菅野沖彦の最近のブログ記事

菅野沖彦


ステレオのすべて '77(1976年11月発行)

「海外スピーカーをシリーズで聴く」より


 シリーズとしての一貫性はよい。バランスのとり方の上手なメーカーだけに、どれを聴いても帯域バランス、高域の味つけなどが巧みになされていて、効果的な鳴り方をする。最上機のMA3が質的にもっとも高く、どんなプログラム・ソースにも破綻のない再生音が得られる。最も小型のMA7は小じんまりまとまった雰囲気の再現が得られ効果的。中間機種が中途半端で、色づけが濃く楽器の音に固有のスピーカー自体の音色が結びついてくる。

菅野沖彦


ステレオのすべて '77(1976年11月発行)

「海外スピーカーをシリーズで聴く」より


 インターフェイスAとBは明らかにシリーズである事が音に現われている。しかし、BはAのギリギリのところで守っている中域の品の悪さが、そのままでてしまう。これを、ひっくり返せば、Aの特色として表現することになるだろう。つまり、張り出した中域の豊かさが充実していて、やや粗々しいが、限界でふみ止まっているのだ。いずれの場合も付属イコライザーは使わずにすめば使わないほうが音の質はよい。

JBL 4331A, 4333A, 4343

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菅野沖彦


ステレオのすべて '77(1976年11月発行)

「海外スピーカーをシリーズで聴く」より


 JBLの新しいプロシリーズは一層洗練された。その代表的なものは4333Aと4343の二機種である。4331は2ウェイで私としては、どうしてもトゥイーター2405をつけた4333Aでありたい。シリーズとしては文句のつけようもない端然とした系統をもっており、音にも製品企画にもJBLらしい並々ならぬメーカー・ポリシーがあり感心させられるのである。真の意味でのスピーカーの芸術品と呼びたい妥協のない製品群で、今時、他に類例を見ることができない。

パイオニア C-21, M-22

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菅野沖彦


スイングジャーナル 9月号(1976年8月発行)

「SJ選定新製品試聴記」より


 パイオニアというメーカーは企画のうまさでは抜群である。それも、ちゃんと内容のともなった製品を作るし、タイミングも実によい。パイオニアの製品群にはいくつかの本質的相異を見出すことができるようだ。第1はわれわれが大喜びする超マニア・ライクな高級機器である。第2はそのイメージを、たくみに合理化した中級・上級の製品、第3がパイオニアの商品の武器とでもいうべき、オーディオ的スパイスの効いた大衆商品である。この3本の柱を有機的に組み合せ、強固な商品構成を作りあげているのであろう。
 20番シリーズのアンプ類は、そうした分類からすれば、当然第1のグループに属するものだ。それにしては、C21プリアンプが60、000円、M22パワーアンプが120、000円という価格はそう高くないと思われるかもしれないが、30W+30Wのプリメイン・アンプで、しかも、バス、トレブルの音質調整回路つまりトーン・コントロール機能がなしで、180、000円というのは決して安いものではないことに気がつくであろう。プリメインアンプが1W当り1、000円とかいう、おかしな相場からすれば、これはその6倍強の値段である。いうまでもなく、これは、現在のエレクトロニクス技術とオーディオロジーを結びつけた音質の品位の高さを得るために必然的に出た値段である。〝本当の商人は無駄な銭をとらない〟といわれるがまさにその通りであって、むしろ、あまり安いものはうたがったほうがよさそうだ。もっとも、オーディオのように、見ることも触れることも出来ない音を目的とした商品は、買手が要求しないようなところにコストをかけても無意味であるから、いわゆる大衆商品というものは形だけ整えて、見えない音のほうはそこそこにして成り立ち、いうなれば客が馬鹿にされているわけだが、客がそれでよければ何をかいわんやなのである。その道に、客の要求が高ければ高いほど、目に見えないところにコストと時間をかけて、いいクォリティーの音を追求しなければならず、これが、オーディオ製品の一見同じように見えていながら、大きな価格の差をもった製品が出てくる所以であろう。
 C21、M22はまさにクォリティー製品であって、その性能は、同社の最高価格のC3、M4のコンビに劣らないほどなのである。いや、ある面ではむしろ優れているとさえいえる部分もある。トーン・コントロール回路をもたないC21は、信号系路を徹底的にシンプルにしてSNや歪の劣化を嫌う思想から作られただけあって、きわめてピュアーな音が得られる。選ばれたパーツも高級品であるし、よく音質検討がなされていて、洗練された最新の回路構成でまとめられている。機能的には先に述べたように、まったくシンプルなものだが、これは、コンパクトなシステムとして、マルチプルにシリーズ化する意図を持った製品群の中で占めるプリアンプという明確な姿勢を持っているのである。M22パワーアンプは、M4で実証したA級動作のノッチング歪のない音質の透明度と滑らかさを受け継ぐもので、音の柔軟性はきわめて高く、スムースこの上ない。ただ30Wというパワーはいかにも小さく、よほど高能率のスピーカーでもない限り、これでジャズをガンガン鳴らすというわけにはいかぬ。試聴にもいくつかのスピーカーをつないでみたが、アルテックのA7クラスだと、まず十分なラウドネスを得ることができるし、Dレンジもまずまずだが、ほとんどのブックシェルフ・スピーカーでは、フォルテを犠牲にしなければならなかった。つまり、このパワーアンプの本当の使われ方は、小音量で、最高の質の音でイメージの再生を目的とするクラシック・ファン向きか、あるいは、マルチ・アンプ構成としてその中域か高域に使うことだ。エネルギー的に大きな中低域両域は、現在の水準からして最低100Wを必要とする、というのが私の持論であって理想としては、低域を同社のM3、中域をM4、高域をこのM22というラインアップを組むことである。パイオニアもこれを考えてか、ちゃんと、この20番シリーズでは、クロスオーバー・ネットワークD23を同時に用意して発売しているのである。この本質をわきまえて、この一連のハイ・クォリティー・アンプを活しきったら素晴しい装置が構成し得るであろう。

パイオニア CS-3000

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菅野沖彦


スイングジャーナル 1月号(1971年12月発行)

「SJ選定新製品試聴記」より


 CS3000というスピーカー。実にぜいたくな製品だ。そして、それは、ただぜいたくだけではない。随所に新しい試みが見られ、いかにもスピーカーの専門メーカーとしての遊びが余裕たっぷりに感じられる。遊びというのは表現が悪いかもしれないが、実はオーナィオ製品にもっとも大切な要素だと私は思っている。CS3000の遊びについて、目についたところを拾ってみよう。まず外側から。ローズウッド・フィニッシュのエンクロージュアーは実に見事な仕上げだ。たたいてみればわかるが、その強固なこと、木工技術のち密なこと、見るからに風格が滲みでている。前面グリルの生地がいい。安っぼいサランのイメージはまったくなくなり、感触のよいクロスのもつ重味が味わえる。これを取はずしてみると、そのフックがまた実にこった代物。マジック・テープなどでペッたんこというのとはわけがちがう。グリルをはずすと、3ウェイの全ユニットはバッフル前面に突出している。周囲がフレイムでけられディフレクションの影響を受けることはまったくない。いかにも優れた指向性をもっていそうなユニットを十分生かした箱作りだ。もちろんバッフル前面も美しいフィニッシュ。まず目につくのが、異様な星形のデュフィーザーをもったドーム・ツィーターと、かなり大型のドーム・スコーカーである。よくよく見ると、このミッド、ハイ・レンジ用のユニットはただものではない。特にそのスコーカーのつくりのこっていること。形状としては前面にイクォライザーをもったドームであるが、引きもののフレームがいかにもマニア好みの遊びに溢れていていい。ドーム・ラジエーターの周囲になにやら変った針金がでていて接着剤がべたべたついている。根元はビニールかゴム質の制動機らしきものがかぶせられていて、これがドームのサスペンションだ。円形ドームの接線上に、このワイアーが5ヶ所でサポートされているわけで、従来よく使われているダンパーの類とは全くちがう。つまり、ワイヤー・サポートというわけで、従来のダンパーのように面ではないから、ダンパー自体が音のエネルギーをラジエイ卜することがないし、ヒステリシスのないフリー・サスペンジョンというわけだ。当然、ダイアフラムは高いコンプライアンスで吊られているから、リニアリティがよくセンシティヴなレスポンスが得られそうだ。それにしても、このユニットは大量生産でどんどん作れるものではなさそうで、いかにも、高級品としての手造りを余議なくさせられそうだ。一個一個丹念に組まれ、かつ、調整されなくてはなるまい。ドームの直径は75ポール、材質は50μのジュラルミンだ。スコーカーとしては口径が大きいが、できるだけ低いところまでカバーしてウーハーの負担を軽くしようという狙いだろう。クロスオーバーは700Hzにとられている。マグネットは同社の30cmウーハーPW30と同じものだというから、この振動系には十分なドライヴが期待できるだろう。ウーハーは、30cmのハイ・コンプライアンス型で、エッジには発泡ウレタンを使用している。温度変化や経時変化に優れた特性をもった新しい材質だというが、この点はそこまで使ってみたわけではないから不明。コーン紙の中ほどにリング状にダンプ材が張りつけられているが、このあたりはいろいろカット・アンド・トライで苦労をした跡のように感じられる。そしてエンクロージュアー内部がまたこっていて補強と定在波防止板兼用という厚い穴あき板が内部を二分している。このメリット、ディメリットはどうなのか、少々疑問も感じないわけではないが、設計者としてはあえてこれだけのことをする理由を認めた上でのことにちがいない。
 音質はすばらしく澄んだ明るい中高域が印象的で、その美しさは特筆してよい。歪感のない。まるで大輪のダリアのように華薦で魅力的なのである。指向性のよいことも無類でステレオフォニックなプレゼンスが実によく生きる。ただし、どうしてもウーハーとの音色的なバランスについての不満に触れないわけにはいかない。完全密閉のエアサスペンション・タイプ特有の重厚な低音の音質とそののびは優れているが、この中高域は、大型エンタロージュアーの、のびのびとした低音とつなげてみたい衝動にかられたのである。特に、入力をしぼった時のローレベルでのリニアリティが、中高域に比してウーハーが明らかにダルである。これは、このシステムに限ったことではなく、この形式のシステムに共通した特質というべきものだろう。しかし、スピーカーのパイオニアという面目を見せつけられた力作で、同社のオーディオ魂が感じられて久し振りに爽快な気分であった。

ビクター SX-3

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菅野沖彦


スイングジャーナル 11月号(1972年10月発行)

「SJ推選ベスト・バイ・ステレオ」より


 SX3というスピーカー・システムは今オーディオ界で大きな話題となっている。あれこれとスピーカー・システムをつくり続けて来たビクターの初のヒットといっても過言ではないだろう。音響機器専門メーカーとしてのビクターの伝統と実力が実ったという観が強い。もっとも、今の話題の半分はこの製品の優秀性で、あとの半分は製品が足りなくてオーダーして数ヶ月も待たされるといった不満である......。こうなると、ますます欲しくなるのが人情で、SX3を渇望するマニアの数はどんどん増えているらしい。
 SX3の生産が追いつかないということは、このスピーカー・システムの本質と、あえてそうした製品をビクターのような大きなメーカーがつくった意義とを説明することにつながるのである。つまり、このシステムは、たいへん手のこんだ作業を要する手造りの性格が強いのである。オーディオ機器が通り一辺の理論と設計技術と生産技術では、最高の製品たりえないということは私が常々いっていることなのだが、このシステムはそうした常識を超えた製作者の音への執念と情熱、そこから発した多くのアイディアと実験に裏づけされた試行錯誤、それを一つの完成度の高い製品にまとめる、高い技術が生きているようである。このスピーカー・システムの生みの親は同社のスピーカー技術の中核である林正道氏だが、林氏のスピーカーづくりへの情熱は並々ならぬものである。しかし、今までは、正直なところ、氏の情熱と探求の努力、技術の蓄積は多とするが、それがスピーカーの音として私たちを説得するまでには至らなかった。氏の独得のねばりは、今までの不評によく耐えて、謙虚にそして入念に、幾度かスタート・ラインへもどって音響変換器としてのスピーカー、音楽を奏でるスピーカーという二つの性格を正しく把握して、このSX3を生みだしたといえるだろう。と同時に、こういう人間の自由な創造性を暖かく保護し、開発に余裕を与えたビクターという会社もほめられてしかるべきであろう。こういう体質がなくてはオーディオ・メーカーとして、これからの時勢を乗り切っていくことはできないといっても過言ではない。技術は人間の積み重ねてきた体系的所産であるが、それは常に発想に触発されて前進すべきものである。発想は創意という、人間が神から与えられた偶発的な要素の濃いもので、すべての創造の基盤となる。すばらしい発想は優れた才能と、その才能を開花させる環境から生れるものだと思うのだ。音そのものはもとより、人間のつくり出したスピーカーという変換器ですら、そのすべてが解析されてはいない複雑な要素からなるものだから、これに既成の理論と技術だけで当っていては、できる製品はたかがしれているというものである。
 SX3の随所に見られるアイディア、豊富な実験から得られた新しい前向きのオリジナリティは、こうした私の考え方からして高く評価できるものなのである。しかし、そうした姿勢があるだけで、よいものができるわけでもないし、またSX3が最高のスピーカー・システムというつもりはない。
 SX3はやはり、メーカーに利益をもたらす商品として生み出されたものだから、そこには多くの制約も妥協もある。小型(実際上は中型といえるが)ブックシェルフ・システムという市場でもっとも人気のある形態、3万円を切る小売価格などという商品としての条件の中でつくられたものであることは当然で、その結果、強烈な音響再現を可能にする大型システムや、そうした音を要求する音楽には自ずから限界はある。しかし、この範囲での製品としてトップ・クラスのものであることは保証する。25cmウーファーとソフト・ドーム・ツィーターの2ウェイ。手のこんだ材料と工作によるシステムとしての念入りなアッセンブルは非常に豊かでリアリティのある低音をベースに、スムースで奥行のある中高域とステレオフォニックなプレゼンスを再現してくれるのである。
菅野沖彦

ステレオサウンド 52号(1979年9月発行)
特集・「いま話題のアンプから何を選ぶか 最新セパレートアンプ32機種のテストリポートより

 カリフォルニアのサクラメントにあるスレッショルド社は、高級アンプの専門メーカーで、いわゆるアンプ界のニューウェイヴとして我が国でも注目されているメーカーの一つである。こうした新しいメーカーの製品は、それぞれに、技術的特徴をもち、エレクトロニクスのニューテクノロジーを標榜しているが、中でも、スレッショルド製品は、ひときわユニークな存在である。
 スレッショルド社は、ルネ・ベズネとジョー・サミットという二人のオーディオ気違いが、遂に趣味の領域を脱して、高級コンポーネントを自ら創り出すことの止むなきに至り、若いエレクトロニクスエンジニアのネルソン・パスという人物と出合って会社を創立したという背景をもっている。パスは天才的なエンジニアといわれ、完璧主義、ベズネはデザイナーとしてこれに協力しているらしい。サミットはもっぱら資金面を担当しているらしいが、自身も大変な音好きで、この三人がとことん満足のいくものが出来ないと、製品として登場してこないという、いかにも専門メーカーにふさわしい体質を持っている。
 SL10と4000カスタムは、現在、同社を代表する新しい機種であるが、それぞれ、スレッショルドらしい特徴と技術的個性をもった興味深い製品であるとともに、そのデザインや仕上げの完成度が、こうした小規模な新しいメーカーのものの中では際立って優れていて、製品としての完成度が高い。
SL10の特徴
 SL10は、DCアンプ構成のハイスピード・プリアンプで、入力端子から出力端子までの信号の伝達速度は10ナノセカンド、つまり一億分の一秒、スルーレイトは150V/μsecという応答特性をもっているという。加えて、大量のアイドリング電流によるAクラス動作となっていて、ユニークな補正回路の採用で、DCアンプの安定化を計っている。使用パーツも厳選され、抵抗、コンデンサー、スイッチ、レベルコントローラーには高精度の高級パーツが使われている。操作、機能はきわめてシンプルなもので、余分な機能を一切排除し、信号系路の純度を確保している。ユニークなデザインはパネルの色調、表面のフィニッシュ、ツマミの形状などに並々ならぬ個性と雰囲気を備えていて、オリジナリティを強く感じさせる高級品にふさわしいものだ。
4000カスタムの特徴
 4000カスタムのほうも、これに劣らずオリジナリティをもったパワーアンプである。スレッショルド方式といわれる効率のよいAクラス動作は、すでに国産アンプにもいくつかの亜流を見出すことが出来る。同社独特の回路によるものだ。全段カスコード接続、クラスA動作のDCアンプ構成で、200W+200W(8Ω)の出力をもち,ブリッジ動作でモノーラルアンプとして使えば700Wの大出力を得ることができる。同社の技術思想のバックボーンともいえる、ハイスピードのコンセプトはここにも見られ、ライズタイムは1μsec、スルーレイトは50V/μsecと発表されている。LEDによるピークレベルとアベレージの2段表示パネルを中心に、いかにもパワーアンプらしいデザインは重厚感と、スタイリッシュな感覚がよくマッチした、個性的で美しいフェイスである。このパワーアンプは、単独でよく使う機会があるが、音質は大変優れていて、一種の粘りのある、弾力性に富んだ質感は、人の感覚に快いものだ。力感は溢れているが、荒々しさがなく、音像の立体感も豊かで、実感のあるプレゼンスが魅力的だ。
SL10+4000カスタムの音質
 今回のテストでは、このSL10、4000カスタムという同社の組合せで試聴したわけだから、これこそ、スレッショルドの主張する音と考えてよいだろう。
 前述した4000カスタムの弾力性のある粘る音の特質は、この組合せにおいても同じ傾向であったが、SL10とのコンビでは、それが、やや、好ましくないほうにいくようだ。とういよりも、これがスレッショルドの志向する音の方向なのだろうが......。私個人の好みからすると、もっと明解で鮮烈な響きであってほしい気がする。たしかに、キメの細かく、スムースな、艶と柔軟性をもった品位の高い音ではある。ヴァイオリンの音が、やや、ウェットで、擦過音が押えられ、少々太い響きだし、ピアノの音も丸みがあるのはよいのだが、鋭いタッチの輝きが、甘く重いムードになる。アカペラのコーラスを聴いたが、本来の明晰な軽やかなソノリティが、重厚で深々としたものになった。こういう音の質感、色彩感といった領域になると、もう完全に個人の嗜好の問題といわざるを得ない。音のように無限の表情、質感、色合いをもつものは、単純に、ある素性だけをよしとするわけにはいかないと思う。しかし、数々のレコードを聴いて、そのどれにも、ある種の癖らしい固有の質感があまり強くつきまとうというのは感心出来ないのである。
 スレッショルドのアンプは、パワーアンプのほうが好ましいというのが私の結論である。4000カスタムについては、第一級のパワーアンプであることを認めよう。しかし、SL10プリアンプのほうは、同列に評価するには抵抗があった。それにしても、不思議なことに、ハイスピードを標榜するアンプの多くが、一様に、眠たい、もやっとした傾向の音を聴かせるのはどういうわけだろう。ライズタイムやスルーレイトだけを追求する立場からは、それが本物の音だという主張が生れるであろうけれど、それは音を理屈で云々することになりはしないだろうか。立上りと立下りのバランスによっても、音の傾向は変ってくる。バランスをくずしてまで、立上りがよくなってもいけないようだ。

QUAD 44, 405

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菅野沖彦

ステレオサウンド 52号(1979年9月発行)
特集・「いま話題のアンプから何を選ぶか 最新セパレートアンプ32機種のテストリポートより

 全体にナローレンジの傾向をもつ、聴きやすい音だ。節度と品位のある鳴り方で、音楽の重要な骨格はきちんと聴かせてくれる。特性のよさが表に出た機械的な感触の音よりもはるかにいいとはいえるが、現代的な音楽では物足りなさが残る。
菅野沖彦

