの送り出しマスターとして必要なマルチ・トラック・テレコも手がけ、それらの技術をそのまま生かせるスタジオ用のテレコも製造している。したがって、その名は直接知らなくても、プログラム・ソースを通して、多くの人がオタリ製品の音を聴いていることになる。社長自身がエンジニアで、若く、はつらつとした体質をもったメーカーなのである。
ところが、この専門メーカーとしての技術を一般のコンシュマー・プロダクツに生かした製品が、今回御紹介するMX5000という4トラック・オープン・リール・デッキである。この製品の前に、MX7000という2トラック・38cm/sをメイン・フューチュアーとしたデッキが発売されているが、これは一般用というより、むしろ、セミプロ級の機器であった。MX5000がオタリの初めての一般オーディオ・マニアとの接触点とみてよいだろう。
いきなり苦言を呈するのは、いささか気がひけないでもないが、同社の製品はその堅実で充実した内容にも拘わらず、なんともセンスの悪いデザインであって、プロ機として工場やラボの中でならともかく、アマチュアの音楽的雰囲気豊かな部屋へとけこむにはなんとも見栄えのしないのが残念である。この感覚でほ、巌しいマニアの目には耐えられないといわざるを得ない。技術が丸裸で飛び出したというのが誇張のないところであって、素材や、加工にお金がかかっていながら、それらを生かし切っていない。よく見れば、手造りらしい好ましい雰囲気や、まじめな製作態度がよくわかるのだが……、これから同社か第一線メーカーとして飛躍するのに直面しなければならない問題といえるだろう。
このような苦言は、私があえて言及するまでもなく、それぞれのユーザーの目に明白に見えることだが、あえて、このことに触れたのは、その内容のよさのゆえである。つまりなんとか、この点だけを改めれば、第一級の製品と思えるからこそである。
MX5000は3モーター、4ヘッドの高級4トラ・デッキで、きわめてオーソドックスな設計思想による製品だ。サウンド・オン・サウンド、エコー回路、オートリバース(再生のみ)といったアクセサリー機能を備えてはいるが、その基本的な性格は、プロ用の3モーター、3ヘッド・デッキにあって、これをグレードを落さずにコンシュマー製品にしたものと思える。トランスポートはヒステリシス・シンクロナス・モーターでキャプスタンをベルト駆動、サプライ、テイク・アップにはそれぞれ余裕のあるインダクション・モーターを使っている。走行系のレイアウトもアンペックス式のごくありきたりのもので、それだけに信頼度が高い。操作ボタンはよく考えられた碁盤型のプッシュ式でリレー・コントロールである。スクエアーなプッシュ・ボタンを採用しているので、押すポジションによって動作がやや不確実になるのが惜しまれるが、レイアウトのアイデアは高く評価したい。エレクトロニックスは、3段直結ICを使用し、現時点でのテープに広く適用するように半固定のバイアス・アジャストをそなえている。スイッチによる大ざっばな切換えではなく、オシレーターを使ってのバイアス・アジャストとした点にもこの製品が、ハイ・レベルのユーザーを狙ったものであることが知れるだろう。実際に使用してみて、その使いよさ、堅実性はプロ機そのものといってよく、録再オーバーオールでの特性ははよく確保され、ソースとモニターの切換試聴でも、かなり優れた性能を知ることができた。高域でのトーン・クォリティーはきわめてナチュラルなのが好ましく、表面的な音造りなどという姑息は感じられなかった。実質的に大変価値の高いテープ・デッキだと思う。
パイオニア E-1000M, E-3000M
ソニー ULM2, ULM3, ULM4, ULM6
ラックス SQ507X
岩崎千明
スイングジャーナル 11月号(1971年10月発行)
「SJ選定新製品試聴記」より
ここに紹介するラックスの新型アンプSQ507Xは、この71年秋発表される製品の中でもっとも魅力に富み、その期待に十分応え得る品質を秘めたSJ選定の名に恥じぬアンプである。
ラックスは、同社のベストセラーであるSQ38FDアンプにみられる通り、今日で市場にあるただひとつの管球式を現在に到るも市販、製品化しているきわめて「保守的」な色彩を濃く持ったメーカーである。日進月歩、技術のピッチの著しい。ステレオ・メーカーとしてトランジスタ・アンプが幅をきかせる今日、今だにSQ38FDを商品としているのがこのメーカーのよい面にも悪い面にも出ているのだ。
良い面は、いわずとしれて、高級マニアの欲する技術を温存していることにあり、「音楽のわかる」ことを誇るステレオ・メーカーである。悪い面はこのメーカーの作るトランジスタ・アンプが他社ほどにふるわない原因を作っているともいえるし、名作SQ38FDがラックスの作ってきた今までの数多いトランジスタ・アンプの影を薄くしてしまっているという事実だ。
このSQ38FDのイメージをぶちやぶらずには、アンプ・メーカーとしてのラックスの地位を将来に確保することすらおばつかないのではあるまいか、という危惧はラックスのアンプの高品質を知るものにとって、おそらく共通の懸念であり、またこれからのアンプに対する期待でもあったに違いない。
ラックスが発売したSQ507Xは、まさにSQ38FDの水準に達し、それを追い越したといい得る「最初」の製品である。
このアンプの音に接したとき、このアンプの中味がすでに発売されているSQ505Xとほとんど変ることがなく、ただパワー・ステージを強力な石に換えて出力をアップしただけと聞かされ、それを疑ったほどである。つまり、それほどにSQ505Xにくらべ、音色の向上が明瞭なのである。
深みと、うるおいのある音から、SQ505Xのと同じ回路方式とはどうしても思えないぐらいだ。あえていえば、これはJBLのアンプに近い音であるともいえるし、SQ38F特有の美しい音を受け継いでいるともいえる。
ジャズ・サウンドのとりこになっている私にすれば、今までふれてきたラックスのトランジスタ・アンプの音は、やはりアタックにもの足りなさと歯がゆさをいつも味わうのだが、このSQ507Xに対してはそれが全然なかった。アルトやテナーのソロの迫力、ピアノのアタックのガッチリした響き、どちらもSQ507Xは見事にたたきだした。シンバルの輝きも、ベースの厚いうねりも、楽々と再生してくれた。この深みはかってSQ38FDで得た力強いベースに匹敵し、トランペットの輝きはSQ38FDさえ凌駕していた。このしっとりとして、しかも華麗ともいえるうるおいを他に求めればトランジスタ・アンプではJBLのそれしかないのである。
この艶ややかにして素直なサウンドは、ラックス特有のシンプルな構成のトーン・コントロール回路と全段直結の融合による所産であるに違いない。さらに加えるならば構成ステージをやたら増すことなく、全体にムダを廃しゼイ肉を落し切った構成にあるのであろう。
しかも、このアンプの11kgという重量は電源回路のゆとりあるレギュレーションを意味し、見えない所まで徹底したメーカー技術陣の充分なる配慮をうかがわせる。
ラックスが今秋発象したSQ505X、503Xなどの全段直結アンプ群の最高級品としての誇りと品質とを担って登場したSQ507X、おそらくこのメーカーの今後の発展の強力なる索引力となるに違いない。
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