ステレオサウンド 52号(1979年9月発行)
特集・「いま話題のアンプから何を選ぶか 最新セパレートアンプ32機種のテストリポートより

 製品としての完成度の高さの点で、現在、マッキントッシュのアンプの右に出るものはないといってよかろう。デザインのオリジナリティと、そのクォリティ、コンストラクションなどの総合的なバランスのよさは、まさに、専門メーカーとしてのキャリアと風格を証明し、アマチュアに毛の生えたような製品の多い昨今、ますます、その存在が輝きを放っている。仕上げの高さ、創りのよさといった見地からみると、アンプに関して、いまや国産の高級機を凌ぐ外国製品の数は、それほど多くはない。前述した、アマチュアに毛の生えた程度の作りの粗さや未熟さは、メーカー製にはあってはならないものだろう。真に価値のあるものは、中味にふさわしい外観、外観にふさわしい中味の各々相まって然るべきである。音さえよければそれでいいという考え方は未熟である。それも、買い手がいうのならまだしも、作り手や、売り手が口にすべきことではない。ましてや、作りの粗さや雑なところが、いかにも専門メーカーの小量生産品らしくてよいなどというのは、詭弁以外のなにものでもない。外観の風格は、中味の充実からくるものであるし、その品位と重みといった雰囲気は一朝一夕に出来上がるものであるはずがない。マッキントッシュの製品は、こういう観点から見た時、真の一流品、高級品といえる数少ない現役製品のひとつだ。
 このC29、MC2205という製品は、現在のマッキントッシュのラインアップのなかでは最も新しい設計による矢野で、一貫したマッキントッシュの風格は、その外観にも音にも堅固に生き続けている。
C29の特徴と音質
 C29コントロールアンプは、価格的にみればC32の下のクラスということになるが、必ずしもC32の普及モデルというのではなく、むしろ、C28の新型が、このC29で、C32は新しいコンセプションによるニューモデルと考えるのが妥当であろう。それは、コントロールアンプとしての機能や、音の上からも肯定できるところであって、C32の豊潤な艶は、従来のマッキントッシュのサウンドとはやや異質だし、コントロールアンプとしてはコンセプトの異なるものだ。また、多分割のバンド型トーンコントロール機能も、マッキントッシュ伝統のものとはいえない。その点、このC29はオーソドックスで、シンプルなコントロールアンプで、必要なファンクションは完備したマッキントッシュ伝統のコンセプトを反映しているものである。グラスパネルのイルミネーションは、いまさらいうまでもなく、ユニークで美しく、機械の精度の高さをよく表現し、かつ、マッキントッシュのガウ社長のいう「エモーショナルレスポンス・フォー・ミュージック」を感じる心に豊かに呼応するフィーリングである。従来の同社のコントロールアンプは、いわゆるS(スイッチ)付ボリュウムを使っていたが、新シリーズから、パワースイッチとボリュウムは分けられ、プッシュ式の角型スイッチで電源のオン・オフをおこなうようになったのは好ましい。S付ボリュウムというのは、たしかに普及品のイメージに連なることは否定できない。パワースイッチにふれたついでだが、このプッシュボタンの色は、あまり好ましいとはいえない。新シリーズの出始めの頃は、他の一群のプッシュボタンと同じ、黒であったが(私が現用しているC32はそれだ)、見分けにくいということで、現在の色にしたらしい。しかし、この赤茶のような透明感のない色の質感は、マッキントッシュにしては、少々不満なクォリティであると思う。
 そして、音は、充実した質感......いかにも中味がつまっているといったソリッドネス......力と重みのある堅固な造形感をもった音像再現の見事さといった、マッキントッシュ・サウンドに、明るい陽光が射し込んだような、透明さが一段と冴え渡るようになったフレッシュなものなのである。
MC2205の特徴と音質
 新しいマッキントッシュのアンプに共通していえることだが、コンストラクションの確かさは、その精選されたパーツとのコンビネーションで最新のエレクトロニクステクノロジーをオーディオ的に洗練し、見事な再生音楽のリクリエイトに成功している。その伝統ゆえに、古い世代のアンプという偏見をもつ人がいるが、愚かな認識である。確かに、マッキントッシュは、実験的な突飛なパーツや回路は採用しないが、これは、同社が、製品の信頼性と、音楽の豊かな情緒的再現を重視しているからである。ポルシェが、市販車にターボチャージャーを装備したのは、大変な実験とレース実績の積み重ねをしてからであった。BMWが、それより先にターボチャージャーを装備した車を売り出し、そのレスポンスのタイムラグや故障のために生産を中止した事実とは対照的である。マッキントッシュのプロダクションの考え方には、これと一脈通じるものがある。やれDCアンプだ、サーボアンプだと大さわぎをしてはいるが、はたして音はどうなのだ? はたしてオーディオにとって本当に有効な技術進歩かどうか? そんなことは半年やそこいらで結論が出るものではないだろう。往年のマランツやマッキントッシュほどのものになると、10年前の製品でも、オーディオ機器として最新の製品と堂々と比肩する性能をもつものである。人によっては、昔のもののほうを高く評価するという事実もある。
 MC2205は、こうした音とテクノロジーの関連を、マッキントッシュらしい慎重さと、豊かな想像力で検討し、有能なエンジニア達が、古くからの体験に基づき、よいものを大切に、新しいテクノロジーの中から厳重に選択したポイントを盛り込んで作り上げられただけあって、外観も、お供、まさに威風堂々の充実感を覚える力作である。これらのすべてが、今回のテストで改めて如実に確認できた。
菅野沖彦

ステレオサウンド 52号(1979年9月発行)
特集・「いま話題のアンプから何を選ぶか 最新セパレートアンプ32機種のテストリポートより

 優秀な特性による品位の高い音だとは思えるけれど、どうも、音楽の表現にゆとりがなくなる。大らかな歌い方、暖かく、やさしいニュアンスといった雰囲気が十分ではなく、どこか、ギスギスした、せせこましい印象の音であった。ダイナミックな力もいま一つ。

GAS Thaedra II, Godzilla AB

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菅野沖彦

ステレオサウンド 52号(1979年9月発行)
特集・「いま話題のアンプから何を選ぶか 最新セパレートアンプ32機種のテストリポートより

 品位の高い再生音。つまり、あらゆるプログラムソースの特徴を見事に再生し分ける。ヴァイオリンのデリケートな音色から、パルシヴなドラムスの音まで、それぞれに生き生きとしたリアリティをもっている。質感は弾性的で肌ざわりのよいものだ。

アムクロン DL-2, SA-2

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菅野沖彦

ステレオサウンド 52号(1979年9月発行)
特集・「いま話題のアンプから何を選ぶか 最新セパレートアンプ32機種のテストリポートより

 たくましい明るい音で、ロックやジャズには圧倒的な再生音を聴かせる。その反面、デリカシーやニュアンスを要求すると、やや不満もある音で、弦楽器の高音は、少々粗く、しなやかさに欠ける嫌いがある。大音量で実力を発揮する傾向をもったアンプだ。

ヤマハ C-2a, B-5

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菅野沖彦

ステレオサウンド 52号(1979年9月発行)
特集・「いま話題のアンプから何を選ぶか 最新セパレートアンプ32機種のテストリポートより

 音に勢いのある、明解な再生音で、低音もよく締り密度が高いし、中高域の冴えた再生音も美しい。パワーアンプのプロテクションが、やや安全度の見過ぎか、公称パワーの大きさの割には、低域の大出力に余裕が欠けるようだ。充実した高品位の再生音。

トリオ L-07C II, L-07M II

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菅野沖彦

ステレオサウンド 52号(1979年9月発行)
特集・「いま話題のアンプから何を選ぶか 最新セパレートアンプ32機種のテストリポートより

 トリオは、アンプのハイエンド製品の開発には、主張テーマを明確に標榜し、そのテーマにもとづく物理特性を測定限界にまで追求することを開発のバックボーンとしているようだ。忠実な伝送増幅を目的とするアンプにおいて、この姿勢は絶対に正しいといえるだろう。しかし、オーディオの録音から再生までの複雑なプロセスにおける、相互的な複雑な依存性は、あたかも、人生における、がんじがらめのしがらみにも似て、これをトータルな音としてスピーカーから効果を上げることをことを考える時にはそう単純に、一元的にテーマを追求してすむものではないし、時としては部分的独走に終る危険性すらもっている。現在のようにコンポーネント各部が専門的に開発される情況においては、この傾向が時として総合的な音の効果を損ねることに連なるといえるだろう。また、コンポーネント相互の相性などといわれる問題の発生の要因となることも考えられるであろう。そしてまた、リスナーの嗜好との相性がこれにからんでくることを思えば、問題はますます複雑になるのである。専門メーカーとして長いキャリアと豊富な蓄積をもつトリオのことだから、この辺は先刻承知のはずで、そこを、試聴に重ねる試聴によって、試聴者の個性と感性と知性の限界はあっても、出来得る限り普遍性をもった「美しい音」の具現で埋めようと努力しているはずだ。現在のようにエレクトロニクス技術が高度に発達した時点でさえ、アンプによる音の違いがあるという原因の背景は、こうした事情によるものとしか思えない。素子と回路の追求やパーツの選択、配線やコンストラクションのちょっとした違いで音が変るという事実の上で、音の審美と価値感の決定にたずさわる人間の存在の重要性は、今後も失われることはないであろう。
L07MIIの特徴
 L07CII、L07MIIの標榜する技術テーマは、同社の、この数年来の追求テーマであるハイスピードアンプの実現であり、それは、100V/μs以上の波形の立上り傾斜、1μs以下のライズタイム、信号の正負両方向のレスポンスの同値と出力の大小による悪影響を受けないこと、リンキングなどの波形の乱れがないことなどである。これによって、全帯域にわたってアンプのダンピングファクターを出来るだけ一定化することにより、良質の音を得るというのが、主張の要旨である。こうして、L05M以来、スピーカーをダイレクトにドライブするという思想、その結果、当然2台のモノーラルアンプという形態のパワーアンプが登場し、それが、そのまま、このL07MIIにも受けつがれている。
L07CIIの特徴
 コントロールアンプL07CIIは、左右を極力独立したコンストラクションとし、出力インピーダンスは10Ω以下と低くとって、優れたトランジェント特性を持つ薄型のコントロールセンターである。L07CIIは、この他にも、MM、MC各独立型のイコライザーを内蔵し、各部品は高級なものを選び、細部にも徹底した神経の行き届いたマニアライクな製品となっている。必要な機能は完備したコントロールアンプではあるが、信号系路は音質重視設計でシンプルに構成されている。入力セレクターは、2イコライザーであるので、イコライザー通過後のフォノ1、2をチューナーやAUX端子とスイッチし、微少レベルでのスイッチ接点介在の害を防いでいるし、ボリュウムの選択や使い方にも細かい配慮がなされている。ミューティングリレーで出力をオン・オフにするスイッチを採用しているのも実用上合理的である。使い勝手のよいコントロールセンターといえる。
L07CII+L07MIIの音質
 その、ふくよかな音質も、品位の高いものだ。このコントロールアンプは、今回のテストでは単独では試聴しなかったが、すでに、いろいろな機会に単独試聴しているが、プレゼンスの豊かな、良質の再生音を聴かせてくれた。音像の定位や立体感の再現は、そのアンプのクォリティを物語るものといってもよいのだが、このL07CIIの再現するステレオフォニックな空間感覚は、まさに、そのハイクォリティを感じさせるものだ。
 ところが......ここからが、前述した、オーディオのしがらみになるのだが、今回の試聴では、どうしたわけか、♯4343をL07MIIでドライブした音からは、L07CIIのよさが、あまり感じられなかったのである。この稿では、あくまで、今回の試聴を中心にした音の印象記を述べなければならないのであるが、あまり、好結果は得られなかったのである。全体に、やわらかい、ソフトタッチの音のよさは感じられたけれど、率直にいえば、むしろ、もったりとした眠い音で、鮮烈な冴えのある音が出てこなかったのである。エネルギーバランスも、中高域に落ち込みが感じられ、拍手の音などが不自然であったし、ヴァイオリンの音色にも、冴えた鋭敏なところがなく、ハーモニックスの成分が、ずいぶん、常識的なバランスを欠いた響きであった。ジャズのビッグバンドのサックスセクションも前へ出てこなかったし、ベースも少々鈍重で、迫力を得るために、つい音量を上げると、響きがやかましくなるといった具合であった。日頃の試聴感と、今回のテストで、かなり大きく違いが出たことにあるが、このアンプは、どうも、コンポーネント相互の組合せによって結果が大きく変るような傾向があるらしい。

ソニー TA-E88, TA-N9

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菅野沖彦

ステレオサウンド 52号(1979年9月発行)
特集・「いま話題のアンプから何を選ぶか 最新セパレートアンプ32機種のテストリポートより

 ソニーのTA−E88とTA−N9は、同社のオーディオ技術の現時点での粋をこらした製品といってよい。そこ、ここに、ソニー独自の新しい素材や、技術が生かされていて大変に興味深いアンプである。新技術の製品への導入の速さは、確かに同社の力を示すものであるし、数々の功績として評価して然るべき貢献を残してきているが、これらの高級機種からも感じられるソニーへの不満は、それらの新技術が、じっくりとオーディオ的に煮つめられることなく裸で出てきてしまうといった印象である。新しい素材や、テクノロジーは、それまでとは違った音を生むことは確かであるが、それが果して、人間の感性や心情にとって、より高い次元の感動に連なる音の美しさや愉悦感であるかどうかといった問題が残ると思われる。現状でのディジタル録音が感じさせる音の例が、最も端的にそれを物語ると思うのであるが、ノイズがなく、あくまでシャープで輝かしく、明解であることと引替えに置き去りにされたような、豊かな陰影と雰囲気、滋味溢れる感触や、模糊とした風情など......。情緒に訴える、従来は得られていた音の情報が、惜し気もなく払拭された音を、その手段であるテクノロジーの先進さだけ故に、首を前に突き出して、つんのめるが如く、突進することが、音の文化にとって正しい姿勢であるかどうかは再考の要があるだろう。冷たい、機械的だと感じさせる何ものかが、その音に存在することは、音を目的としたテクノロジーである以上、人間中心に考えて、なんらかの反省と、さらに技術の熟成を計るべきだと考える。率直にいって、このTA−E88とTA−N9に、ディジタル録音ほどでは勿論ないが、どこか、それに連なるイメージの音の質感が感じられるし、その機械としてのデザインも、そうした体質を彷彿とさせる雰囲気をもっていると感じたのである。つまり、これほどの高度なテクノロジーをもっていながら、そのまとめに、人間的なウォームネスがやや欠けるという印象があるので、それが伴ったら再考のものになるだろうなという欲張った要求をしてみたくなったというわけだ。いいかえれば、それほど、このTA−E88とTA−N9は技術的に魅力のある製品であって、実に優秀な、高性能プリアンプであり、パワーアンプであるということになる。
TA−E88の特徴
 TA−E88は、まず一見して外観からも、極めてオーソドックスに、イコライザーアンプとしてのコンストラクションを追求し、潔癖なまでに信号系路を最短距離でインプットからアウトプットに導くという思想が明白に見てとれる。このユニークなコンストラクションは頭で考えることは容易だが、現実化は、それほど容易ではないはずだし、ここまで簡潔化を計って、それを結果に反映させるには、精選されたパーツと、ごく細かいところにまで神経を使った仕上げ、優れた回路技術をまたねばならなかったはずだ。それは、アッテネーターやバランサーに使われている高精度のボリュウム、各端子の金メッキ処理、銀クラッドのスイッチ類、そして金属皮膜抵抗や無共振コンデンサーなどのパーツ類、トーンコントロール回路やヘッドフォン端子をはぶきながら、コントロールアンプとして必要な機能を合理的にまとめあげた、安定性の高い全段DCアンプ構成、左右独立の4電源などの仕様に裏付けられている。インプット端子はユニークな配列のため初め少々とまどうが、ひんぱんに抜き差しするところではないので、慎重に理解してからおこなえば問題はなかろう。ダイアル式のカートリッジロードのアジャスターなどのこりようはマニア泣かせのサービスである。パネルレイアウトは、すっきりしすぎるほどすっきりして扱いは全く容易だが、この辺りのフィニッシュはもう少し風格と味わいが欲しいところ。このクラスの製品だから、強烈に好まれるか、拒絶されるかは覚悟すべきで臆病になるべきではないと思う。
TA−N9の特徴
 TA−N9は、堂々450Wのモノーラルアンプで、Aクラス動作をさせることによっても80Wの出力を得る超弩級パワーアンプである。技術的な特徴をあげつらねればきりがないほどであるが、おもな点はパルス電源搭載のDCアンプ構成で、パワー段はMOS−FETの5ペア・パラレルプッシュプルといったところだ。MOS−FETの特質として、入力インピーダンスが高くハイゲインであるため、ドライバー段は高域特性の優れた小型のトランジスターによる比較的小規模なものですんでいる。大電流が流れる出力段の放熱にはヒートパイプを活用し、電磁波の影響をなくすなどユニークな構成もみられる。少々、ヒステリックにプッシュプルのスイッチングディストーションが喧伝されている昨今だが、よりデリケートな音を望む向きにはスイッチの切替えで、同ゲインでA級動作として使うことも可能である。このアンプにおいては、A級に切替えた時の音の違いは比較的はっきりと聴き分けられ、弦などはぐっとなめらかになる。
TA−E88+TA−N9の音質
 TA−E88とTA−N9の組合せによる試聴のメモをここに引き写すと緻密でウェイトのかかった充実した音だが、ややつまり過ぎといった生硬さがあり、おおらかな響きと雰囲気が出にくい。しかし臨場感は豊かで音のスケールは大きく、オーケストラでのブラスの輝きや、ジャズのビッグバンドでのサックスの脂ののったこくのある響きの再現はなかなかよかった。TA−E88は磨きのかかった......まるでクロームメッキの極上のバフ仕上げのような輝かしく、つるつるした感触の音という印象を他の機会に聴いてもっていたが、TA−N9との組合せでは、それがやや薄れる。しかし、パワー氏プをA級動作にすると、その感じがよく出てきたのが興味深かった。

サンスイ CA-F1, BA-F1

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菅野沖彦

ステレオサウンド 52号(1979年9月発行)
特集・「いま話題のアンプから何を選ぶか 最新セパレートアンプ32機種のテストリポートより

 音のまとまりは大掴みにはとれているが、緻密とはいえない。ヴァイオリンやコーラスには少々荒さがあって雑然とした響きである。音の品位、魅力という点では、セパレートアンプとして、もう一つ、磨きをかけてほしいと思う。
菅野沖彦

ステレオサウンド 52号(1979年9月発行)
特集・「いま話題のアンプから何を選ぶか 最新セパレートアンプ32機種のテストリポートより

 ふっくらとした情緒勘のよく出るアンプで、音の質感はウォームでスムーズなものだ。鮮烈でパルシヴなソースに対しては、もう一つ明るく、抜けのいい再現が望まれる。ワイドレンジがいたずらに耳につくことなく、しかもレンジの狭さは全く感じない。

Lo-D HCA-9000, HMA-9500

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菅野沖彦

ステレオサウンド 52号(1979年9月発行)
特集・「いま話題のアンプから何を選ぶか 最新セパレートアンプ32機種のテストリポートより

 日立のLo−Dのオーディオ製品は常に日立らしい技術開発の精神に立って、素材の開発から手がけ、新製品らしい新製品を発表している。その規模と技術の層の厚さは、いうまでもなく日本のメーカーの中でも飛び抜けた存在であるから、中途半端な製品開発は出来ないのが当然だ。スピーカーをみても、アンプをみても、必ず、そこには注目すべき、新しい技術が生かされている。基礎研究の力は、大いに信頼に足るメーカーであることは、ここで、改めて断るまでのこともない。要は、この技術力が、いかにオーディオ的に生かされるかにあって、人の心情や感性を対象としたオーディオ機器にあっては、高度なテクノロジーが即、これに対応できるものとはいい切れない。この辺りが「技術の日立」の最大の課題であろうと思われる。しかし、それも、このところ、同社なりに豊富なノウハウを蓄積してきているようで、音楽を楽しみ、音を味わうことの出来る製品作りのコツを心得てきたようである。音キチといわれるように、高級オーディオ機器のユーザー達は、音に関して、きわめて集中的かつ求心的な関心の持主であり、音に関わる機器に求めるものは単に機械としての存在を超えた形であり、触感であり、雰囲気であり風格である。しかも、それは人それぞれの嗜好によって、様々な要求があるところに、オーディオ製品の趣味性が生れていることは読者諸兄がもっともよく御存知のはずだ。
 音楽の感覚的な娯楽性や精神的な芸術性に共感し、評価する、その心に同次元の印象や感動を与え得るモノの存在は並大抵のものではない。最高級オーディオ機器を生み出すことは、この点で、決してイージーなものではないのである。研究所、開発設計室、生産工場、営業宣伝といった常識的なメーカーのプロセスの中で、はたして、どこで、どうしたら、そのクォリティを付加することが出来るのだろうか。これは頭でだけ考えてシステム化できるような問題ではあるまい。Lo−Dの製品に接して常に感じること、考えさせられることはこのことである。世界的な大企業である日立製作所のオーディオ製品が、この点で全く欠けているとはいわないが、前述した「製品作りのコツ」という同社への賛辞は、同時にまた、同社製品への不満でもある。つまり、要領は巧みに心得てきたといえるが、それが、強烈な個性と、製造者の情熱が生みだす創造性、心情性という面で、まだ一つ、物足りなさを感じさせるのである。
 たまたま、Lo−Dの製品の項で、このような私の考えを述べさせてもらったが、これは、他のメーカーにもいえることであって、Lo−D製品に限ったことではないことをつけ加えておく。
 Lo−Dのアンプの中での最高級機種といっていい、セパレートアンプ、HCA9000とHMA9500は、以上述べた性格を過不足なく備え、数々の技術的フィーチュアや、製品の特性には、最新最高のテクノロジーの生きた優秀なものであった。
HCA9000の特徴
 HCA9000プリアンプは前段ICLのDC構成をとり、出力段のコンデンサーにも周到なセレクトのおこなわれたもの。その選択と使い方には音質との兼ね合いが十分配慮され、アンプ作りのコツの一端をうかがい知ることが出来る。ボリュウムは連続可変で、クリックのないところが気に入った。音楽ファンにとって、音をカチカチと段階的に増減するという感覚は抵抗があって不思議ではない。4連ボリュウム採用で残留ノイズは耳につかない。出力インピーダンスは40Ωと低いから、スピーカーを近づけて使いたい人には、ラインレベルでコードを延ばすのに好都合。電源は全段独立安定化電源を採用し音質へのキメの細かい配慮をおこなっている。MCヘッドアンプはS/Nのよいもので、パネル面で切替えが出来る便利なもの。薄型のデザインは率直にいって、それほど高級感があるとはいえない。かなりこった作りではあるが、その割に効果が上っていないようだ。
HMA9500の特徴
 HMA9500パワーアンプは、日立が開発した新しいデバイスの誕生によって実現したもので、技術的なオリジナリティを持った製品だ。コンプリメンタリーパワーMOS−FETという素子がそれで、オーディオ用のパワー素子として優れた特徴をいくつかもっている。大きな電力ゲインをもっているため、複雑なドライバー段を必要とせず、比較的シンプルな構成で、高いリニアリティをもった音声出力を得られる。回路構成は、左右独立電源のDCアンプで、NFBループにコンデンサーは使用していない。
HCA9000+HMA9500の音質
 HCA9000とHMA9500の組合せによる試聴では、透明感のある繊細な音の粒立ちはよく生かされたが、豊かな力強さの点で、少々不満があった。ヴァイオリンは、線がやや細く硬目の響きだが、芯のしまった音で、演奏の毅然とした精神性がよく表現された反面、柔軟でしなやかな遊びの雰囲気といったものが希薄であった。ピアノの質感は高く、響きが冴える。オーケストラでは、弦合奏の高域が時々とげとげしくなる傾向があったが、弦のプルートの数がだんごになってしまうようなことがなく、分離が大変よく聴こえた。トゥッティでのエネルギーバランスとしては、やや高域が勝って聴こえたがこれは、ジャズのビッグバンドでの低域の図太さの再現不足とサックス群のハーモニーの厚みの再現不足と共通したイメージであった。しかし、こうしたバランス上の問題は、スピーカーや部屋のコントロールで補える範囲でのことであり、それほど大きな不満とはいえない。MCヘッドアンプ使用の音は、癖のない、おとなしいもので、歪感がない好ましいものであった。総合的に、緻密で明解な音は、音量によって音色変化の少ない使いよいアンプであった。
菅野沖彦

ステレオサウンド 52号(1979年9月発行)
特集・「いま話題のアンプから何を選ぶか 最新セパレートアンプ32機種のテストリポートより

 エクスクルーシヴはともともパイオニアの最高級品につけられたシリーズ名だが、いまや、そのラインアップが独立して、販売経路も独自のものとなった。しかし、その製品開発のバックグラウンドは、まぎれもなくパイオニアである。このメーカーは、オーディオ専門メーカーとして伝統に輝く名門であるが、企業規模が驚異的に拡大し、大量生産大量販売の態勢をとらざるを得なくなった。そこで、小規模の専門メーカーとして、少数のオーディオマニアとのコミュニケイションを大切にしようとする心意気と、最高級品を開発しテクノロジーの水準を高め、それを量産品にフィードバックしようとする好ましい考え方、プレスティッジ商品を持つことによる有形無形のイメージアップなど、利口なパイオニアなら当然考えるであろう政策から生れたのが、エクスクルーシヴ・ブランドなのだ。そして、このC3a、M4aの前身であるC3、M4、そしてM3といったセパレートアンプが5年あまり前に、このブランドで初めて登場した。今、その製品群はプレーヤーシステムにまで拡大されるに至ったが、おそらく、近々全ジャンルの製品群が顔をそろえることになるのだろう。同社によれば、最新のテクノロジーとクラフツマンシップのバランスの上に立って、「音楽に陶酔する」ことを目的としたロングセラーのハンドメイドの最高級品をエクスクルーシヴ・ブランドの主旨としている。確かに趣味の対象としてのオーディオ製品は当然こうあらねばならないが、この姿勢が単なる政策に終らないように祈りたい。パイオニアがなくなってもエクスクルーシヴだけは残ったというような世の中にでもなったら最高だ。半分冗談、半分真面目にである。これだけの多くの電気メーカーがあるのだから、各々、それぞれ特徴をもち、存在の必然性に支えられて反映すべきだと思うからだ。パイオニアのオーディオ製品作りの実力を見せつけられたC3、M4は5年前から魅せられ、特に、M4については、絶賛し、愛用し続けてきたかのであるが、今度、そのマークIIとでもいうべきa型の登場には、一抹の期待の不安の交じり合った気持をもっていたものである。
C3aの特徴
 どちらの製品も、デザイン的には大きな変更はなく、内容的に従来のものを基本として現時点でリファインした製品だ。C3aは豊富な機能を持ったコントロールアンプで、そのオーソドックスなコンセプトは、マランツ♯7に基本を置いたコントロールアンプのクラシックといってよい機能レイアウトを持っている。入力端子は豊富で、フォノ2回路とライン3回路はロータリースイッチで切替式、別にレバースイッチで、フォノとチューナーが切替えて使えるようになっているから、フォノは3回路ということになる。しかし今流行のMC用ヘッドアンプは内蔵していない。C3からC3aになって、ちょっとしたらMCヘッドアンプでもつくのかと思っていたが、それをしなかったことに、私はむしろ好感を持った。これでMCヘッドアンプを入れることになったら、相当な設計変更を要するし、とってつけたようなヘッドアンプ追加なら、しないほうがよいと考えたのであろうオリジナル尊重の気持を感じたからである。パーツ、配線などの地味なリファインにとどめてくれたことはよかったと思う。真の高級品には、頑固さがあるものだ。
M4aの特徴
 M4aも同様、細部のコンストラクション、線材、パーツのリファインなど、そして、電源の強化といったベイシックなポイントに手を入れたと聞くが、今流行のDCアンプ構成でも、サーボアンプでもない。たぶん、今回試聴したアンプの中では、もっともオーソドックスなものであろう。このアンプの音を聴くと、いったい、DCアンプのどこがいいのか? という疑問が涌くほどである。A級動作のアンプで、パワーも50W×2だが、その力のあること! 下手なオーバー100Wクラスのアンプに勝るとも劣らぬパフォーマンスを示したのであった。スピーカーのエフィシェンシーが93dBのJBL4343でなら、強烈なダイナミックレンジをもつプログラムソースを十分なラウドネスで鳴らしても、低音のピークが全く安定しているのには驚いた。
C3a+M4aの音質
 しなやかで、ふくよか、艶のあるヴァイオリンの音の美しさは、ちょっと他のアンプでは得られない次元の異なる緻密さであり、美しさであった。音色の分解能は秀逸で、ごく微妙な楽器の音色ニュアンスをはっきりと再生し分け、音の粒子の細やかさは魅力的というほかはない。その力感については先に述べた通りだから、あらゆるプログラムソースに品位の高い再生音を聴かせてくれることになる。M4との差を強いていうならば、M4の持っていた中音域の豊麗さが、ややコントロールされてしまったために、その色気の魅力が少々薄れたといえるかもしれない。しかし、全帯域のエネルギーバランスは、M4aのほうが明らかに充実したといえるだろう。この辺はもう好みの領域といってよいもので、普遍性をもって、どちらがよいかをだんていすることは私には困難である。M4の中域の特徴がやや好みに合わない人にはM4aは明らかな改良であろうし、私のように、M4の中域の甘美な、とろっとした魅力が好きな人間にとっては、正直なところ、もう、どっちでもよいという気持である。その分、M4aが、全帯域が高密度化しているからである。M4aのほうへの賛辞が多くなってしまったが、C3aとM4aは、明らかにM4aのほうが魅力がある。唯一の欠点、冷却ファンの音がやや耳障りな点を除いては、そのシンプルなデザインも品がよくて大変好ましいからだ。C3aのデザインは、先にも書いたようにオーソドックスで特に悪さもないが、オリジナリティに欠ける。ツマミ類のバランスもいいとはいえないし、質感と風格にも欲をいう余地があるからだ。
菅野沖彦

ステレオサウンド 52号(1979年9月発行)
特集・「いま話題のアンプから何を選ぶか 最新セパレートアンプ32機種のテストリポートより

 細かい音色のニュアンスを再現しきれないので品位の高い再生音とはいいにくい。全体に、音の汚れが耳につく感じで、それぞれの楽器の固有の魅力を味わいにくいアンプだ。派手で、効果のある音ではあるが、セパレート型としての品位の点では物足りない。

オーレックス SY-99, SC-88

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菅野沖彦

ステレオサウンド 52号(1979年9月発行)
特集・「いま話題のアンプから何を選ぶか 最新セパレートアンプ32機種のテストリポートより

 音の感触は、ややウェットで粘り気がある。ピアノの粒が重くなる傾向だし、ヴァイオリンも、やや響きがにぶい。低音が堂々と力強く豊かでいいが、中高域の魅力に、もう一歩、洗練された磨きが欲しい。大音量での音くずれは少ないが、小音量ではやや冴えない。
菅野沖彦

ステレオサウンド 52号(1979年9月発行)
特集・「いま話題のアンプから何を選ぶか 最新セパレートアンプ32機種のテストリポートより

 キメの細かいスムースな音は、きわめて洗練された品位の高いものだ。暖かい肌ざわりをもっているし艶のある、粘りのある音は、美音といってよい次元にまで高められている。しかし、反面、素直さ、自然さの面で少々不満がある。荒さは荒さとして聴きたい。
菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 大容積のホールなどで鳴らすべきシステムである。いかにもアルテックらしい本当の意味でのパブリックアドレスシステムといえよう。

UREI Model 813

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 武骨なスタジオモニターながら実に堂々たるアメリカンサウンドを聴かせてくれる。アルテックの音には違いないが、高域の歪感のなさは、確かにリファインされたモデルといってよい。

ロックウッド Major

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 タンノイの38cmHPD385Aを使ったシステムながら、オリジナル・タンノイとは一味違った雰囲気を再現する。より明快に音が立ち、低域も引き締っている。タンノイユニットの優秀さがマニアライクに仕上げられたシステムだ。

JBL 4333A

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 最もオーソドックスな3ウェイモニタースピーカーだ。音はあくまで精緻で正確無比、それでいて音楽の味わいを聴かせてくれるところが、やはりJBLの持っている良さである。
菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 一種独特な雰囲気をもっている。同社を代表するスピーカーの一つだけに、相当高度なところで聴き手の嗜好と可能性を問われる、本格的大型フロアーシステムである。

JBL L300

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 同社の3ウェイモニタースピーカー4333Aに相当するユニット構成をもつシステムだけに、本格的なJBLシステムの良さを十分にもった、ワイドレンジな、優秀なスピーカーの代表といってよい。

マッキントッシュ XR7

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 マルチウェイ・マルチユニットの行き方をしたスピーカーとして、地味ながら聴くほどによさのわかるスピーカーといえる。優れた指向性と平均したエネルギーバランスの良さが素晴らしい。

マグネパン MGII

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 ついたて状の平板スピーカーで、このタイプの中では最も妥当なバランスを持っている。癖がなく、平面波による音が独特な音場をつくり出す。

アルテック A7-X

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 本来は劇場用の2ウェイシステムだが、難なく苦なくスケールの大きな、立派な音が得られる製品である。
菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 同社のスピーカーの特徴は、明快さ繊細さよりも粘りのある重厚さ、たくましさにある。その点、好みのわかれるところかもしれないが、同社を代表する本機の力強い音は魅力だ。

アルテック Model 19

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 同社の本格的ホーンシステムはプロフェッショナルユースとして開発され、実際に多くの劇場やPA用として使われているが、それを家庭用システムとした製品が本機だ。やはりホーン型ならではのトランジェントのよい、スケールの大きな音だ。

ソニー SS-G9

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 同社の最高峰大型フロアー型4ウェイシステムで、豊かな堂々たる再生音が得られる。決して枯れた音ではなく、あくまで現代的な、生々しいリプロダクションが可能なスピーカーだ。
菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 同社初のトールボーイ・フロアー型で、両側面に取付けられた30cmウーファー、20cmミッド、ドーム型のミッドハイとトゥイーターによる4ウェイ5スピーカー構成。

アルテック 620A Monitor

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 決して生の音に近い音を再生するわけではないが、使い手次第で可能性の広がるスピーカーといえる。いかなるプログラムソースのファクターも忠実に伝えてくれることは確かだ。

スペンドール BCIII

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 BCIIのスケールアップ版といえ、相当パワフルな再生にも応えてくれる。BCIIはパワフルな再生は無理だが、その分瑞々しさでは勝る。

JBL L220

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 同社のニュージェネレーションともいえるトールボーイ型の新製品で、やはり輪郭の鮮やかな明るい音だ。

セレッション Ditton 662

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 基本的には先の66のグレイドアップ版で、多少現代的にすっきりと明るい音に変っている。やはり可能性の大きな立派なスピーカーだ。

ダルクィスト DQ10

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 ユニークな形状を採用したダイナミック型スピーカーで、フェーズドアレー方式と呼ばれる、各ユニットのボイスコイル一を同一平面上に揃える方式がとられている。

タンノイ Arden

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 38cmHPDユニットを使った大型フロアー型で、堂々としたスケールの大きな再生が可能。最近ユニットとレベル調整が改良され、MKIIとなった。

セレッション Ditton 66

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 スケールが大きく、しかも小味な面ももつ立派なスピーカーだ。オールマイティさが最大の魅力。

KEF Model 105

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 音像・音場再現という点で優れたリプロダクションが得られるスピーカーだ。さすがに専門メーカーのキャリアがうかがえる実力派のシステムといえよう。
菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 一時のARサウンドからするとずいぶん明るくなり、従来の重厚さに加えて音の抜けがよくなった。クラシック、ジャズを問わず実に立派な再生をしてくれる。

タンノイ Berkeley

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 デュアルコンセントリックユニットを使ったシステムとしては中型に属するフロアー型で、がっちりとした低域をベースに明快なきりっと締った中域から高域がバランスよくハーモニーをつくっている。最近改良され、MKIIになった。

ESS amt Bookshelf

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 先のLS4に比べ、低音の豊かさは足りないが、魅力的な高域が特徴。標準的なバランスの中に独特な高域が光るという感じだ。

テクニクス SB-8000

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 単体発売し好評を得ているリーフトゥイーターを、リファインして最高域に採用した4ウェイシステムの最新作。個々のユニットの優れた能力をフルに生かしてまとめられたワイドレンジ型だ。

オンキョー SL-1

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 60Wの出力をもつパワーアンプとローパスフィルターを内蔵したスーパーウーファーだ。内部の20cmドライバーにより38cm平面型ドロンコーンを駆動するという、音響変成器的動作をする。

BOSE 901 SeriesIV

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 10cmフルレンジを9個使い、間接音と直接音のバランスにより独特の音場を再現することを狙ったスピーカーだ。最近改良され、音に張りが出てきて、使い方によっては大型システムにも匹敵する再現が可能。ローレベル再生にも音がぼけない。

セレッション Ditton 551

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 同社初のバスレフ型を採用した3ウェイの最新型。独特の豊かな音をぐっと引き締めた、ソリッドな音の質感の中に豊潤な潤いを湛えている。

ESS Tempest LS4

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 ユニークなハイルドライバーを高域にもつ2ウェイで、ドロンコーン付25cmウーファーの豊かな低音がうまくそれを支えている。低音と高音の音のつながりが改善され、ナチュラルな音になった。

JBL L110

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 現在の同社ブックシェルフの代表機種ともいえるが、いかにもJBLらしい明快な、それでいて豊かさもあるたのもしいスピーカー。とにかくプログラムソースに含まれている情報は克明に再現する。

ダイヤトーン DS-40C

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 先の401同様ハニカム構造コーンを採用したウーファーをもつ3ウェイだ。やはりクリアーで濁りのない、あくまで屈託なく音を前に押し出してくる大型フロアーの良さが満喫できる。

セレッション Ditton 25

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 同社の代表的製品で、独特な豊かさと明快さを兼ね備えている。そういう意味ではいかにも伝統ある英国製らしいが、うまく鳴らさないかぎりバランスの崩れた音になりやすい危険性大。

ゲイル GS-401A

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 ユニークな外観をもつ20cmウーファー2個をベースとした3ウェイスピーカーだ。英国製だけにさすがにまとめ方はうまく、いぶし銀のような渋い味わいと雰囲気を湛えている。

スペンドール BCII

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ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 先の1000Mのようなオールマイティさはないが、英国のスピーカーらしい瑞々しい音の魅力は他のスピーカーでは得られない、素晴らしいものだ。

オーレックス SS-L8S

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 同社の最近の代表作ともいえる意欲的な製品で、ユニットやエンクロージュアにも技術レベルの高さがうかがえる。堂々たる再生音が聴かれる。

ヤマハ NS-1000M

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 ロングランを続けている、ベリリウム蒸着振動板をスコーカー、トゥイーターに使ったモニタースピーカーだ。新しい素材を使いながらその長所のみをうまく抽出した成功作といえ、いつどこで聴いてもしかるべきバランスで鳴り、音のタッチも明快で、プログラムソースのありのままを再生してくれる標準的なシステムといえる。

テクニクス SB-E200

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 スピーカー開発のオーソドックスなテクノロジーを徹底的に追求して作られた3ウェイシステムだ。ソフトウェア的なまとめ方よりも変換器としての優秀さは見事で、実質的価値が高い。

テクニクス SB-7000

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 ロングライフを誇るフロアー型。グラマラスなスケールの大きな再生音が得られることが特徴だ。

ビクター SX-7II

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 本格的ブックシェルフの代表的構成をもち、透明度が高く素晴らしい奥行き感、ステレオ感を再生してくれる。

ヤマハ NS-890

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 先の690IIに比べ、より明るく説得力のあるスピーカーで、スケールの大きさ、パンチ力がある。

ダイヤトーン DS-401

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ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 スケールの大きな再生音を聴かれる人に適したワイドレンジ型。音の緻密さやキメの細かさもダイヤトーンらしい密度の高さをもっている。

デンオン SC-107

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 3ウェイ5スピーカーシステムながら、明確な音像の輪郭と豊かな肉づき、バランスのいい自然な音を再現する本格派スピーカーである。

KEF Model 104aB

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 20cmウーファーと独特の楕円型ドロンコーン、ドーム型トゥイーターをもつ2ウェイシステムで、端正なまとまりの中に芯のしっかりした音をもっている。

ヤマハ NS-690II

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ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 いい意味での日本的な良さをもった数少ないものの中の一つだと思う。淡泊な美しさの中に透明な味わいがあり、品のいい音を再生してくれる製品だ。

サンスイ SP-LE8T

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ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 20cmシングルコーンの名作LE8Tを一発収めたシステムで、明るく抜けきったJBLサウンドを、実にバランスよく苦労なく鳴らすことができる。

フィリップス RH541

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 MFBを利用したパワーアンプ内蔵の小型システムだ。プリアンプ一台とソース系があればローコストシステムが構成できる点もメリットで、ヨーロッパのスピーカーらしい一つの味わいがある。

オンキョー MX7

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ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 特に強い個性の主張はないが、すべての音楽がどこかに一つの甘さをもって美しく再現されるという点で、先のMX5に共通する。31cmウーファーになり、豊潤な音のスケールがより拡がっている。

JBL 4301WX

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ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 小型ながらJBLらしい本格的な響きを彷彿させるスピーカーで、ハイパワー再生にもそれほど破綻をきたさない。明らかに上級クラスの4343や4333Aの音の線上にありまさにミニジャイアンツという言葉がふさわしい。

セレッション UL6

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 先ほどの分類からすれば後者に当る。本格的ホーンシステムの小型版のような音をもっている。ユニークな設計がなされたもので、音にもたつきがない。

ビクター S-W300

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ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 30cmウーファーと38cmドン論コーンを使ったスーパーウーファーで、別売のアクティブフィルターとの併用により豊かな超低域再生が可能なものだ。

ビクター S-05

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ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 リボン型トゥイーターを採用した3ウェイシステムだが、SX7IIに共通する透明度の高い音が魅力。品位が高く表現力の大きなスピーカーだ。

デンオン SC-106

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ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 5cmコーン型トゥイーターを2個使う3ウェイ4スピーカーのシステムで、ナチュラルな音の感触が魅力のワイドレンジ型。ソースは選ばない。

ロジャース LS3/5A

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ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 小型モニタースピーカーだが、本格的音のイメージをもっている。しかるべき音量で鳴らす分には、質のいい歪みの少ない音が得られる。

B&W DM4/II

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ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 ピリッとどこかにからしのきいた、きちっとした輪郭をもちながら音楽を豊かに再生する。しかし、大型スピーカーのような大音量再生には不適当だ。

パイオニア S-180

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ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 32cmウーファーとボロン合金振動板のスコーカー、トゥイーターによる3ウェイシステムで、アトラクティブなサウンドの世界が魅力である。

ダイヤトーン DS-35BMKII

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ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 いわゆるハイフィデリティ再生を志向したスピーカーらしい、輪郭のはっきりした明快な音がする製品である。精緻な再生というべきか。

セレッション Ditton 15XR

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ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 同社のスピーカーには、独特の豊かさを感じさせるものと、明るく軽快な、ちょっとホーンスピーカーを思わせるようなふっきれた音のものとの二つの大きな流れがあるが、これはどちらかというと前者の暖かいふくよかな音をもっている。洗練された音が魅力。

オンキョー MX5

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 28cmプラスターコーンウーファーをベースにした3ウェイで、独特なしなやかさのある弦楽器の音が魅力的。

ブラウン L300

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ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 先のL100のところでも述べたように、同じ技術的なコンセプトによって作られており、共通な音づくりがなされている。ミニスピーカーながら3ウェイ構成だが、L100より一段とブライトな音色をもち、温覚の表現力が生きるスピーカーである。仕上げは黒と白の二種類。

ソニー SS-G4

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 上級クラスのSS−G5、G7、G9という一連の同社の音づくりの線上にあるサウンドをもつ。標準的ブックシェルフサイズながら、豊潤な低音をベースに下スケールの大きな再生が可能だ。

KEF Model 103

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ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 いかにも英国の代表的スピーカーの音という感じの、輪郭の明快なサウンドが得られる2ウェイシステムだ。私の感覚ではちょっと小骨っぽいという印象だがそれだけ芯がしっかりしているともいえるわけで、むだなたるみのないすっきりとした端正な音が聴かれる。英国のオーケストラのサウンドにも共通するものといえる。

トリオ LS-202

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ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 今までの同社のスピーカーとは全く開発の姿勢が変り、抜けのいい力のある豊かな弾力性に富んだ低音を再生する25cmウーファーをベースにした、スケールの大きな再生音の得られる3ウェイブックシェルフの最新作。大音量再生に十分応えることができるワイドレンジ型だ。

デンオン SC-104/II

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ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 ピアレスのユニットを採用した最初の製品のマイナーチェンジモデルである。25cmウーファーをベースにした3ウェイモデルだが、ロングライフを続けているだけあってまとまりやバランスが一層よくなって、実にナチュラルな音の出方をする。

ビクター SX-3III

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 トゥイーターはソフトドームを使った、ブックシェルフ型の代表といっていいロングライフのものだけあって、リニアリティもよく、本格的な再生にも小音量で鳴らすにもいいスピーカーだ。音のタッチに明確な実感がある。

ラックス MS-10

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 新たにスピーカー開発に乗り出した同社の第一作で、アラミド系コーンの20cmウーファーと2・5cmドーム型トゥイーターを組み合わせた2ウェイシステムである。この価格とこのサイズ(W25×H54×D26cm)の中では比較的オーソドックスなリプロダクションが可能であり、すっきりとした歪みの少ない音とスケールの大きな再生音が得られる本格派だ。

セレッション Ditton 11

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 同社独自のABR(ドロンコーン)をもたない密閉型の2ウェイシステム。小型ながら明快な音楽表現力をもっていることが特徴だ。

ブラウン L100

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 西独ブラウンのスピーカーは、あくまで家庭内での音楽再生ということを基本に開発され、その範囲内での巧みな音のまとめ方がなされている。このL100もそういう意味で、相当主張の強い音だが音楽が説得力をもって生き生きと鳴るスピーカーシステムである。

ソニー SS-5GX

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 小型だがハイパワー再生が可能な設計がなされているだけあって、迫力あるサウンドが楽しめる。音の自然な響きという点では少々メカニックな感じもしなくもないが、精緻な音であることは確かだ。

ヴィソニック David 502

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 ミニスピーカーとして定評のあったダヴィッド50のタイプIIにあたる製品で、ミニスピーカーながら個性的なうまい音楽のまとめ方をする、聴きごたえのある再生音を聴かせてくれる。
菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 高さ42cm、奥行約9cmと薄型コンパクトにまとめられたスピーカーで、同社のモジュールユニット一発のみというシンプルな構成になっている。キメの細かい輝かしい音が特徴で、見た目のようにカラリングが強いが、いかにも英国らしい粋なスピーカーだ。

デンオン SC-101

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 同社の最新モデルで、小型ローコストにまとめられているが、再生音には癖がなく、それでいて決して物足りなくないという点で、いろいろなプログラムソースでも満足感が味わえる製品だ。

ヤマハ NS-10M

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菅野沖彦

ステレオサウンド 51号(1979年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'79ベストバイ・コンポーネントより

 小型ブックシェルフスピーカーながら、迫力ある音を再生する、どちらかというとヤング志向の音楽に向いた製品だ。18cmウーファーと3・5cmドーム型トゥイーターによる2ウェイ。

ナカミチ Nakamichi 600II

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

キャリアの生きた充実した内容と独創的なデザインが魅力。

パイオニア CT-800

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ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

操作性とフィーリングの円滑な聴きやすい音質のデッキ。

アカイ GXC-709D

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ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

堅実な基本性能と着色の少ない音質に好感がもてる。

ソニー TC-4550

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ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

デザインも内容も高度な魅力的ポータブルデッキ。

ビクター KD-4

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ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

優れた機能と性能をもったマニア向けポータブル機。

アイワ AD-7500

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ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

実用性と信頼性の高いセンスのいい製品。

オーレックス PC-4280

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ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

シリーズ化にアイデアが生きたマニアライクなポータブル機。

トリオ KX-9000

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ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

優秀な性能、音質がデザインとマッチしないが、高度な実用機。

ソニー TC-K6

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

手慣れた設計製造の安定した使いよい高性能機。

ティアック C-1

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ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

カセットデッキに新風を吹き込むデザインと高度な性能の高級機。

サンスイ SC-7

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

地味ながら堅実な性能とバランスのいいデッキ。

Lo-D D-900

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

完全に使いこなした3ヘッド構成の優秀機。音のよさも抜群。

ビクター KD-85SA

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ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

音質の優秀性は単に物理特性の達成を越えた出来栄え。

テクニクス RS-M85

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

永年の同社のカセット技術が結実した高性能なマニア向き製品。

アンペックス AG-440CS-2C

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

名門の伝統技術をベースに最新型化された正統的なプロ機。

デンオン DH-710F

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

コンシュマー機器として存在するが実質はプロ機。

スチューダー A80MKII

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

きわめて高度な機械精度と安定性をもつ高性能プロ機。

アカイ PRO 1000

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

プロ用メカをコンシュマー化した高級な民生用機。

ルボックス A77MKIV

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

高度なメカニズムを表に出さず、コンシュマー機器化した高性能機。

テレフンケン M15A-2

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

スムーズな動作特性は機械系の精密度を感じさせる高信頼度機。

パイオニア RT-707

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

独創的なデザインの魅力と安定した動作性をもつ実用的製品。

ナグラ VI SD

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

精密な加工技術とプロの新しい試練を経たユニークなポータブル機。

テクニクス RS-1500U

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

独自なメカニズムによる個性的存在。シリーズ性も高く評価できる。

ソニー TC-5550-2

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

高品位な生録に欠かせないユニークなコンパクトなオープン。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

豊富な機能をもつ安定性と信頼性の高いプロ用ポータブル機。

グレース G-945S

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

長いキャリアを生かした信頼性と実用性の高いオイルダンプアーム。

ビクター UA-7082

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

トレースの安定性、多種カートリッジへの適応性等実用性の高い製品。

オルトフォン AS212MKII

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ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

アームのスタイルに一時代を作った同社の新シリーズ。

テクニクス Plusarm 101T

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

マニアの使用条件を理解して開発されたユニークな製品。

SAEC WE-308SX

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

アームの問題を正面から掘り下げ、高い加工精度で攻めた力作。

デンオン DA-307

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

やや甘さはあるが耳ざわりな音を完全にコントロールした製品。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

アームの基本性能を忠実に追求した信頼性の高い正統派。

マイクロ MA-505X

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

安定したトレース性能をもつ使いやすい高性能トーンアーム。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

音の良さと機械としての趣味性を高次元で満たす高級アーム。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

専門メーカーらしい高い技術水準による設計と高品位な材質、仕上げ。

SME 3009/SIII

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

最高級アームの典型を現時点で設計し直した高級機。

マイクロ DDL-150Z

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

回転機の基本性能を機械的に重視した重量機。

ビクター TT-101

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

デザインは個性が強いが性能と対応性は最高度の製品。

ラックス PD121

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

ベースと一体のデザインの美しさは抜群。

デンオン DP-7000

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

オリジナル設計を着実にリファインして得られた高性能をもつ。

テクニクス SP-10MK2

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

この種の高性能機のオリジナルであり、今も最高性能を維持。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

明解で鮮やかな濁りのない音質が魅力の高級機。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

レコードからレコードらしい音の魅力を拾い上げる製品。

オルトフォン FF15MKII

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

いかなるレコードも着実に再生するお買得な製品。

ビクター X-1II

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

基本設計を着実にリファインしつづけて得られた緻密で高品位の製品。

ソニー XL-45II

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

きわめて高品質な製造仕上げによる高級感溢れるMM型カートリッジ。

シュアー M75ED TypeII

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

絶対に信頼性を持ち得る高い実用性とバランスのよい音が魅力。

ピカリング XV15/625E

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

美しいバランスで音の姿を忠実に再現する実用性の高いカートリッジ。

グレース F-10P

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

カートリッジの長いキャリアを活かした堅実で妥当なバランスが魅力。

ピカリング XSV/3000

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

繊細緻密な美しさと重厚なたくましさを両立させた高級機。

フィリップス GP412II

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

輝かしく艶のある音色は音楽の質を効果的に盛り上げる。

アントレー EC-10

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

MC型の陥りやすいクセをよくコントロールした味のある製品。

デンオン DL-103

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

代表的製品としての風格をもつロングライフな標準機。

オルトフォン SPU-A/E

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

重厚、華麗な生きたサウンドは設計の古さを超越した風格をもつ。

テクニクス 100C

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

最高級品の面目躍如たる作りの高さと精緻な音質をもつMM型。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

すべての音楽を生き生きと血の通った表現で聴かせる安定した製品。

エンパイア 4000D/III

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

彫琢の深いブライトな力強い音質が魅力のカートリッジ。

シュアー V15 TypeIV

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

専門メーカーらしいレコードヘの理解が生んだ最新の設計。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

MC型の特徴を十分発揮した緻密でエネルギッシュな再生音をもつ。

オルトフォン MC20

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

新しい時代の技術水準で伝統をリファインしたMCカートリッジ。

デュアル CS721

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

オートマチック機構の積重ねが生んだ優れた性能の高性能機。

マイクロ DD-7

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

プレーヤーの基本性能を正統的に追求した中級機。

ソニー PS-X6

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

プレーヤーの基本性能の徹底的追求から生まれた普及機。

ダイヤトーン DP-EC2

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

電子コントロールの便利さとマニュアルのよさが一致した実用機。

デンオン DP-6700

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

高性能と安定性、妥当な音質のバランスをもった使いよい高級機。

トリオ KP-7700

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

デザインは高級な重厚感に欠けるが内容の充実した優秀機。

サンスイ SR-929

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

レコード愛好家の心情を満たす重厚なデザインが魅力。

マイクロ DQX-500

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

独創的なコンセプションによる最新設計の注目機。

テクニクス SL-1300MK2

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

機能性と基本性能がよく練られた実用性の高いプレーヤー。

ヤマハ YP-D9

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

音楽重視の設計と地味ながら使いよいデザインの落着きをもつ中級機。

B&O Beogram 4002

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

プレーヤーデザインの常識を破る前衛的美しさに溢れた個性的製品。

ビクター QL-A7

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

外観、内容ともに高品質、高性能の価値の高い中級機。

ヤマハ CT-7000

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

主張の強いデザインにオーソドックスな機能と性能が内包されている。

アキュフェーズ T-101

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

新しい製品ではないがすべてにチューナーの基本性能を確立した優秀機。

オーレックス ST-720

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

ユニークなアイデアの使う楽しみに溢れたマニア向きチューナー。

オンキョー Integra T-408

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

ローコストながらチューナーの基本性能と音質に優れた製品。

マッキントッシュ MR78

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

高周波部門に長いキャリアをもつ同社らしい最高級チューナー。

デンオン TU-1000

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

操作性にヒューマニティを残した本格的高級チューナー。

ラックス T-12

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

独創的な操作性とデザイン感覚の冴えた製品。

トリオ KT-9700

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

オーソドックスなデザインと高度な性能を併せもった好水準器。

パイオニア F-26

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

デザイン、機能がシンプルで高い性能を内に秘めた高級チューナー。

セクエラ Model 1

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

驚くべき豪華なディスプレイをもつ夢のチューナー。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

チューナー機能に新時代の到来を感じさせる意欲的製品。

ダイヤトーン DA-A100

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

新しい製品ではないがそれを超越した内容をもつ。

ビクター JM-S7

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

ウォームで力強い立体的音響は自然なタッチの音を再現。

ラックス 5M20

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

新しいテクノロジーとラックスの音への指向の接点を感じる製品。

トリオ L-07M

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

ソリッドなサウンドはたくましく、そして豊かに響きわたる。

マッキントッシュ MC2205

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

伝統の技術が新しいテクノロジーでリファインされた美しい製品。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

力感と質感が第一級の実力派パワーアンプ。

Lo-D HMA-9500

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

オリジナリティをもつ回路による高性能な信頼性高い製品。

アキュフェーズ P-300S

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

製品づくりの信念による充実した内容と安定性が立派。

マッキントッシュ MC2300

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

大出力アンプの範となった王者的風格。

オンキョー Integra M-505

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

特性のよさよりも音のよさが印象づけられる製品。

ヤマハ B-3

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

ベーシックなアンプとしてよく練られた堅実な使いよいパワーアンプ。

GAS Ampzilla II

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

独特な粘りと力強さをもった立体的な音の魅力は他に得がたい製品。

パイオニア M-25

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

高い作りと美しいデザイン、輝かしい音質、三位一体の製品。

QUAD 405

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

家庭用の製品としてのあり方を示唆するユニークなパワーアンプ。

ヤマハ B-4

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

パワーアンプのマルチプルユースに真価を発揮すると思われる好製品。

ヤマハ B-4

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ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

パワーアンプのマルチプルユースに真価を発揮すると思われる好製品。

マランツ Model P510M

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

標準機たり得る力と音色のバランスをもつ信頼性の高い製品。

パイオニア Exclusive M4

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

きわめて快い質感と情報量の多い緻密なサウンドをもつ高品位なアンプ。

オーレックス SY-77

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

このメーカーのアンプの水準を見直すに十分な力作。

ラックス CL32

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ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

スッキリした外観とあたたかく艶のあるサウンドが魅力。

アキュフェーズ C-200S

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ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

高度なテクノロジーとクラフツマンシップの感じられる高級品。

パイオニア C-21

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

スッキリとしたスタイリングと爽やかな音色のお買得品。

マッキントッシュ C32

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ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

磨き抜かれた伝統技術とサウンドが高次元で一致した製品。

ビクター P-3030

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ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

きわめて小味にまとめられた緻密さが魅力の製品。

ソニー TA-E88

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ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

やや人工的なタッチだがその艶と輝きは軽やかだ。

オンキョー Integra P-303

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

デザインや機能には注文があるが、このしなやかな音質の良さは独得。

パイオニア Exclusive C3

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その名にふさわしい内容を持つ喜びを満たしてくれる風格。

AGI Model 511

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

鋭い立上りと豊かな余韻がバランスした表現力の強いプリアンプ。

GAS Thaedra II

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ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

最新のテクノロジーが個性ある製品に巧みに活かされた最高級製品。

ヤマハ C-2

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

プリアンプの機能と内容が合理的にまとめられた高級機。

ヤマハ C-4

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

プリアンプの同社のキャリアが結集した充実した内容のローコスト化。

ラックス L-309V

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

完成度の高いロングライフの製品で、大人の風格をもつ。

ヤマハ CA-R1

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

価格の中に最高度の内容の充実を盛り込んだ使いよい実用機。

ソニー TA-F5

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ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

普及価格帯にありながら新しいテクノロジーを生かした買得品。

マランツ Model 1152

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

ブライトな外観とサウンドが一致した説得力豊かな性格のアンプ。

パイオニア A-006

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

物理特性の優秀性をスッキリとしたデザインの中に秘めた製品。

ビクター JA-S77

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

肌ざわりのいい質感が優れた特性に裏づけられた使いごたえのある製品。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

物理特性と聴感性の一致を求めて成功した優れたアンプ。

ヤマハ A-3

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

新鮮な感覚によるこのクラスの製品中の個性的存在。

サンスイ AU-707

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

プリメインアンプの代表機として高度に煮詰められたアンプ。

テクニクス SU-8075

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

最も使いよい優秀な特性を感じさせる手頃な製品。

トリオ KA-7300D

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

DCアンプのキャリアが生きた充実した高性能機。

デンオン PMA-830

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

最新回路を使いこなしたウェルバランスの新鮮なサウンド。

サンスイ AU-D907

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

最高級品としての内容の充実とその成果が発揮される優秀機。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

独創的主張をもった存在価値のある製品。音はしたたか。

ブラウン LV720

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

輝かしく風格のある充実したサウンドと緻密な製品仕上げ。

トリオ LS-707

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

サイズにふさわしい余裕と力感をもった大きな表現力。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

ハイセンスと独創的技術のマッチした高密度ブックシェルフ。

キャバス Sampan Leger

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

独特のムードをもつ音楽に色気を与えるフランスのエスプリ。

JBL L110

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

新しいコンセプションによるブックシェルフの最新型。

ソニー SS-G5

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

手頃なサイズと価格で大きな音楽的効果の上る高い実用性。

BOSE 301

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

美しい質感がキメの細かい音楽の心のヒダをよく伝える。

BOSE 901 SeriesIII

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

独自の理論と主張をみなぎらせた個性的な高級スピーカー。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

音楽的バランスのよさと作りの美しく充実したシステム。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

元祖ARの目を見張る変身が見事に明晰に結実。

オンキョー M6II

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

きわめて強烈な主張をもった積極的な表現力が魅力。

アルテック Model 19

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

プロ機の技術が輝く堂々たるハイファイスピーカー。

アルテック A7-X

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

歴史と実績に保証された最新の技術が光る王者的風格。

B&W DM4/II

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

一味違う趣きと妥当なウェイバランスをもつ使いやすい製品。

テクニクス SB-X3

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

濁りのないスッキリとした明るい音色とデザインがみごとに調和。

ヴィソニック David 50

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

超ミニスピーカーとしてのオリジナリティ溢れる魅力。

ボザーク B410 Moorish

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

堂々たる風格の外観と内容、そしてサウンドが調和した重厚な製品。
菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

明快精緻な再現能力と張り出した中域が直接的表現力を聴かせる。

セレッション Ditton 66

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

豊かな表現と音の厚みに魅力のあるディットン・シリーズの代表。

テクニクス SB-7000

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

オリジナリティ溢れる外観と内容。豊かなサウンドはスケール大。

デンオン SC-107

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

自然な楽器の質感と聴感上優れたバランスのハイセンスなデザイン。

オンキョー M55

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

自然なバランスとあたたかいサウンド、大きな許容入力の本格的ミニ。

デンオン SC-104

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

SC107の廉価板として完成度の高いバランスをもつ。

ダイヤトーン 2S-305

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

高い技術と伝統に磨き抜かれたオリジナリティの溢れた製品。

サンスイ SP-G300

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

ジャズに圧倒的量感と表現の強さを生かす安定したフロアー型。

ダイヤトーン DS-201

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

コンパクトながら、その余裕のある低音とバランスのよさが立派。

ダイヤトーン DS-25B

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

小型ながら表現力の大きな若々しい魅力的なサウンド。

JBL L300

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

JBLの本格的ユニット構成による民生用代表機種。

ヤマハ NS-10M

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

他に先がけて商品性を創造した本格派コンパクトスピーカー。

UREI Model 813

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

モニターとしての確度と音楽の魅力がバランスした優秀製品。

パイオニア CS-955

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

いかにも高級機と呼ぶにふさわしい中身とそのサウンド。

ビクター SX-3III

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

オリジナリティとその数回にわたるリファインにより独自の存在。

セレッション UL6

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

大型システムの質感を縮小したかのような小癪な製品。

JBL D44000 Paragon

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

どうしても消えてほしくない工芸的逸品。

スペンドール BCII

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

品のいい響きと音楽のリアリティが生きた味わいのある製品。

JBL 4343

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

4ウェイコンセプションを実現した堂々たるモニターシステム。

ヤマハ NS-1000M

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

独創的な技術と巧みな音まとめが調和した本格派。

QUAD ESL

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菅野沖彦

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ'78ベストバイ・コンポーネントより

繊細華麗かつ高品位な音とユニークなデザインが魅力。
菅野沖彦

音[オーディオ]の世紀(ステレオサウンド別冊・2000年秋発行)
「心に残るオーディオコンポーネント」より

「心に残るオーディオコンポーネント」10機種を選び、それらを選んだ理由、心境、自身のオーディオ史のなかでのポジションについて、選べなくて残念な製品について等書くようにとのことであるので、いかに思いつくままに選考後記として感想を述べることにしようと思う。
 心に残る〜となると、当然、個人的な思い入れの深いものということがその選択の最大の理由であろう。客観的に高く評価することと、好きになることや欲しくてしょうがないという衝動を感じることとは別である。したがって、そういう、自分にとって客観的な存在に止まるものは、いかに優れた製品でも、頭に記憶としては残っても深く心に残ることはない。反対に、欠点だらけのものを好きになることも珍しいことではないだろう。「あばたもえくぼ」という諺もあるように......。そして、それらは、当然、心に残るものになるだろう。
 そんなわけで、僕が選んだ10機種は、僕のオーディオ人生のなかで出会った10人のそれぞれに素晴らしい大好きな恋人達であるといってよい。むろん、片想いであっても、心に残っているものならばそれもよいのだろうが、僕にとってこれら10機種のすべては恋が成就したお相手達で、すでに僕のもとを去っていったものもあるが、いまなお付き合いの続いているお相手が多いのである。このほかにも、短期間の軽い浮気や恋の相手で心に残っている物もあったし片想いもなかったわけではないが、これら10機種がとくに深く心に残るオーディオコンポーネントなのである。
 さて、そうは言うものの、ここで人と物との違いを意識しないわけにはいかない。恋人の場合は、出会いと縁が優先し、感情が支配的で、その理由などと言われても言葉に窮するで四郎。その先がどうなるかは未知であるのが恋愛で、結婚に発展することなどを初めから期待したり、前提とするとしたら、恋愛としては、むしろ不純かもしれない。結婚に発展することは大いにあり得るだろうが、恋愛で終わることも悔いなしとすべきものが恋愛だ。だから恋人との出会いは、自然、かつ本能的で感情的、衝動的な場合が多いのではないだろうか。しかし、初めから結婚を考えてのことならば、冷静客観的な熟慮熟考も必要であると思う。つまり、リアリスティックな結婚とロマンティックな恋愛との明確な認識の問題である。両者の両立を理想とすることに異論はないが、曖昧な認識とセンティメンタルな単純思考のまま、恋愛を結婚に移行させることは失敗につながりやすい。だが、相手が物となると、両者の両立が現実に可能なはずである。もちろん、それでも失敗はあり得るし、長い間には心変りも起きるのが人間の業というものであろう......。これら10機種のコンポーネントの知的選択理由は、個々の製品についての項で述べるので、ここではひと言、「いまでも飽きないから」を理由としておこう。
 さてつぎに、これらの製品を選んだ心境とあるのだが、正直なところ、僕には質問の意味がもうひとつ理解できない。懐かしいと感じるほど古い物を選んだわけではないし、あらためてもう一台欲しいとも思わない。強いて、いまの心境といえば、これらの製品達が僕に与えてくれた素晴らしいオーディオ人生に感謝したい気持ちである。
 自尽のオーディオ史のなかでのポジションということについては、総体的には、冒頭の恋愛、結婚観にたとえて述べた「愛機観」をその答えとしてよいと思うのである。ダイヤトーンのBTSモニターである2S305だけは僕自身で所有したことはないが、長年勤務していた会社でモニターとしてなじんだスピーカーシステムである。これ以外はすべて僕が持っていて愛用したか、あるいは現在愛用中の物ばかりであり、僕のオーディオにはなくてはならない物ばかりだ。
 最後に、選べなくて残念な製品についてだが、なにしろ半世紀をはるかに越える僕の長いオーディオ人生である。SP時代からの物を取り上げたら大変な数になるだろう。カートリッジだけでも百個ぐらいは使ったと思うから、その気になって引っ張り出したらきりがないと思うほどである。自分で所有しなかったけれど憧れたものまで挙げたら、プレーヤー、アンプ、スピーカーだって数知れないほど心に残っている物はある。録音機器関係などは買いたくても買えなかった物ばかりであり、いまでもマイクロフォンなど周辺機器を具体的にここに名前を挙げだしたら、それだけで与えられた字数を使ってしまうだろう。あれをあげたらこれも......と、きりがなくなり、なんのために苦労して10機種に絞ったのかがわからなくなってしまう。

スピーカーシステム   ダイヤトーン   2S305
            マッキントッシュ XRT20
            ワーフェデール  エアデール

スピーカーユニット   JBL        375+537-500

パワーアンプ      マッキントッシュ MC275

アナログプレーヤー   トーレンス    リファレンス

カートリッジ      オルトフォン   SPU-GT
            シュアー     V15

トーンアーム      SME       3009

トーレンス Reference

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菅野沖彦

音[オーディオ]の世紀(ステレオサウンド別冊・2000年秋発行)
「心に残るオーディオコンポーネント」より

 トーレンスの「リファレンス」を僕が買ったのは、1980年の暮れのことである。その半年ほど前に、マッキントッシュXRT20を入れて、これとの蜜月に夢中になっていたころのことだ。CDの登場間近で、LPが終焉を迎えるかもしれないなどと言われ始めたころでもある。連日、XRT20でLP鑑賞に耽っていたのだが、プレーヤーをもっとよくしたら、さらにいい音になるはずだ......と想うと、居ても立ってもいられない気持ちになったのであった。
 じつはその十数年来、アナログプレーヤーには悩んでおり、なかなか気に入ったものがなかったのである。EMTはアームとカートリッジの制約が気に入らなかったし、あのいかにもスタジオ機器然とした雰囲気も仕事の気分から解放されないようで嫌だった。DDはどうも音が悪いし、リムドライブももうひとつ......不満があった。糸ドライブでもやろうか? とも考えたが年中不安定で、いつもテンションに気を使わなければならないという煩わしさも音楽鑑賞上邪魔になりそうで嫌だった。結局、落ち着くところはベルトドライブで、慣性モーメントの大きいターンテーブルを小トルクの小型モーターで回すものがいいと考えていた。そしてまた、重量とソリッド剛性一点張りの偏った設計思想によるものは真っ平ごめんで、曖昧さを否定するという青臭い理屈を掲げて、あんなにロッキーなマニアックなサウンドに熱中する餓鬼には成り下がれなかった。かといってフラフラ軽量ターンテーブルもお呼びでない。つまり、当時僕が思い描いていたプレーヤーは、豊富な物量投入による重量級で、適度な剛性とダンピング、Qの分散をはかった、トータルバランスに優れたものだったのである。さらに、できれば、トーンアームは自由に交換できて、同時に数本取り付け可能なものが望ましい......などと欲張っていたから、そんなプレーヤーが簡単に見つかるわけはないだろう。しかし、CD時代も間近だし、そろそろアナログプレーヤーを決めなければ......とも考えていた矢先の、トーレンスの「リファレンス」の発売だったのである。縁というものはこういうものであろう。僕が頭に描いたものにもっとも近いプレーヤーシステムがついに現われたのだから......。当然これを見たときには「おお、これ! これこそ望みうる最高のプレーヤーだ!」と実感したのであった。
 こんなに、ぴったり自分の要望に叶う製品に出会うことは、滅多にあることではない。『ステレオサウンド』誌に書いた「リファレンス」の紹介記事(64号)はつねにも増して熱が入ったことは言うまでもない。そこでも書いたが、ターンテーブルに使う色として、ゴールドとモスグリーンを選んだことにも意表をつかれた思いで新鮮だった。当時、妙に強く印象に残っていた、真冬のアルスター湖畔で会った美女が着ていたモスグリーンのコートの色、そして彼女が肩からかけていた大きなゴールドの金具がついたタンのショルダーバッグと、このプレーヤーの色とのダブル・エクスポージュアが、鮮やかな記憶として残っている。
 わが愛機「リファレンス」は、いまもアナログディスクを聴くたびに満足感を与えてくれる。あの時期によくぞ出してくれた! とトーレンスに感謝しているのである。

ワーフェデール Airedale

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菅野沖彦

音[オーディオ]の世紀(ステレオサウンド別冊・2000年秋発行)
「心に残るオーディオコンポーネント」より

 ワーフェデールの「エアデール」は、20代のころの僕の、憧れのスピーカーシステムであった。このスピーカーシステムの開発は、たぶん1950年前後であろうと思われるが、このころ、僕は自作のシステムでオーディオを楽しんでいた。そのスピーカーシステムはまったくのオリジナル発想による3ウェイシステムで、低音は約140cm(H)×80cm(W)×50cm(D)の大型コーナータイプエンクロージュアを、近所の家具職人に頼んで桜材で作ってもらい、これにダイナックスの12インチ・フリーエッジのウーファー(フィールド型)を入れたもの。中音はコーラルの6・5インチ・フルレンジユニットを小型のバッフルボードに取り付けて3基、それぞれ45度の角度をつけたもの。高音は、ディフューザー付きのトーアのホーントゥイーターを真上に向けてセットして、写真印画紙の乾燥に使うフェロタイプ板を天井から斜めに吊るして反射板としたものだった。自分の言うのもおかしいが、このシステムは当時としてはわれながら素晴らしい音で、このままそっくり譲ってくれという人が何人もいたほどだったのである。もちろん、モノーラルシステムであった。
 その後、英国製のワーフェデールの「エアデール」という高級システムを知ることになるのだが、実物を見て驚いたのなんの......。美しいコーナー型エンクロージュアには、12インチ・ウーファー(W12)、8インチ・スコーカー(スーパー8)、3インチ・トゥイーター(スーパー3)が収められているのだが、スコーカーとトゥイーターがエンクロージュア上部に上向きに取り付けられているではないか! つまり僕と同じ間接放射式なのであった! ワーフェデールの創始者で、設計者のA・G・ブリッグスはスピーカーの著書もある音響学者と聞いていたが、その彼が、このようにいわばヘテロドックスとも言える、スピーカーユニットのオフ・アクシスによる間接放射型を、自社のフラッグシップモデルに採用していたのだった。
 じつは、当時、僕は自己流で中高音を間接放射式にしたシステムに、若干の後ろめたさを感じていたのだったが、これを見て、大いに意を強くしたものなのである。エアデールのエンクロージュアは3つのユニットの背面の音がすべてスリットから出るようになっているという徹底した開放型で、しかも、それを十分計算して、中高域のユニットの周波数特性にはわざとピークを作って、音のエッジのメリハリをもたせているのは心憎いところだ。
 僕はこれを、先年、本誌のO編集長の口利きで手に入れたから感激ものである。しかも、ほぼ半世紀近く立経っているはずなのに、2台そろって信じられないぐらいの美しいミントコンディションである。

ダイヤトーン 2S-305

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菅野沖彦

音[オーディオ]の世紀(ステレオサウンド別冊・2000年秋発行)
「心に残るオーディオコンポーネント」より

 ダイヤトーン2S305は日本のスピーカーの歴史のなかでの傑作である。これほど、あらゆる点で日本的な美徳を備えたスピーカーシステムはないだろう。
 まず、桜のツキ板張りによるエンクロージュアのラウンドバッフルが見せる、その容姿である。グレイのサランネットと調和したサラッとした? 淡泊な印象。ちょっと見のつまらなさは、飽きの来ない日本的感性以外のなにものでもあるまい。これが作られたのは1950年代だから、こういう日本調が生まれたのかもしれない。いまなら、もっと欧米の影響を受けたものになったであろう。そして、その最大の日本的特色と言えば、なんと言っても音である。
「日本には2S305という素晴らしい製品がある。あんなに綺麗な音のスピーカーを聴いたことはない!」これは'70年代に、デヴィッド・ベイカーというアメリカ人の録音制作家が僕に語った言葉である。そして、そのとき、僕が思い出したのは、夭逝した不世出の名ピアニスト、ジュリアス・カッチェンが、以前、同じような言葉で日本製のピアノについて語ったことである。僕が彼の録音のために用意したスタインウェイDとヤマハの初期のCFを聴き比べた彼は、CFを「こんなに綺麗な音色のピアノは初めてだ!」と言ったのである。
 エキゾティシズムが美の要素足り得るかどうかは美学的には議論のあるところであろうが、僕が大変興味を持っているテーマである。彼らにとって、日本的な音はエキゾティックな魅力を強く感じさせるものではないだろうか? 逆にわれわれは欧米のサウンドには、彼ら以上に強い魅力を感じるのではないだろうか? 自国の文化には、ある意味で透明だからである。日本人の場合、欧米系の文化には基本的に劣等感が染み込んでいることに悲劇があって、オーディオや西洋音楽の美的評価には注意を要すると思っている。
 2S305はダイヤトーン・スピーカーで有名だった三菱電機が、NHKと共同で開発したスタジオモニタースピーカーである。放送用のモニターが主たる設計目標であったが、当時の日本ではNHKの「お墨付き」という技術的権威に裏付けされたエリート・システムであり、いまでは想像できないほどの君臨振りで、録音スタジオなどでも広く使われ、信頼度の高いものであった。当然、これにたいする反発も強く、一部には無味乾燥の音だとか、こんな音でモニタしているから日本の録音は駄目なんだ!などと非難する過激な人達はいたが、これらの意見はオーディオマニアに多かったように思う。バスレフ型エンクロージュアに、30cmのパルプコーンウーファーと、5cmの同じくパルプコーントゥイーターをハイパス・コンデンサー1個でつないだ2ウェイは、当時としては画期的で本格的なシステム設計であった。満開の桜を見るように、端正で、淡泊でいて豪華な響きの音は「はんなり」とでも形容したい上品な佇まいのバランスと音色であって、決して無味乾燥な音などではなかったと僕は思う。そしてなによりも、僕にとって長年にわたる録音制作の仕事に欠かせないモニターとしてなじんでいたものだから、忘れられない懐かしさなのである。

マッキントッシュ XRT20

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菅野沖彦

音[オーディオ]の世紀(ステレオサウンド別冊・2000年秋発行)
「心に残るオーディオコンポーネント」より

 マッキントッシュXRT20は1980年以来、僕が愛用するスピーカーシステムである。したがって、もう20年も愛用し続けていることになる。現在は、XRT26というモデルナンバーの製品にリファインされているが、基本設計に変りはない。このXRTシリーズは、マッキントッシュのユニークなアイデンティティに満ちあふれるスピーカーシステムで、他の凡百なスピーカーシステムとは画然と異なる着想から生まれた傑作だと思うのである。
 このスピーカーシステムに出会ったのは'79年9月、チェコ出身の名ピアニスト、故ルドルフ・フィルクシュニーの録音のためにニューヨークを訪れたときであった。
 マンハッタンにあるホーリー・トリニティ・チャーチという教会で、数日間にわたる予定の録音だったのだが、2日目の録音が終わったところで、翌日からの録音予定が2日間延引されてしまったのである。なんでも、その教会の長老が急に亡くなり葬儀を行なうことになったとやらで、録音予定を変更してほしいという教会側からの急な申し入れであった。もともと、無理に頼んで礼拝堂を録音に使わせてもらったわけだから、だまってしたがうほかはない。われわれは予定を2日間延ばすことになったのである。
 僕にとって、ニューヨークへ行ったら連絡を入れないわけにはいかない友人が何人かいるが、その一人が、マッキントッシュ社の社長ゴードン・ガウ氏であった。通常日本を発つ前に連絡するのだが、このときは、1週間の録音だけでトンボ帰りの予定だったので、連絡をすればマッキントッシュ社のあるビンガムトンからマンハッタンに来ると言うだろうから、かえって迷惑をかけるのもどうかと思い、前もって連絡を入れていなかったのである。しかし、2日間空いたとなると、そうもいかない。早速、電話して事情を伝える。案の定、「明日の朝、ホテルにクルマを迎えにやるからニュージャージーからチャーター機でビンガムトンに来てくれないか? 前から話していた例のエキサイティングなスピーカーシステムが、20年かけてようやく完成したんだ! ぜひ聴いてほしい。夕方には一緒にマンハッタンにもどって食事とナイトライフを楽しもう」と言う。この録音にはピアニストの山根美代子さん(フィルクシュニー門下生で後年、大ヴァイオリニスト、シモン・ゴールドベルグ氏と結婚、いまはゴールドベルグ未亡人となられた)がプロデューサーとして日本から同行していた。その旨を告げると、「そのピアニストにもぜひ聴いてもらいたい。よければ一緒に来てくれないか?」ということだったので、われわれは彼の言葉通りに翌日の朝、ビンガムトンに飛んだのである。
 マッキントッシュ社の試聴室で聴いたXRT20には完全にまいった! その音の質感の自然さはどうだ? オーケストラの弦合奏をこのような感触で再生するスピーカーシステムを、僕は、かつて聴いたことはなかった! また、リスニングポジションに関わりなく展開するステレオフォニックな立体感の豊かさと定位の安定感、いままで聴いたことのないスピーカーシステムの特質の数々が、このスピーカーシステムから聴けたのであった。多くの音楽家、とくに女流音楽家の例に漏れず、オーディオにはとくに造詣が深いとは言えない山根女史も、この再生音には、非常に強い印象を持ったようで、現在もXRT18をマッキントッシュのアンプともども、自宅で愛用しておられる。
 翌1980年、XRT20は発売されたが、1958年の45/45ステレオレコードの発売を契機として、当時の、たんにモノーラルスピーカーシステムを2台並べてステレオを聴く状況にたいする、疑問と不満を発想の原点として開発がスタートして以来、じつに、20年かけたステレオフォニックスピーカーシステムの完成であった。
 僕の愛用システムは、「375+537−500」の項で書いたように、1968年以来、JBLのホーンドライバーを中心としたマルチアンプシステムで、時折、他のスピーカーシステムを使ってみても、永く居座る製品はこのXRT20以外にはなかった。それが、すでに20年以上の歳月をメインシステムと共存する状態が続いているというわけである。XRT20の詳細は過去に「ステレオサウンド」本誌でも詳しく書いたし、いまはここにあらためて書く字数の余裕はない。しかし、現在も、その技術的な多くの特徴はまったく色褪せるものではないし、僕にとっては、その後、この音を超えるメーカー製システムは、現われていない。

JBL 375, 537-500

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菅野沖彦

音[オーディオ]の世紀(ステレオサウンド別冊・2000年秋発行)
「心に残るオーディオコンポーネント」より

 JBLの「375」ドライバーに「537−500」ホーンを組み合わせた中音域ユニットは、長い間僕のオーディオ生活の核となってきたものである。これを使い始めたのは1968年の春だから、もう32年以上も経ったことになるがいまなお、現在も僕のレコード演奏には欠かせないスピーカーユニットなのである。製品そのものについては、詳しい説明は避けるが、とにかく素晴らしいコンプレッションドライバーとホーンで、32年間使ったいまでもまったく不満はなく飽きることがない。それどころか、むしろ、まだ未知の可能性さえ感じさせるのだから、底知れない凄さを感じている。いっぽうで、32年も使っていると、僕の触角の一部のようにもなるもので、このユニットが再生する音は僕にとってのオーディオサウンドのリファレンスにもなっている。
 僕の現在のシステムは、この「375+537−500」以外のユニット構成はかなり変則的な5ウェイであって、アンプ構成は4チャンネル・マルチアンプシステムである。当初は、ウーファーが2205A、トゥイーターは075と、JBLユニットだけによる3ウェイ構成の3チャンネル・マルチアンプシステムであったが、この時代に僕の部屋を訪れたJBL社の面々(いまはJBLにいない人たちや、当時すでにJBLをやめていた設計者や首脳達などで、このユニットのことをよく知っている人たちばかりである)は、「JBLのユニットとは思えない音で鳴っている」と感想を漏らしたものである。つまり、このことは「優れたスピーカーが、その優れた性能にふさわしい音を再生するのも個性を発揮するのも当然であるがもっとも素晴らしいことは、使い手の嗜好や要求にも限りなく近づく可能性を持つものである」という僕の考えを実証してくれていると言えるもので、決して、世間一般で考えられているように、スピーカー固有の性格だけで鳴るものではないことを物語っていると言えるだろう。
 じつは、僕の部屋には、このJBLを中心としたシステムのほかに、マッキントッシュXRT20を中心としたもうひとつのシステムがある。興味深いことに、この2系統のシステムに、1台のCDプレーヤーの出力をパラレルで出して入力し、プリアンプ以降を切り替えて鳴らすと、ソースによっては音の区別が付かないという人が多いのである。両方ともに僕の好みで仕上げた音だからバランスは似ているとは言え(決して似せたのではなく、両者をもっともいいと感じるバランスに追い込んだもの)、常識的にはこんなことはあり得ないと思われるのではないか? ご存じのように、この二つのスピーカーはユニットもシステム構成も、基本的な設計思想から結果的な再生音のディスパージョンにいたるまで徹底的な相違があり、アンプ系もまったく違うわけだから、似ても似つかぬ音で鳴っても不思議はないはずである。素人が聴き比べても歴然とした違いがわかって当り前のはずである。それがオーディオファイルや専門家が聴いても、2系統のシステムはときとして区別が付かないほど似ていると言われるのである。つまり、機材の個性を超えて、使い手が音を支配するといえる理由が、ここに見出せるのではないだろうか? 私が「レコード演奏家論」という持論を自信を持って提唱させていただいた理由のひとつともなっている実体験なのである。そうは言っても、オーディオ機器の性能や個性が占める世界も決して少ないとは言えない。
 この375を使い始めて20年経ったころに、あるとき、この375を取り外し、「375」の改良モデル版といってもよい「2445J」に取り換えたことがある。新しいモデルである2445Jは、物理特性では明らかに改良が施されたニューモデルであるから、さぞかしいい音がでるだろう......と、興味を持って換えてみたくなったのだ。しかし、正直なところまったくその期待は裏切られたのである。約三ヵ月後には元の375に戻してしまったのだ。2445Jも実際に何年も鳴らし込んでみなければわからないのかもしれないが、とても、その努力をする気は起きなかったのである。つまり、このことは、いかに使い手次第でアルトは言っても、いっぽうで、たしかに機材の音の個性は無視できないものだということの実体験でもある。いまでは、その2445Jはスピーカーシステムの横の床の上に、何年も置かれたままである。
 たぶん、僕にとって、この「375+537−500」は一生の宝物であり続けるだろう。技術の進歩と音の向上の関係は、じつに複雑なものであるが、これは、そのほんの一例にすぎない事実なのである。
菅野沖彦

ステレオサウンド 124号(1997年9月発行)
特集・「オーディオの流儀──自分だけの『道』を探そう 流儀別システムプラン28選」より

 いかにミニマム・コストといわれても、オーディオの醍醐味、しかもユニークなXRT26システムと同質の魅力が味わえるシステムとなると、XRT25を使う以外には考えられない。「音は人なり」だが、この企画では「音は物なり」ということになる。事実、オーディオは物がなければ始まらない世界であるから、この両面は明確に認識しておかなければいけない。したがって、ここではCDプレーヤーとアンプの価格でコストを削るという結論になった。CDプレーヤーはマランツCD16D、プリメインアンプはアキュフェーズのE406Vという、どちらも最新の製品の組合せによる本格派だ。これで前者より80万円以上のコストダウンである。この組合せでXRTの世界が実現するはずで、最低3年は楽しめると思う。自身のサウンドイメージが明確に定まり、より高い要求が生まれたらクォリティとセンスのアンプグレードへと進むべきであろう。
菅野沖彦

ステレオサウンド 124号(1997年9月発行)
特集・「オーディオの流儀──自分だけの『道』を探そう 流儀別システムプラン28選」より

 XRTシリーズの頂点が26で、そのジュニアモデルがこのXRT25である。一回り小さいモデルであり、XRTシリーズの大きな特徴であるセパレート・トゥイーターコラムが短縮されて、ウーファー/スコーカーとインラインでエンクロージュア中央に装備されている。音や空間イメージはまったく同系統のものだが価格は半額近い。CDプレーヤーとアンプの合計をスピーカーのペア価格とほぼ同額になっているのであるが、どうしてもボウ・テクノロジーのZZエイトを使いたく、バランスとしては悪いかもしれない。しかし、この組合せを薦めたい。アンプはマッキントッシュのOPTでインターフェイスをとるのがベスト。プリメインのMA6800を使う。予算がなければOPTなしのMA6400でいいだろう。部屋への設置の気配りと、MQ109の調整でしっかり攻め込みバランスをとれば、レコード音楽芸術の至福を堪能することができるであろう。

マッキントッシュ XRT26

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菅野沖彦

ステレオサウンド 124号(1997年9月発行)
特集・「オーディオの流儀──自分だけの『道』を探そう 流儀別システムプラン28選」より

 私の流儀によるスピーカーを挙げろといわれれば、現在の自分の再生装置そのものということになるわけで、JBLのユニットを中心とした変則的5ウェイ・マルチアンプ・システムか、マッキントッシュXRT20システムということになる。この似ても似つかない2組が自分にとってもっとも違和感のない音で音楽を再生してくれるのだから、物より流儀といえるかもしれない。2組のシステムは音楽や録音の違いで使い分けることもあるが、無意識にどちらかで演奏していることもある。他人が聴いてもあまり違いがわからないほどバランスが似ているので、つくづく、音は人次第だと自分で納得してしまった。JBLのほうはあまりにも個性的で自己流であるから、一般に手にはいるスピーカーシステムということでマッキントッシュXRT20を私流の道具の代表とする。ただし現行モデルはXRT26で、ユニットもエンクロージュアも新型である。しかし基本的にはXRT20と変らないし、JBLの5チャンネル・システムと間違うほどの鳴り方も可能なフレキシビリティがあるのだから、XRT26で不足はない。もちろん、物理特性的には最新モデルだけあって勝っているのだから、むしろ可能性は高いかもしれない。後は一に使い手のセンスと努力である。演奏するCD、AD次第で豹変する鋭敏な反応と、自然な音色と音触が私流の鳴らし方のプライオリティだが、その第一条件は帯域バランスの整然とした美である。細かい山谷がフラットである必要は毛頭ないが、大きく全体的に、その基本を踏み外さないことが肝要である。スピーカーと部屋との相互関係でエネルギーバランスが整っていない音が最悪だ。演奏者の知性と感性までが別人のようになることがある事実を、体験感知し認知すべきである。サウンドに留まることなら、他愛はないが、演奏表現の印象が変るとなると重大である。XRTシリーズは素晴らしいスピーカーシステムだ。
菅野沖彦

ステレオサウンド 124号(1997年9月発行)
特集・「オーディオの流儀──自分だけの『道』を探そう 流儀別システムプラン28選」より

 タンノイのプレスティッジ・シリーズの最下位を担い、きわめて好評なのがこのスターリングである。本誌でこれにサブウーファーとスーパートゥイーターを付加してキングダムに挑戦したことがあるが、勝るとも劣らぬ好結果を得たものであった。したがって、キングダムのミニマムコスト版として、これ以外にない。価格はキングダムの1/8である! 本当はアンプを驕りたいところだが、そこを抑えてプリメインアンプで鳴らそう。ラックスマンのL507sはよく練れた音であり、ドライブ能力も高い。スターリングの感度なら十分なパワーであるし、この艶のある音は美しく楽しい。CDプレーヤーもラックスの新製品D700sでデザインと音の統一感を求めたい。アンプとCDプレーヤーのトータルが43万円とスピーカーシステムの44万円にほぼ等しい理想的な価格配分となった。バランスのよい本格派の入門システムとして広くお勧めしたいシステムだ。
菅野沖彦

ステレオサウンド 124号(1997年9月発行)
特集・「オーディオの流儀──自分だけの『道』を探そう 流儀別システムプラン28選」より

 GRFメモリーは、もっとも代表的な現代タンノイである。15インチ口径のデュアルコンセントリックユニットを、無理なく余裕ある変形バスレフ型エンクロージュアに納めていてユニットの音の特徴が素直に生きている。このモデルは現在の充実したプレスティッジ・シリーズの基礎を開拓した製品であることは、GRFメモリーの名称にも表れている。アンプは同じ英国の新進メーカー、アルケミストのプリアンプAPD21ASS、そしてパワーアンプも同社のAPD20ASSを使う。じつに魅力的なセパレートアンプのコンビネーションで、陰影と彫琢が深く音楽が躍動する。CDプレーヤーはクォード77CD。音色が人肌に温かい音だが、繊細感や精緻感にも優れている。トータルとして味わい深く雰囲気が豊かな音に大きな満足感が得られるはずである。レコード音楽が立派な音楽的実体験のできる世界であることの可能性を実感できるであろう。

タンノイ Kingdom

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菅野沖彦

ステレオサウンド 124号(1997年9月発行)
特集・「オーディオの流儀──自分だけの『道』を探そう 流儀別システムプラン28選」より

 私の好きなスピーカーひとつでありながら、いまだかつて、自分のものにしたことのない憧れの存在がタンノイのシステムである。その最高峰が昨年発売されたキングダムだ。その時々のメディアが持っている録音帯域特性を備えることが私の再生オーディオの理想的条件のひとつであるのだが、キングダムは、この要求にたいするタンノイの回答といっていい製品だろう。デュアルコンセントリックユニットを広帯域で使い、上下にスーパー・ユニットをプラスしたものであることがそれを明瞭に物語っている。タンノイのなかでもっとも広域なシステムであり、タンノイらしさと現代的なワイドレンジを見事に両立させた成功作であると思う。ステレオイメージは同軸型らしい明確さであり、自然な音色と音触に、長年のキャリアによる風格さえが溢れている。説得力のある楽音のリアリティだ。中低域から中域にかけての高密度で厚い質感は得難いものであり、音楽表現の豊かさに寄与していることを強く感じる。したがって高域と低域をここまでワイドに伸ばしても、しっかりとした音の造形感や表現の豊かさは微塵も損なわれていない。伝統的なダイナミック型ダイレクトラジエーターとして高い完成度を持ったシステムで、むかしのタンノイのようにジャズやピアノに不満が残るといったことはもはやない。しかし、音と形の持つ、この品位と堂々の威容は、古典から浪漫にかけての、もっとも実り多きヨーロッパ音楽芸術の再生機として理想的と感じられる気品と豊麗さに満ち溢れている。こういうシステムと共存して、居住まいを正して音楽を鑑賞するという真面目さこそが、いま、レコード音楽とオーディオ文化が失いかけているものだ。イギリスでも、いまや数少ない重厚長大なスピーカーシステムであろう。いま、私ももっとも気になっているシステムの一つであるプラチナム/エアーパルス3・1もイギリス人の作品だが......。軽薄短小オーディオとは別次元の世界である。

「オーディオの流儀」

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菅野沖彦

ステレオサウンド 124号(1997年9月発行)
特集・「オーディオの流儀──自分だけの『道』を探そう」より

 私のオーディオの基本姿勢は、客観と主観、物理特性と感性のバランスです。つまり、評価基準として科学技術と美学の2つのバランスが必要です。スピーカーにたいしても、物理的には周波数帯域と直線性などの点でメディアと同水準の特性を要求します。録音されている周波数/ダイナミックレンジが出ないものは不満です。残念ながら、ほとんどの市販製品がそうですが!? 感性的には私の好みに合うスピーカーは必ずしも一つではないし、同じ設計思想によるものとも限りません。好きな食べものが一つでないのと同じです。スピーカーを個性や癖で安易に分類するのは危険ですが、この世に無個性なスピーカーはないので、聴き手の音響的、音楽的嗜好との接点は大切です。私は、演奏者の「気」の感じられるような、血の通った、精緻かつ豊潤な音が好きです。嫌いなのは、刺激的で、冷たい、機械的な音と、病的で脆弱な音。そして、使い手の調整不備による変則的な帯域バランスです。

BOSE WBS1VR

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

ウエストボロウ・シリーズは木目調の大人っぽいデザインで成功をおさめたミュージックコンソレットである。基本的にはCDチューナー・アンプからスタートしたが、時代の要求に応じて機能の拡張を続けている。バランスのよい音作りは、ボーズの優れた小型スピーカー技術あってこそのものであろう。Vは縦型プロポーションである。

BOSE AMS1

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

ボーズらしいコンセプトとデザインで、マニアックな要求にも応える心憎い組合せがボーズらしい。アクースティマス・ベースとサテライトSPはつぼを心得た音のチューニングが巧みで、なにを聴いても適度に刺激的で聴きごたえを感じさせる。この音なら、若い層にも年輩層にも薦められる。
菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

同社のプリ、コヒレンスやシナジー用のフォノイコライザーであり、汎用製品とは言えないかもしれない。デザインもアルミ削りだしの筐体も共通だ。入力はバランスが本来であるが、アンバランス変換アダプターも付属している。その透徹な音はプリアンプと同質の音触で、アナログディスクとは思えない透明感さえある。

オルトフォン SPU-Royal N

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

伝統的なSPUを最新の素材と設計でリファインしたカートリッジ。金と銀の混じった自然金にヒントを得たエレクトラム合金を採用し、これをコイルに使ったもの。柔軟なしなやかさと繊細感を持つSPUである。インテグラル・トーンアームでも使えるSPUで、その顔とも言える例のシェルには取り付けられていない。

オルトフォン MC Jubilee

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

デンマークのオルトフォンが発売した最新設計によるもので、素晴らしいパフォーマンスを持つ。高性能で高品位な傑作である。従来のオルトフォンとは違って音もより現代的で、すっきりしてしなやかだが、決して弱々しいものではない。意欲的な設計と精密な作りは、さすがにオルトフォン・カートリッジの名門の貫禄である。

トーレンス TD320MkIIIB

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

TP90スタティックバランス型トーンアームを付属するカートリッジレスのセミオート・プレーヤーシステムである。ほどほどの価格で、さりげなくアナログディスクを楽しみたい人達に広く薦められる製品である。トーレンスらしいバランス感覚が好ましいし、ブラックアッシュ仕上げも地味だがブラックディスクによく似合う。
菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

イギリスで作られるユニークな手作りのアナログプレーヤーである。これはカーボンファイバー製のトーンアーム付システムである。スタート時はターンテーブルを手で回してやらなければならない。負荷がなくても自身では起動不可能な弱いトルクのモーターで、自重25キロのターンテーブルはベルト駆動される。実に静粛である。

トーレンス TD520RW+3012R

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

SMEのトーンアーム3012Rを装備したセミオート・プレーヤーでカートリッジは付いていない。本格派のアナログプレーヤーの標準的な製品といったところである。音はトーレンスらしい適正なダンピングとQのコントロールにより、大人の雰囲気を持ち、柔軟性と高解像感のバランスは中庸を保っている。
菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

例のモーターレーシングで有名なタグ・マクラーレンがオーディオに本気で参入した。これはシリーズ中のポップライン製品だが、音に雰囲気があって驚いた。ちょっと見ではイギリスによくあるフラットなプリメインだが、たしかにデザイン・コンシャスでもあるし、なぜか国産アンプとは一味も二味も違う魅力を聴かせるのである。

デンオン PMA-S10II

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

同社のプリメインアンプのセカンドモデルであるが、オリジナル時から大変好評なアンプであった。大電力素子のUHC−MOSのシングル・プッシュプルで100W(8Ω)、200W(4Ω)の出力が出る。このII型では筐体と電源にもさらに余裕をもたせ、内部をブロック構造としてノイズ対策も万全である。高水準のサウンドだ。

マッキントッシュ MA6800

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

アウトプットランスを持つ、同社唯一のプリメインアンプである。温かく力強いマッキントッシュ・サウンドが聴ける。ボリュウム・コントローラーやリモートコントロールなど現代アンプらしい面と伝統的な重厚感を併せ持つマッキントッシュらしい製品だ。1994年発売であるから、そろそろ入れ替わるものと思われるが......。
菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

同社のセパレートをアンプを凝縮したような同社初のプリメインタイプで、その高品位でソリッドなパネルや筐体と一致したイメージの高音質アンプだ。輝かしさと艶ののった音の魅力は、他のアンプでは味わえないものだろう。ハイテクとローテクが見事にバランスした内容である。300W(4Ω)×2の出力を持つ。

ラックス L-501s

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

このパワーアンプは70W×2/8Ωという公称出力以上のドライヴ力をもっているし、音にも力感が感じられる。明るく伸び伸びした鳴りっぷりの良さが好ましい。使いよいプリメインアンプだ。陰影や深い情緒もそこそこ表現するので、入門者用のアンプとして薦めたい製品である。MM用フォノイコライザーも内蔵している。
菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

ゴールドムンドのパワーアンプ群の中のトップモデルがこれである。モノーラル仕様で出力は300W(2〜8Ω)である。音はまさに透徹と表現するのが相応しいと思う。しかし、それでいて決して冷たくないのがゴールドムンドの稀有な特徴である。解像力と透明感が高くても、つくべき肉はちゃんとついているからだろう。

マッキントッシュ MC1000

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

マッキントッシュのパワーアンプの中で最大の出力を持つモノーラル仕様のパワーアンプである。絶対の信頼感は他に変えられないものだろう。ブラック・グラスパネルにブルーの大型メーター、グリーンのイルミネーションが、この大型重量級のアンプで実現したことは素晴らしい。これがあれば鉄壁の構えという安心感がある。

ボルダー 1060

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

ペアで800万円のモノーラルパワーアンプ2050以来、ボルダーは豹変した。その2050やステレオ機2060の経験を生かした、現実的な価格のステレオパワーアンプがこれである。2000シリーズの廉価版という性格は音にもでていて、音触がさらっとしている。昔のボルダーはもう少しコクがあったのだが。だが、品位は高い。

マッキントッシュ MC602

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

マッキントッシュの最新ステレオパワーアンプ。MC500に代わるモデルだが、極めてスケールの大きな大電流増幅器で、余裕のあるパワーは上級機種のモノーラルパワーアンプMC1000並みである。その艶やかな音はマッキントッシュならではの迫力と繊細感を併せ持つ実力機だ。

ラックス B-10II

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

ラックスのパワーアンプ最上級機B10のアップグレードモデルで、1999年の新製品である。大電流、ローインピーダンス負荷に対し、いちだんと安定度を増した。惜しみなく物量を投入した音は、B10と同系の重厚でグラマラス、かつ艶と輝きに満ちた、ラックス独特の充実感に溢れたものである。

ボルダー 102M

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

もう、さんざんこの欄でも書いたように思うアンプである。100W+100Wの実用的な実力機で、私が毎日愛用しているものだが、肌合いのよい温かな音で力もある。油が適度に乗った旬の味だ。なんの変哲のないデザインは旧ボルダーの特質で、使っていて飽きがこないのがいい。最近の洗練ぶりは見違えるようだが......。

マッキントッシュ MC352

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

かつてのMC300のリプレイス製品だが、アンプの格は格段に上がった。MC500級と言ってよいだろう。音も力強くなったと同時に切れ込みのよい解像度が加わりリフレッシュされた。どこが変ったかは知らないが、鮮度が上がったようだ。見てよし、使ってよし。顧客にこれほど大きな満足感を与える製品も少ないだろう。
菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

30cm幅のパネル筐体を持つSR PowerシリーズはゴールドムンドのENTRY LINEという廉価版だが、音は以下にもゴールドムンドらしい透徹さが感じられる。造りはさすがに少々寂しいが、これは50W+50Wのステレオ仕様で、私としては感度の高いスピーカーシステムか、マルチアンプの高音域に使うという条件付である。

テクニクス SE-A3000

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

A2000とはほぼ同規模のものだが、より新しいテクニクスのアンプ技術が投入された、MOSクラスAA回路搭載のアンプ。竹をセパレーターに使った新しいコンデンサーなど厳選されたオリジナルパーツを使い、回路構成も筐体構造も周到に検討されている。内容からすると破格と言っていいものであろう。

テクニクス SE-A2000

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

'93年の発売だが、テクニクスのサイレンス・テクノロジーが生きたSNのいいパワーアンプである。Rコアによる電源回路は同社お得意のヴァーチャル・バッテリー・オペレーションで、電圧増幅段はMOS−FET、出力段にはバイポーラ・トランジスターを使っている。100W×2のパワーだが、ドライヴ力はもっと大きい感じだ。

マッキントッシュ C100A

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

マッキントッシュの最高級プリアンプで、アナログアンプ部をディジタルのコントロール部と電源から完全に分離した形態。コントロール部は最新のディジタル・コンセプトによるが、アナログ部はフォノイコライザーはもちろん、ローインピーダンスMCカートリッジ用のトランスまで内蔵する深慮が素晴らしく、音も品位が高く自然。

アキュフェーズ C-290V

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

アキュフェーズの最高級プリアンプ。同社はディジタルとアナログのプリアンプの2本柱をもっているが、リファレンスはこれだ。長年の積み重ねで洗練された音質は最高の品位を感じさせるもので、このアンプがあればこそディジタルプリも作れたと言えそうである。音質は外国製品にないキメの細かい美しさがある。

dCS dCS954Mk2

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

イギリスのdCSの最新ディジタル・フォーマットに対応したD/Aコンバーターで本来プロ機。コンシューマーのハイファイ機器であるElgarIIも最新フォーマットに対応するはずだが、最近、プロ機もコンシューマー・マーケットに導入された。たしかに、明るく逞しい音はElgarIIと違ってプロ機らしい屈託のなさである。

マークレビンソン No.30.6L

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

同社のD/Aコンバーターの新製品でリファレンス的存在であるが、重厚なディジタル機器の見本のような製品である。音も深々としていて滑らかだ。ディジタルにおいてもオーディオにはこのような趣味的な製品があり得ることは喜ばしい。これでなければバランスのとれない他のコンポーネントが多いからだ。

マッキントッシュ MDA700

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

あまり知られていまいがマッキントッシュのCDプレーヤーはアメリカ製CDプレーヤーの1号機である。その音は大変自然でよかったが、これはそれを彷彿とさせる。落ちついたバランス感、自然な音触感はまさにマッキントッシュのものである。同社のトランスポートMCD751とペアで開発された新製品である。

DES DAC520

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

アメリカ製のD/Aコンバーター。32kHz、44.1kHz、96kHzの3種類のサンプリング周波数に自動対応する。入出力ともにバランス接続端子を装備し、独自のサーキットボード・レイアウトを採用した、滑らかでしなやかな音が特徴である。フラットなパネルのトゥートーン・カラーも美しい。
菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

ゴールドムンドのENTRY LINE、つまり入門者用シリーズのD/Aコンバーターだが、実にすっきりとした空間の再現性とリアルで高い解像度を持ったサウンドが魅力的である。趣味の入門用とは決してポップ・オーディオと大差のない安物を指すものではないだろう。このシリーズはそれに相応しいものだ。
菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

道具には使う喜びというものがある。ちょっと不便でも使う意欲を起こさせるようなトランスポートである。元来アナログプレーヤーというメカニズムが専門のメーカーだったゴールドムンドらしい質感が魅力である。ディジタル信号出力端子はRCAとXLRが各1系統あるだけだ。光はバッサリ切り捨てた思い切りもいい。

デンオン DP-S1

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

1993年の発売以来、時は経っているが今もCDトランスポートのリファレンス的存在。その筐体は、正確な読取りを徹底した結果の重さだが16.7キログラムもある。同軸と光学式の3系統ずつの各種出力端子の他、XLR出力も持つ。同社のD/Aコンバーター、DA−S1のマスタークロックを受けて同期運転するST端子も備えている。
菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

No.37Lは薄型トレイ式のトランスポートを採用し、価格はNo.31.5Lと比べ低減化しているが、マークレビンソンの名に恥じない高級品。No.360SLは24ビットやハイサンプリングへの対応が可能で、DSPによる高精度なディジタル・インターフェイスを持つ。両者の組合せによる音は、奥行のある豊かさと精緻な解像度を感じさせる品位が高いものだ。
菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

デンマークの製品。なんといってもデザインと造りが素晴らしい。マニュアル操作性を重視したことからも再生音楽へのこだわりが感じられるであろう。レコード音楽にどれだけの価値感を持っているかが問われるプレーヤーだ。HDCD対応で、音は重厚で陰影の濃い聴き応えのある音楽表現が魅力である。

エソテリック X-10WD

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

アメリカのワディア社とのフレンドシップモデルと称され、ワディア社設計のディジタル・プロセッシング回路を持つ。2系統のディジタル出力端子を装備するほか、ティアック独自のVRDSメカニズムと呼ぶアルミダイキャストのターンテーブル圧着式の安定した回転機構を持つ、一体型の信頼性の高い高級CDプレーヤーである。

アキュフェーズ DP-65V

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

同社のMMB方式4パラレルのDACはジッター軽減のディジタル復調器を持つ。豊富な機能を持ち、一体型だがDACとしても自立し、ディジタル機器とのインターフェイスも装備する。またリアパネルにはスロットが設けられ、オプションボードが豊富に用意されている。アキュフェーズらしい確度の高い実感のある音だ。

ソニー SCD-1

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

SACDプレーヤーの1号機で、CDプレーヤーとしてもなかなかの力作である。アクセスタイムが長く、慣れないとイライラさせられるかもしれないが、集中して聴くには、これもいいと思う。いかにも新世代のプレーヤーらしい精緻さを感じさせる音だが、柔軟な質感や曖昧模糊とした雰囲気の魅力には欠ける。

ラックス D-7

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

音にこだわるラックスらしいプレーヤーである。HDCDでコーダーを内蔵するのは上級機D10と同じ。DACはマルチビット式の20ビット・サインマグニチュード型。筐体もしっかりできていて12キログラムとどっしりしているので外部振動に強い。力感に富んだ再生音は本格派と言える域に達している。

テクニクス SL-PS770D

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

ヴァーチャル・バッテリー・オペレーション、MASH方式クラスAの1ビットD/Aコンバーター、竹繊維のセパレーターを採用した電解コンデンサーなどなど、テクニクスのオーディオ技術をふんだんに盛り込んだプレーヤーだ。透明感とすっきりとしてクリアーな再生音は価格を上回る品位を持っている。

マッキントッシュ XRT26

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

XRTシリーズの上級機種。23基のトゥイーターを持つコラムとメイン・エンクロージュア部がセパレートされている。低音を歪なく20Hzまで確実に再生する数少ない既成のシステムだ。全帯域のタイム・コヒレント、無指向性に近い高域の拡散、そしてエネルギー・フラットを実現する再生音は自然感に満ちている。

B&W Nautilus 801

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

クラシックの録音モニターとして広く使われている同社のMatrix801シリーズの後継機となる最新モデルだが、今回は大幅な変更を受けて801という型番が不自然なほどである。作りも音も充実した力作である。従来の801にあった甘さと繊細さは姿を変え、より精緻な解像力を持ちスケールもいちだんと大きくなった。

カーマ Ceramique 2.0

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

オランダの製品で、この2.0は現在本邦に輸入販売されているCeramiqueシリーズのミドルクラス機である。このシリーズはセラティック・コーンを使っているのが特徴で、音は精緻である。本機は13cmのセラティック・コーンを3ウェイの中域用に使ったものだ。
菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

このイタリアのメーカーは、まさに工房と呼ぶに相応しい。特にヴァイオリンの名工の名前が付けられたオマージュ・シリーズは同社を主宰するフランコ・セルブリンの思い入れが作らせた入魂の作品。気の遠くなるような入念な手仕事によるエンクロージュアは芸術品だ。音は明晰かつ豊潤で音楽が生き生きと躍動する。

アヴァロン Arcus

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

アメリカのアヴァロンはティールと並び現代アメリカ・スピーカーメーカーの代表的な存在。この製品は同社の中核を担うミディアムサイズのもので、ノーメックスとケブラーの複合材による22cm口径ウーファーは、この上のエクリプスと同じものだが、トゥイーターはチタン製逆ドーム型。すっきりと明るい高解像度の音だ。
菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

ボレロ・シリーズの馴染みの深いスイスのメーカーの最新製品である。同シリーズは今年、全面的にステラ・シリーズに入れ代わったが、これはその上級機種である。従来のボレロ・グランデに相当するものだ。美しいエンクロージュアとチューニングの巧みなバランスの音がさらに洗練され、いっそうの特性向上が感じられる。

BOSE 901WB

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

前面に1基、背面に8基のユニットを持つ、この901シリーズこそ、BOSEスピーカーシステムの基本的コンセプトが体現されたモデルであり、今も創業以来、ユニットの改良を重ねて常にトップモデルとして存在させているのは立派である。このWBは美しい仕上げのシリーズ最高のモデルである。実にユニークで素晴らしい。

タンノイ Turnberry/HE

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

プレスティッジ・シリーズの中では手頃な価格の製品だが、100リッターの内容積を持つ。天然無垢材によるクラシックで上質のエンクロージュアはディストリビューテッドポート型である。25cmデュアル・コンセントリック内蔵の本機はスターリングの系譜である。
菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

伊ソナス・ファベール社は工芸的とも言える上質のシステムを作るメーカーだが、これはその中では普及型のブックシェルフ機である。とは言え、やはりエンクロージュアはウォールナットの無垢材で皮張りの本体を両サイドから挟み込んだ手の込んだものであり美しい。ぴりっとしたエッジとグラマラスな中低域が魅力だ。

ダリ Evidence 470

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

デンマークのダリの代表機種と言ってよいポジションにあるトールボーイ型の新製品。このメーカーらしいバランスのよさが特徴であるが、これは質も高い。ブックシェルフ並みの床の専有面積ながらトールボーイの利点を生かし、音のスケール感は大きいし、このタイプにあるこもりがちな不明瞭さはなく、解像力もいい。

ダリ Menuet Royal 2

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

'95年発売のデンマークの製品でコンパクト・ブックシェルフ型の傑作と言っていい。メヌエットの上級機で良質のチェリーのつき板張りのエンクロージュアは品位が高いし仕上げも上質である。11cm口径ウーファーはポリプロピレン製で、トゥイーターはソフトドーム型。小型スピーカーの生命であるバランスが絶妙だ。

BOSE 314

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

20cm口径のウーファーをベースにした3ウェイ3ユニット構成のスピーカーシステム。同社の214をスケールアップしたもので、ボーズ独自のステレオ・ターゲッティング・トゥイーターは、指向性可変のダイレクト・リフレクティング方式で臨場感の豊かな再生を聴かせる。

ビクター SX-500DE

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

オブリ型ドームをトゥイーターに採用し、20cm口径ウーファーとの2ウェイでまとめられた中型のブックシェルフシステム。この大きさとしては異例のワイドレンジ感と情緒的な音の魅力を兼ね備えるものだ。500シリーズ初のバスレフ・エンクロージュアのチューニングが成功している。

BOSE AM-5III

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菅野沖彦

ステレオサウンド 133号(1999年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング798選」より

サテライトスピーカー+アクースティマス・ベースボックスというボーズ独自のシステムは常に進化している。これは'98年発売のものでサテライト部が音質的に向上し、より豊かな再生を可能にした。置場所に限界のある6畳以下のスへースで威力を発揮するが、かなり広い部屋でも外見から信じられないほどのスケール感の大きな再生が可能。
菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
「スピーカーシステムの未来を予見させる振動系質量(マス)ゼロのプラズマレーザー方式〝プラズマトロニクス/ヒル・タイプI〟の秘密をさぐる」より

 電気エネルギーを空気の疎密波という、いわば空気の圧力の変動に変換して、音をつくり出すのがスピーカーであるが、そのためにどうしても必要なのが、振動板である。金属、紙、布、プラスティックなど、いろいろな材質が使われているが、いかなる物質を使おうと、これらは必ず質量をもっていて、その運動は慣性の影響から逃れることはできない。長年の研究開発の結果、より軽く剛性の高い材質が使われ実用上はかなりの水準に達していることは、市販の優れたスピーカーの音を聴けば納得できるのだが、決して理想通りとはいえない。振動板という物質の存在は、この他にも多くの問題があって、スピーカー固有の音色の原因の多くがここに存在している。つまり広義の歪の要因といえるものだ。この電気振動と空気振動の媒体となっている振動系の質量を、0にしようという発想は昔から多くの技術者が持っていた(イオノフォンもその一つ)。つまり、振動板の機械振動以外の何らかの方法で空気を直接エキサイトする新しい技術だ。
 ニューメキシコ州アルバカーキにあるプラズマトロニクス社から発売された、ヒル・タイプ・ワン・プラズマ・スピーカーシステムは、この分野に挑戦し、実用レベルの製品化に成功した画期的なスピーカーシステムである。
 このスピーカーの開発者は、同社の社長であるアラン・E・ヒル博士で、この音楽好きの物理学者の十数年にわたる研究・実験の賜物が、この製品である。ヒル博士は長年、米空軍のエレクトリック・レーザー開発部門に籍をおき、途方もなく強力なレーザーを開発したが、ここでの博士とプラズマの触れ合いが、このスピーカーシステムの誕生の背景となった。空軍の高級化学者としての仕事の傍ら、毎晩、毎週末、毎休日、博士は趣味として自宅の研究室で、レーザー・プラズマの応用技術の一つである、このスピーカーの研究に夢中になっていた。なにしろ、11歳の時にオシロスコープを自作したり、平面振動板スピーカーを手がけたりしていたらしいし、同時に強烈な音楽少年でもあったという博士のことだから、物理学者として一家をなしてからも、まるで少年のように、ひたむきな情熱で、プラズマ・スピーカーの開発に夢中になっていた姿は想像に難くない。片瀬は「この頃(11歳)から、私はマス・レス(無質量)の発音構造の可能性を実現するのが夢でした」と語っている。余談だが、博士のレーザー光線の実用技術は、なんと赤ちゃん用のゴムの乳首に小さな穴をあけるのが最初だったというから面白い。1977年に博士は空軍を辞して、プラズマトロニクス社を設立、苦節を重ねて、このタイプIの完成を見ることになったのだった。
 ヒル・タイプIスピーカーシステムは、700Hz以上の帯域をプラズマ・ドライバーが受け持ち、それ以下は、16cm口径コーンスピーカーと36cm口径コーンスピーカーが130Hzのクロスオーバーで構成されているが、全帯域をプラズマ・ドライバーで構成することは、常識では及ばないコストと実用技術の困難さがあるらしい。しかし、マス・レス・スピーカーの利点は700Hz以上で充分現われているし、コーンユニットとプラズマ・ドライバーとの音質的バランスが見事にとられていることには感心させられる。ここには、博士の音楽ファンとしてのセンスも十分生かされていると感じるのである。プラズマ・ドライバーの動作原理の詳細は現在パテント申請中で明らかにされていないが、3000度Cもの高熱によって電離した、青白く輝くプラズマから放射される無指向性の球面波は、きわめて繊細・緻密な音像と、豊かな音場プレゼンスを再現する。現実に、実用レベルで音楽を奏でてくれる様に接することは、まことにエキサイティングでファンタスティックな体験である。システムにはプラズマ・ドライバー専用アンプと、エレクトロニック・クロスオーバー・アンプが内蔵され、別に低域用アンプを使ってバイアンプ・ドライヴするようになっている。さらに大きなヘリウムガス・ボンベが付属し、約300時間毎にガスを充填させる必要がある。放射線の心配は絶対にないそうだ、念のため。未来形スピーカーの日本上陸である!!

エスプリ APM-8

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菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 オリジナリティと最新のテクノロジーを高く評価したいシステムだ。平面振動板による4ウェイ4ユニット構成で、すべてが矩形の振動板をもったユニットであるのがユニークだ。この製品の開発にはソニーが数年間の年月をかけたと思うが、正直いって、プロトタイプ、あるいは初期のモデルでさえも、今回の試聴で聴いたような素晴らしい音ではなかったし、また、ここまでよくなるとも期待していなかった。驚いた。今のところ、国産スピーカーではベストであることは間違いないし、これでもっと音像の立体感や粒立ちに丸みが出てくれば、私としてもほれ込みそうなほどいい。もう一つは、やや高域(特に目立つので高域というが、実際には全帯域)にパルスを強調するキャラクターが残っているし、振動板の鳴りらしきものも、もう一つ抑制されると、もう残るは100万円という値段への挑戦である。このままでは100万円は高いという感じだが、もう一つ洗練されると、お金を貯めようという気になりそうだ。

総合採点:8

ロジャース LS5/8

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菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 イギリスのロジャースの大型システムで、パワーアンプが2台内蔵されている。ないそうといっても、メリディアンのようにエンクロージュア内にビルトインされたものではなく、QUAD405が2台付属しているといった形で、全体に完成度の点では問題があると思う。注文を受けてシステムをアッセンブルしたといったイメージで、完成した独立商品といった感じがしない。アンプとユニットのバランスも、わざわざ専用アンプで駆動するほどの効果はないように思う。繊細さがあるようでいて、意外にラフな面も顔を出す音で、帯域バランスも端正なまとまりがない。高域にはかなりの癖が感じられ、ヴァイオリンが細く刺激性をもって鳴る。オーケストラのトゥッティも透明度が不足するので、胸のすくような和音のフォルテの快感があじわえない。ジャズを聴いても低域の質感が大掴みで、バスドラムの微妙な音色感が出ないで、ドスンと単純になる。全体に低域のリズムが重く引きずる傾向があることも気になった点である。

総合採点:7

アルテック Model 6041

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菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 コアキシャルのモニタースピーカー604−8Hを中心に、バスとトレブルにそれぞれユニットを追加して、エクステンデッドレンジを図ったユニークなシステムで、日米共同開発の製品である。604−8Hだけでも十分ワイドレンジなユニットだし、世界中、第一級のモニタースピーカーとして認められているが、そのよさを保って超高域と低域が補強されているのだから、悪かろうはずがない。しかし、これは決して容易なことではなく、システムとして全体の音質改善を実現したことは立派だ。音の密度の点では、♯4343Bに譲るが、透明度や定位の明解さではこの方が勝る。ワイドレンジなので、従来のアルテックとは違ったイメージに感じられるかもしれないが、明るく大らかな歌い方は、アルテックそのものである。欲をいうと、低域の柔軟さと弾みが、やや強引で生硬なこと、最高域がやや遊離して聴こえることだが、それは相当厳しい要求で、全体としてみればやはり第一級のスピーカーシステムである。

総合採点:9

メリディアン M1

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菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 イギリスのブースロイド・スチュアート社の、モダンなデザインのフロアー型スピーカーシステムで、内容はこっている。3ウェイ3スピーカー構成だが、各ユニットは3台の内蔵パワーアンプで直接駆動される、いわゆるマルチアンプ方式で(デバイダー内蔵)、ウーファー、スコーカー、トゥイーターには、それぞれ80W、40W、40Wのアンプが直結し、エンクロージュア底面には30cm径のドロンコーンがつく。たいへんマニアックなシステムといえるが、製品の仕上げや音の雰囲気は決してメカニカルでも、技術屋肌が直接感じられるものではなく、むしろ、デザインはインテリア指向だし、音も音楽の雰囲気を重視しているように思われる。瑞々しいヴァイオリンの音色や、ピアノの丸い粒立ちは美しいソノリティで、かなりムーディな響きでありながら、格調の高いものだ。難は音の立体的な奥行きが不足することと、力の不足だ。もう一つ低域の馬力がないと、ジャズやロックをクラシックと同じレベルの質で聴けない。

総合採点:8

JBL 4343BWX

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菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 JBLの大型システムの代表といってよい♯4343Bは、低・中低域ユニットのマグネットが従来のアルニコからフェライトに変ったモデルだ。すでに高級システムのベストセラーとして多くの愛好家のリスニングルームに設置されているこのシリーズの定評は、もはやゆるぎないものとなっている。磁気回路の変更がシステム全体として音にどう現われるかが、興味と注目の的であったが、その結果は一口にいって改善といえるものだ。♯4343については今さら述べるまでもないかもしれないが、これだけワイドレンジ(周波数帯域、ダイナミックレンジとも)で、しかもレンジ内の密度が高く、バランスの整ったスピーカーは珍しい。Bタイプになってもそれは全く変らないが、一段と音のきめが細かく、全体にしなやかさを増した。特に低域に改善の印象が強く、今まで耳につく歪感があったとはいわないが、一層純度の高い緻密な低音の感触が聴けるようになった。全体に、明らかに洗練度が高くなったことはうれしい限りだ。

総合採点:10
菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 アメリカ・ガウスのユニットをオプトニカがまとめあげた日米合作製品。ヘビーデューティのウーファーとコンプレッション・ドライバーの2ウェイ2ユニット構成で、4面仕上げのバスレフ型エンクロージュアでの大型重量級システムだ。ガウスの強力なユニットで2ウェイとなると、先入観としては少々ナローレンジでガンガン迫ってくるような、押しつけがましい音を想像されるかもしれないが、実際は全く違う。確かに、いかようにも迫力ある再生は可能という力強さと、大音量再生の安定性はもっているが、その音は決して荒々しくもないし大味でもないのである。このスピーカーが最も苦手と思われるヴァイオリン・ソロにおいてすら、自然で美しい弦の魅力が聴かれたし、ピアノの細かいタッチの妙もよく再現された。周波数レンジの点では、比較すればともかくも、決してこれで高域の不満が出ることはないし、ジャズやロックの再生は他の追従を許さないといってよい鮮烈さと力感がある。欲をいえば高音と低音の柔軟さだ。

総合採点:9

タンノイ Super Red Monitor

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菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 タンノイがほぼ40年の長きに亙って作り続けてきたデュアル・コンセントリック・ユニットの最新製品を、非常に強固なエンクロージュアに収めたプロ用のスタジオモニター。内蔵ネットワークは高域の位相補正をも行なうが、バイアンプでマルチ駆動もできるようになっている。モニタスピーカーとしての性能の高さ、そして伝統の重厚な品位の高い音色は、すでに定評のあるところである。日本ではオートグラフなどの大型システムが神格化され、タンノイというと名器の代表というイメージがある。それだけに、その最新製品というと、古きよき時代を回顧する人たちのアレルギー反応を引き起こすこともある。しかし、このシステムの堂々たる風格は、現代のタンノイの面目躍如たるものがあるし、その骨格のがっしりとした毅然たる音は立派だ。ただ、高域はコアキシャル独特のウーファーコーンの影響で、やや暴れるのはやむを得ない。そのかわり、定位のよさ、ステレオ感の再現などは、抜群の確度でソースを精緻に再生する。

総合採点:9
菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 インフィニティのシリーズ中、中堅機種といってよい製品で、このシステムから上が、中域にもエレクトロ・マグネティック・インダクション・ユニットが使われる。EMIMと称されるのがそれで、EMIT同様、強力な磁界の中に置かれた、ボイスコイルがエッチングされたプラスティック・ダイアフラムの全面駆動型のユニットである。率直にいって、このEMIM、EMITには、よさも認められる反面、独特なキャラクターが感じられ、いかにも振動板の物性と感じられる音色が、ときに気になるのである。これは、スコーカーにおいて特に顕著であるようだ。そのため、全体の音の質感がややヒステリックで神経質になる。いかにも軽量振動系らしいトランジェントのいい音だが、そこにつきまとうピチャピチャした感じの色づけが問題である。それを気にしなければ、このシステムの繊細な美しさは比類の無いもので、楽器の倍音成分の再現の見事さやステレオフォニックな臨場感のよさは、まことに魅力的である。

総合採点:7
菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 アメリカの名門エレクトロボイス社のユニークなシリーズ、インターフェイス7機種中の最高モデルが、このDIIである。きわめて独創的な3ウェイのスピーカーシステムで、30cmウーファーはエンクロージュア底面に収納され、ユニークな16cmミッドレンジとのクロスオーバーに工夫がされている。トゥイーターはホーン型。イコライザーアンプが付属しているのも特長である。こうしたオリジナリティに溢れたシステムにふさわしく、音もおそろしく個性的である。そして、その個性波決して音楽を疎外するものではないところが、さすがにEVなのだ。中音域が張り出し、実に圧倒的なグラマラスな響きである。これを非常識なバランスの音とするか、強烈な個性として熱烈に愛すか、大きく分れるところだろう。大音量再生はこのシステムの得意とするところで、ちょっと他では得られないコクのある響きが楽しめる。繊細さとは縁遠いスピーカーといってよいが、うまく手なづけると、いろいろな可能性を秘めているようにも思える。

総合採点:8
菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 本格的なコンプレッション・ドライバーを使った堂々たるシステムで、国産では数少ないヘビーデューティタイプである。3ウェイ3スピーカーのバスレフ型エンクロージュアだが、各ユニットのオーソドックスな高性能ぶりを完全に発揮させるには、使い方がかなり難しそうだ。どうみても悪かろうはずのないシステムなのだが、残念ながら私はまだ一度も納得のいく再生音を出したことがない。今回も新たな期待をもって鳴らしてみたのだが、特に大きく印象が変るところがなかった。ヴァイオリンはトゲのある音でギスギスしたし、ピアノにも立上りの鈍さに伴う柔らかく豊かな肉付きが不足した。滑らかであるべき演奏表現が、少々武骨になる傾向であった。実に立派に再生するのだが、あまりにもピントがよすぎて、ソースのアラが目立つという感じもする。しかし、これがレコード本来の音とは思えない。なぜ、もっと柔らかい響きや、暖かいニュアンスが再生されないのか、不思議な気がしてしまうのである。

総合採点:7

AR AR-9

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菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 往年のARとは大分違ったイメージの音だ。AR3シリーズに代表された、ハイクォリティながら抑圧された、のびのびした明るさのない音から脱却して、現在のAR製品の音は一段とヌケのよい明晰な音になった。しかし、その反面、音の品位ではやや劣るようにも聴こえる。このAR9は、現在のAR製品の代表機種といってよく、構成は4ウェイ5スピーカーである。非常にユニークな構造で、トールボーイのフロアー型密閉エンクロージュアに、30cmウーファーが2個両サイドに取り付けられ、ミッドバスとして20cmコーン型、スコーカーに3・8cm径、トゥイーターは1・9cm径のドーム型ユニットが使われている。音質は、かなり可能性の高い優れた性能に裏づけされたもので、ローレベルからハイレベルまでのリニアリティがよく、大音量再生にも安定している。バランスのよい、しなやかな質感でクラシックを聴かせる一方、ジャズ、ロックもなかなか力強いが、どこかに応答性の鈍さがつきまとうところが気になってしまう。

総合採点:8

セレッション Ditton 662

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菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 ディットンシリーズの上級機で、3ウェイ3スピーカーをドロンコーン付エンクロージュアに収めた、トールボーイタイプのフロアー型。かなり大型のシステムだが、音表情は柔らかくしっとりした質感をもっている。滑らかな弦楽器の音は大変品がよく、耳ざわりな刺激性の音は出てこない。ピアノも品のよい輝きで、演奏表現もよくわかる再生能力をもっているが、残響感のようなややデリケートな雰囲気再現に不透明な感じがつきまとう。ということは、全体の印象として、音のさえや歯切れのよさに少々欠けるかわりに、荒々しさや刺激性のない、ふっくらとした含み味の楽しめる疲労感のない音といえる。具体的には、オーケストラの響きが一種の風格を感じさせる重厚な鳴り方で、テクスチュアはしっとりとした厚みと落ち着いた艶を聴かせる。反面、ジャズではソフトタッチな音の質感のため、鮮烈なイメージが出てこないのが何とも物足りない。大音量で鳴らせば安定した鳴り方のため、力感と迫力の点では満たされるが。

総合採点:8

KEF Model 105 SeriesII

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菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 建築制限を受けて建てられたマンションのような形をした独特なシステムで、30cmウーファー、11cmスコーカー、5・2cmトゥイーターの3ウェイ3スピーカーシステム。各ユニットの位相を合わせるためのスタイルだが、あまり美的とはいえない。リスニング・ウィンドー・インジケーターがついていて、聴取位置にユニットの方向を正しく合わせるようになっているなど、いかにもマニアックな考慮がふんだんに払われた製品だ。音は立派なものである。エネルギーバランスは全帯域が落ち着いたバランスにまとまり、オーケストラの響きは堂々たるもの。各楽器や音楽の性格も大変よく再現し、雰囲気の豊かな生き生きとしたプレゼンスが得られる。気になる点は、ヴァイオリンの音がややきつく耳を刺す傾向のあることだ。ごく高い倍音領域の再生に精緻なきめの細かさが不足する。弦の高音が刺激性をもっていながら、細かい音色の味わいがなく、大味なのである。高音域の質感がより自然になれば、個人的にも好きになれるだろう。

総合採点:8

エリプソン 1303X

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菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 フランス・エリプソン社のユニークな製品群の中では最もオーソドックスなデザインといえるシステムだが、それでも十分ユニークだ。3ウェイ3スピーカーをトールボーイの密閉型に収めていて、ウーファーは17cm、スコーカーは13cmのそれぞれコーン型だ。トゥイーターは1・9cmドーム型。このユニット構成からもわかるように、フロアー型の形状ではあるが、内容としてはむしろ中型ブックシェルフの域を出ないわけで、大型システムの再生能力を期待すべきではない。実際の音も大変可憐な雰囲気で、軽やかに美しい響きがそよ風のように流れ出す......といった風情であった。ヴァイオリン・ソナタは、ちょっと他のスピーカーでは聴けない清楚な演奏になって興味深かった。このしなやかな美しさは魅力的だ。しかし、あまりにもその性格が強いため、もっと重厚な響きや鋭い刺激を要求する音楽では全く物足りない再生音に終ってしまう。また、能率が低いことも、ジャズやロックを聴きたい人には使いやすいとはいえない。

総合採点:7

ヤマハ FX-3

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菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 ヤマハのフロアー型の2作目で、第1作のFX1のシリーズモデルだが、実際の内容はむしろブックシェルフ型のNS1000の系統といえるだろう。36cmウーファーをベースにドーム型のスコーカーとトゥイーターを組み合わせた、3ウェイ3スピーカーのシステムで、エンクロージュアはバスレフ型。フロアータイプとしての音のまとまりは、FX1よりこなれていて、バランスのよい耳あたりの快い音に仕上っている。何を聴いても十分プログラムソースの特質を再生してくれるし、リニアリティも高く、繊細感からスケールの大きな迫力まで余裕をもってカバーする。一口にいって柔らかく暖かい美しい音であるが、いくつか気になったことがあった。その一つは、オーケストラのトゥッティで中低域にこもる帯域があって、これはドラムでも不自然な共振音のように感じられた。また、音像の輪郭がもう一つ明確ではなく、音の切れ味に不満がある。多彩な音色の綾が、もっと明解に再現されて欲しいという気がするのである。

総合採点:7

JBL L150

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菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 JBLの新製品L150は、L220の廉価版と受けとることもできるし、L110のグレードアップ版ともいえる。3ウェイ3スピーカーにドロンコーンを加えて、トールボーイタイプのフロアー型システムにまとめ上げたもの。トゥイーターは2・5cmドーム型、スコーカーは13cmコーン型、ウーファーは30cmコーン型で、ドロンコーンも30cm径だ。明解な音の解像力、現実感のあるシャープな立上り、豊かでいてけっしてたるみの出ない低音に支えられた端正なバランスは、JBL製品中でもかなり出来のいいシステムだと思う。これで、高域の品位がもう一つ高ければ文句なしだが、このドーム型トゥイーターには、弦の高域にやや耳を刺す傾向があるのと、ホーン型トゥイーターほど明晰とはいえないところが残念である。オーケストラのトゥッティの質感にこの傾向が聴かれ、もう一つ落ち着いた滑らかなテクスチュアが聴きたかった。ジャズ系のソースでも、スネアのブラシングに少々不満がつきまとったのもこのせいと思われる。

総合採点:9
菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 同社のリファレンス・スタンダード・シリーズは、EMIT、EMIMと呼ばれる独特なトゥイーターとスコーカー、そしてポリプロピレン・コーンのウーファー使った、いかにもアメリカの新生メーカーらしい製品だ。本機は、シリーズ中最もポピュラーなブックシェルフ型で、3ウェイ3スピーカーの構成をとり、トゥイーターにEMIT、スコーカーにコーン型を使っている。EMITとはエレクトロ・マグネティック・インダクション・トゥイーターの略名で、薄いプラスティックフィルムのダイアフラムにエッチングされたボイスコイルにより全面駆動され、高域特性は大変優れている。軽く明るい高域は独特なユニットにふさわしい繊細さで、楽器の倍音をよく再生する。したがって、ヴァイオリン・ソロや編成の小さなアンサンブルなどは、スムーズできめの細かいサウンドが美しい。重厚な音の再生に難があり、どちらかというと弦や木管のデリカアーに向いている。ユニークなデザイン、高い仕上げとともに品位も高い。

総合採点:8

パイオニア S-955

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菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 大型のブックシェルフタイプで、まさにこのクラスでの王者的風格をもったシステムだ。26cmウーファーをベースにドーム型スコーカー、リボン型トゥイーターの3ウェイ構成は、弟分のS933と共通したもので、各ユニットの品位、仕上げの高さといった製品としての作りは最高級品といってよい。スピーカーの場合、必ずしも高級な作りがそのまま音のよさにつながらない難しさがあるが、このシステムは、音の点でも高い品位をもっている。全体のスペクトラムのエネルギーバランスがよくとれているので、どんな音楽もその全体の姿が美しく、あるべき形で再現される。3ウェイの各帯域の音色的なつながりの点ではS933の方がより溶け合っているようで、本機ではドームとリボンユニットのつながりにやや異質感が感じられるときがある。そのためか、全体にもう一つ透明感が欲しい気もするが、とにかく立派なシステムだ。オーケストラのテクスチュアの重厚で緻密な味わい、ジャズの質の高い迫力等オールラウンドに素晴らしい。

総合採点:9

BOSE 901 SeriesIV

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菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 このユニークなスピーカーも長年に亘って着実な改良が施され、IV型に至ってユニットイコライザーの改善が高い水準に達したという感がある。今までは独特な音響放射の理論面に力が片寄り、再生音の洗練度については力が及ばなかったという傾向があった。このIV型では、性能もさることながら音色がすべての音楽を生き生きと、その本質を損ねることなく十分に味わい深い魅力を聴かせるようになった。独特の音色というとすぐ癖とかよけいな色づけと決めつける浅薄なオーディオ屋が多いが、認識不足と体験不足という他はない。オーディオは音楽を楽しむわれわれの感覚の対象として存在するという事実に立って、現実を見つめ、素直に科学技術の力と限界を認識すればわかるはずだ。固有の音色を持たないものは実在しない。それは作る人間の意識とは無関係だ。ボーズはこの音を意識して創ったはずはない。この独創的なシステムを洗練させた努力が、このスピーカーの魅力をもたらしたと私は思う。

総合採点:9

Lo-D HS-90F

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菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 きわめてバランスのいいシステムで、音楽は何を聴いても、その全体の造形がまともに再生される。全帯域に平均したエネルギーバランスであることがわかる。音色はおとなしく、やや淡泊である。もっと、コクのある演奏や楽音は濃厚に再生してほしいと思う。端正な音楽には強い主張がないので、控え目な特長が生かされるが、強烈な個性を少々柔和に鳴らしてしまうようだ。ヴァイオリンのソロを聴いても耳あたりのいい音なのだが、質感の魅力は十分再現されないし、ヴァイオリン特有の艶と輝きが出てこない。これはオーケストラを聴いても感じられることで、オーケストラのテクスチュアがやや粗く、しっとりした感触が失われるようだ。しかし、こうした注文は、かなり欲ばった次元のことで、先にも述べたように、全体のバランスのよさ、安定したパワーキャパシティと高いクォリティによる、広い適応性をもった再生能力は高く、国産スピーカーでは高水準といってよいだろう。

総合採点:8

ハーベス Monitor HL

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菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 20cm径のポリプロピレン・コーンのウーファーにソフトドーム型トゥイーターを加えた2ウェイ2スピーカーのバスレフ型で、地味ながら堅実なキャリアをバックグラウンドにもつエンジニアリングが感じられる。イギリスのスピーカーらしい渋く、スマートな音が印象的である。ヴァイオリンは、高域にやや細身のきつい響きがのった切れ味の鋭さを聴かせるところが、好みによっては気になるかもしれないが、細部を繊細に浮き彫りにするところや、やさしく奏でられるソノリティの美しさは、いかにも品がいい。ヴァイオリンの音のエッジがたつわりには、ピアノの角が少々丸くなりがちで、もう一つ歯切れがよくてもいいと感じられた。私の好みからいくと、中音から高音にかけて、もう一つ豊潤さがほしい気もするが、オーケストラのハーモニーや質感は大変自然で品格のある響きだ。質が高いから、ジャズを聴いても楽器の質感や演奏表現がよく再現されるが、大音量の力感には、今一歩物足りなさが残るのが残念である。

総合採点:9

ダイヤトーン DS-70C

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菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 3ウェイ・3スピーカーのフロアー型システムで、エンクロージュアはバスレフ。ウーファーは33cmと大き目だが、全体はフロアー型としてはスリムで、締ったまとまりである。ユニットそれぞれも構成も大変オーソドックスなシステムといってよいが、このシステムの最大の特徴は、ウーファーにHCコーンを使っていることだ。音は、バランスはよいが、透明度がやや物足りなく、俗にいう抜けの悪さが感じられる。ヴァイオリンは滑らかで、耳障りな刺々しさは出ないが、逆に、少々細かい音の再現が不十分で鈍い感じを受ける。ピアノも精緻な音ではなく、大掴みに、まろやかに聴きよく響くタイプ。低音は、しなやかさがなく、コンコンという癖がつきまとう。ダイヤトーンとしては、音像のエッジのシャープさもやや期待はずれという感じだ。しかし、全体にスムーズで聴きよい響き、ローレベルからハイレベルまでのリニアリティのよさ、帯域バランスのよさなどは、さすがにキャリアのあるメーカーらしく、広い音楽の適応性をもつ。

総合採点:8

フォステクス GZ100

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菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 3ウェイ3スピーカーのブックシェルフ型だが、ブックシェルフ型としてはかなり大型の製品である。ウーファーは30cm口径で、エンクロージュアは密閉型である。同社でRP型と称するトゥイーターは平面振動板を使ったもので、RPとはレギュラー・フェイズのイニシャルをとったもの。さて、音についてだが、エネルギーバランスはとれているから、何を聴いても大きな破綻はきたさないし、音楽のバランスや造形がくずれることは内。RP型トゥイーターは技術的な新味はあるが、どうやらこのユニットが、このシステムの音を特長づけているように聴こえる。レコードのノイズ成分が不自然にピーキーで耳ざわりなのがそれで、ヴァイオリンのしなやかな質感が十分美しく再生されないようだ。ウーファー、スコーカーの領域でなんとかカバーできる帯域分布にある楽音は、まずまずの鳴り方といえる。全体に生硬な音といった印象で、楽音の品位がよく出ないのである。音楽表現の機微や音色のデリカシーまではあまり期待できない。

総合採点:7

パイオニア S-933

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菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 高級ブックシェルフ型スピーカーとしての面目躍如たる製品。3ウェイ3スピーカーをバスレフ型エンクロージュアにまとめているが、各ユニットのクォリティは大変に高い。そして、その三つのユニットがそれぞれ異なった構造のものながら、全体の音のまとめが巧みで完成度の高いシステムとなっている。欲をいうと、もう一つ明るく澄み切ってほしいところもあるが、楽音の固有の質感をよく鳴らし分けるし、余韻や空間の再現もかなり満足のいくものだ。まろやかな楽器の質感の再生は見事で、音に暖かみと幅がある。ヴァイオリンも倍音成分のバランスがナチュラルでスムーズだし、ピアノもよく歌ってくれる。オーケストラのハーモニーも重厚なテクスチュアがよく再生されるが、やや中低音が重い気もしなくはない。この帯域がもう少し軽やかになればもっといい。ハイレベル再生も安心して聴けるのでポピュラー系の音楽のスポーティな聴き方にも十分対応する。充実したジャズやロックのサウンドを浴びることができた。

総合採点:10
菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 30cmドロンコーン付エンクロージュアに20cmウーファーとドーム型トゥイーターがつき、さらに専用イコライザーが付属するという独特な設計のブックシェルフが+ヒーカーである。最大入力がピークで250Wというヘビーデューティ仕様をみても、このスピーカーのたくましさがそうぞうできる。再生音はかなり特長のあるもので、密度の高い充実した音の触感は魅力的だ。しかし、全体のバランスは決して端正とはいえず、かなり個性的といわざるを得ない。オーケストラの分厚いハーモニーの再生は見事なものだが、人によってはこのアクの強さについていけないかもしれない。私にとってはそれほど違和感のあるものではないのだが、音楽によってはもっと繊細で端然とした響きも欲しくなる。音楽が無機的に白けることはないが、とくに押しつけがましい印象になるようだ。好き嫌いのはっきりわかれるスピーカーだと思うが、それにしてもスピーカーというものは程度の差こそあれ、嗜好の対象とならざるを得ないものなのである。

総合採点:8

オーレックス SS-L8S

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菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 かなりコストのかかった入念な作りで、内外ともに充実した製品だ。バスレフのフロアー型に30cmウーファーをベースにコーン型スコーカーとドーム型トゥイーターを組み合わせた3ウェイシステムである。ところで、肝心の音の方だが、音質の品位はかなり高く、各ユニットのクォリティのよさが感じられる。しかし、全体の音の印象としては少々抑圧がききすぎて、柔軟さが足りないように感じられる。どこか抑え込まれてきゅうくつなのである。音が重い印象で、圧迫感がある。余韻や、空間のライブネスなどのデリケートな再生が不十分で、雰囲気があまりよく出てこない。ピアノの歌うべきパッセージも、おとが 一つ一つ途切れ気味で、音が高揚しない傾向を持っている。パワーハンドリングには余裕があって、少々のハイパワードライブにもびくともしないから、ジャズやロックの大音量再生は安心して楽しむことができる。ただ、バスドラムのチューニングがやや高くなる傾向が気になったし、リズムも楽しく弾んでくれない。

総合採点:7

オンキョー Monitor 100

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菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 堂々たる貫禄はブックシェルフ型の限界といってよいだろう。スピーカーとしての能力は大型フロアータイプに迫るものがあるが、コントロールにもう一つ、つめが欲しいと思う。それは、わずかながら中高域にピーキーな汚れが感じられることだ。バランスのいいオーケストラのトゥッティなどを聴くと、この傾向がちらりと顔を出す。全体にはスムーズな、むしろやや内向的な鳴り方でこれは同社のM6などの音色とは全く趣を異にするものに感じられるだろう。しかし、よく聴きこむと、必ずしもそうとはいかないようだ。ウーファーとスコーカーのつながり付近の音の表情には一脈通じるところもあるようだ。ハイパワーで鳴らせるが、音の本質にやや弱々しいところがあって、音量のわりには迫ってくるものが少ない。いわば骨細の音のイメージがつきまとう。しかし、いずれのソースも全体を大掴みながらバランスよく再生するし、リニアリティが高く、指向性のよさと相まって、水準の出来といってよいスピーカーである。

総合採点:7
菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 4ウェイ4スピーカーの密閉ブックシェルフ型。その名も「プロフェッショナル2500」という力の入ったものだ。大いに期待した初対面であった。しかし、残念ながら期待が満たされたとはいえなかったのである。まずユニットそのものから、それほど品位の高い音が出ていないということ。エンクロージュアの出来もそれほど剛性は高くないらしく、低音の質が決してよいとはいえないもので、かなり共振の感じられる不明瞭な低音だった。全体としてバランスのとり方はうまく、効果的に音楽のイメージをふくらませる音とはいえるが、トーンクォリティが不満なのである。ダンピングが悪いというか、密度が足りないというべきか、音の触感が緻密ではない。もっとソリッドな締ったクォリティなら、この音のまとめで数段素晴らしく聴けただろうと思われる。重厚なオーケストラのトゥッティも悪い響きのバランスではないし、シャシュのソプラノもいい声だ。それにもかかわらず、常に本質的な音の質感に不満がつきまとうのである。

総合採点:6

ビクター SX-7II

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菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 独特の透明感・プレゼンスのよさは私が高く評価していたものだが、今回の試聴ではそれが目立っては感じられなかった。どういうわけだか判然としない。試聴条件のためか、この製品について特にそうなのか、あるいは他製品との相対的な印象でそうなったのか......。試聴感は決して悪いものではなかったが、思っていたほどよくなかったというのが正直な感想である。しかし、全体のバランスといい明解な音像再現能力といい、良い点はたくさんある。かなり大音量再生を試みても安定した力感を楽しめるという能力の大きさは、やはり優れたスピーカーだと思う。ただ、外国製品の優れたものと比較せざるを得ない今回の試聴条件では、音色の再現能力に限界があって、もっと瑞々しくほれぼれするような音であるべき演奏の魅力が、十二分には発揮されない嫌いがあった。レコード音楽愛好家としては、それがたとえスピーカー固有のものだとしても、そこから聴こえる演奏と一体化した音色の音楽的愉悦感を否定できるものではない。

総合採点:9

ESS PS-8A

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菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 ハイルドライバーというユニークな高域ユニットを使ったESSのシステムは、当初から幾多の改良がなされ、最新の製品では非常に洗練された音になった。このPS8Aは、シリーズ中の最もポピュラーな製品で、20cmウーファーとの2ウェイでこれを25cm径のドロンコーン付エンクロージュアに収めている。全体によくコントロールされたウェルバランスな音で、音色には艶やかな魅力と弾むようなしなやかさがある。といって、決して全体に強いトーンキャラクターがあるわけではなく、ごくハイエンドの癖と感じられる部分を除けば、おおむね音楽的効果としてプラスする範囲の色づきだ。ピアノの響きは美しく演奏の表現がよく生きる。一音一音がとぎれるようなことがなく、よく歌いよく和して聴こえる。ヴァイオリンは、ごく高い倍音領域に癖と感じられるキャラクターがあるが、それ故にか繊細で美しい印象ともなる。かなりのハイレベル再生でも安定で、ジャズ系ソースにも力感のある再現が可能。質的にも立派なものだった。

総合採点:9

コーラル X-VII

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菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 製品としてはかなり力のこもった入念な作りであるが、音は力感の再現に片寄って聴こえる。そのため、堂々とした迫力でロック調のポップスを聴くには効果的だ。全体のバランスもよくとれていて、性能的には高い水準を維持していることがわかる。しかし、繊細な要素、音楽の微妙なニュアンス、演奏表現の細やかな機微といったものの重要なプログラムソースの再生となると、残念ながら未だ洗練度が足りないようだ。ピアノのレガートが演奏されているようには響かず、一つ一つの音がぶつ切れになり、表現の雑な演奏に聴こえる嫌いがあるし、ヴァイオリンの音にもやや金属的な響きがつきまとい、トゥイーターかスコーカーの振動系の物性的な固有のキャラクターが出てしまう。シャシュの声も少々安っぽくキンキン響くし、オーケストラのトゥッティも華美にすぎる。もっと落ち着いた、しっとりとした味わいとして響くはずのレコードがそうした音になるということは、スピーカー設計上の一つの難題なのであろう。

総合採点:7

ロジャース PM110

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菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 小型スピーカーらしい、きちんとまとまった端正な音で、KEF303と比較すると、豊潤さでは劣るが、端正さでは勝ると思う。ヴァイオリン・ソロなどは大変品位の高い立派な音で、この楽器の特質をよく再現してくれる。触感のリアリティまで精緻に聴くことができる。ピアノになると、ややスケール感の点で不満が出るが、控え目ながら美しい鳴り方で、キメの細かいタッチが美しい。ジャズやロックになると、さすがにスケールと迫力の点で物足りなく、イメージとしてもKEF303の敵ではない。しかし、極端に低域が不足するというようなアンバランスさはないのが立派である。シンバルやブラシングの繊細な音色の鳴らし分けはたいしたもので、そうした音色のデリカシーの点では高く評価してよい。これもまたKEF同様、しかるべき低域システムを付加してかなり本格的なスピーカーとして組み上げてみたい意欲を感じさせるに十分な魅力を持っている。もちろん、このままでも十分魅力があることはいうまでもない。

総合採点:8

テクニクス SB-7

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菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 全体としてのまとまりや、この素直ともいえる透明な音は優れた水準のものだろう。音の汚れや音色に強い癖のないスピーカーである......というように、どこといって欠点を指摘することができない。帯域バランスもよくとれているし歪感もない。楽器の特質もよく再生し、ローレベルからハイレベルまでのリニアリティもよい。しかし、一番不満なのは、演奏の表現がフラットになって表情が乏しい。つまり、音響的にはともかく、音楽的には不満が残るのである。細かくいえば、一つ一つの楽音にしてもどこか生命感に乏しいのが不思議だ。たとえばピアノの粒立ちが立体的なイメージにならない。クレッシェンド、デクレッシェンドが音量的には行なわれても、生きたエクスプレッションが失われてしまう。美しい音だし、ハイパワー再生をしたときの音量も結構なものだが、真の迫力たり得ないのである。優れた特性のスピーカーなのだろうが、こうした音楽の充足感に一つの不満が残るのが惜しまれる。不満を強調しすぎだが......。

総合採点:8

ビクター Zero-5

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菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 30cmコーンスピーカーをウーファーとして、スコーカーに10cmコーン、トゥイーターにはリボン型を配した3ユニット構成の3ウェイシステムである。エンクロージュアは、ブックシェルフタイプのバスレフ型だ。なかなかよくまとまった、明るい音色をもったシステムである。ヴァイオリンで、トゥイーターの高音域が、やや異質なキャラクターを鳴らしたが、これは、大方の音楽でハイエンドの味つけとして生きる場合が多く欠点とはいえないとも思う。バランスがよくとれているし、各ユニットの音色も、ほんのり甘美で、暖かく、音楽を無機的に冷たくすることが決してない。編成の大きなオーケストラのトゥッティも、テクスチュアもよく緻密に再現するし、プレゼンスの豊かな、ソノリティに量感もある。ジャズも、かなりのハイレベル再生でも安定し迫力も満たされるし、個々の楽器の特質や、演奏表現もまず、不足はない。これで、音楽の品位に負けなければ文句なしだが、この甘美な音色はどちらかというとポピュラー系向きだ。

総合採点:8

KEF Model 303

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菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 楽器や音楽表現の美しさが実に巧みに緻密にスケールダウンして再生される、素晴らしいスピーカーだ。小型で、かつコストダウンをうまく図りながら、巧みにまとめ上げた傑作といってよいだろう。音色の美しさだけでなく、演奏のエクスプレッションをはっきりと聴かせてくれる数少ない製品の一つだ。こうしてまとめて同クラスのシステムを聴いてくると、これがKEFというイギリスのものであるので、海外のメーカーの音楽の掴み方のうまさに、改めて感心させられてしまう。クラシックの室内楽にはほとんど不満のない再生音が得られたし、たとえジャズやロックのスケールの大きな力感が生命のような音楽にさえ、スケールこそ小さいが、立派に本物をイメージアップさせてくれるバランスと質感には、脱帽である。このシステムを中高域に使って、低域を大型のもので補えば、相当なシステムが組み上げられるのではないかという可能性も想像させてくれた。何かの機会に、是非挑戦してみたいと思っている。

総合採点:10

トリオ LS-202

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菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 音楽の雰囲気をよく再現する製品だ。クラシックもジャズや、それぞれにそれらしい響きをまともに出すスピーカーは、ありそうでいて少ないものだ。このシステムは、すべての点でそこそこの中級のパフォーマンスを示す。25cmウーファーをベースとした3ウェイのオールコーン型という構成も、まさにミドルクラスを代表するものといってよい。真面目に作られたよい製品だと思う。難はトゥイーターで、時々細身の神経質な響きが顔を出す。ヴァイオリンは、なかなか繊細でしなやかな音をよく再生する。ピアノ一粒一粒の音に加えて、そのペダリングやホールのソノリティによる余韻の再現も美しいのだが、全帯域にわたってスムーズとはいいきれない。これはシャシュのソプラノにもいえることで、トゥイーターが、トゥイーターの音を聴かせてしまうことがある。高域のイズの出方にもこの傾向は出ているようだ。ドラムを聴いても、ブラシワークがシャキシャキしすぎるし、それにマスクされるのか、中域がやや薄くなる。

総合採点:8

デンオン SC-304

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菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 一口にいえば大変端正な響きということになる。つまり、品位の高い音だ。質的にも帯域バランス的にもバランスがよくとれていて、比較的スリムな全帯域のエネルギーバランスとなっている。そのため、決して豊満な響きではないし、それほど色艶の濃厚なものでもない。トゥイーター領域の倍音成分の再生がよく、そのために弦楽器はリアリティのある響きだ。決して刺激的にならずに、十分しっかりと鋭く高域を聴かせてくれる。人によってはやや冷たいと感じるかもしれないし、事実私も、音楽によってはもう少しウォームなふくらみのある音が欲しかった。オーケストラで云うと、LSOのようなイギリスのオーケストラにある響きのような雰囲気で、ベルリン・フィルのような重厚さや、ウィーン・フィルのような艶麗さとは異質のものだ。これは、鳴らし方である程度コントロールでき、100Hz以下を少々持ち上げてやれば、このシステムの細身な癖がとれるだろう。本質的な肉付きの薄さは救いきれないだろうが......。

総合採点:8

フィリップス AH484

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菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 雰囲気の華やかな音で、かなりカラーの強い再生音といえるだろう。しかし、この独特のコクのある音色は一つの魅力だし、ヨーロッパ音楽の再生上違和感はない。むしろ、効果的といいたい美音だ。ヴァイオリンのしなやかな音色は、いかにもそれらしい味わいを伝えるし、ピアノも一粒一粒が丸く艶やかに響く。しかし、細かいタッチの差といった演奏の細部は掴みとりにくく、大掴みに演奏の魅力を雰囲気で聴かせてくれるスピーカーという印象であった。20smウーファーをベースにした3ウェイシステムだが、低音の量感があるから音楽のバランスは堂々としていて安定感がある。スピーカーの全体のサイズからすると、スケールの大きな編成の曲も楽しめる方だ。クラシックのみならず、ジャズやロック系のプログラムソースを再生しても、それなりに物足りなさのない充実した演奏を楽しむことができた。これで、より明確に、緻密に、そして優れた空間感の再現が得られればいうことはないが、ヌケの悪さが不満として残る。

総合採点:8

ヤマハ NS-100M

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菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 スコーカーとトゥイーターにソフトドーム・ユニットを使った、20cmウーファーをベースにした3ウェイで、エンクロージュアは密閉型というヤマハ得意の手法といえる製品。全体によくまとまったバランスは、質的にも帯域的にも優れたもので、どんなプログラムソースをもってきてもバランスで妥当な響きの造形を聴かせてくれる。特に瑞々しい魅力といったものはないし、スケールの大きさの点でもサイズ並みだけれど、大型システムをスケールダウンして、イメージとして決して小粒にならないといったよさを持っている。ちょぴりカラシの利いたトゥイーターの効果、たっぷり響くベースの豊かさが、持てる能力の限界を補って巧みに効果を創り上げているようだ。こういう音のまとめ方は、キャリアと感性がなくてはできないものだろう。うまいまとめだと思う。欲をいえば、もう一つすっきりとした位相感というか、空間感のようなものが再現され、プレゼンスが豊かに聴ければ、いうことはなかった。

総合採点:9

ダイヤトーン DS-32B

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菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 オールコーンのオーソドックスな3ウェイで、エンクロージュアはバスレフのブックシェルフ型となれば、ダイヤトーンが最も作りなれたフィーチュアで、当然あるレベル以上の信頼感が持てるシステムと予想した。私の鳴らし方がよほど悪かったのか......つまり、使ったアンプなどのマッチングが不幸にして悪かったのか、残念ながらこのシステムは予想に反するものだった。周波数帯域では十分な能力を持つシステムであることはわかったが、全体のバランスは決してよいものではなかった。各ユニットの質的なつながりは、ベテランのダイヤトーンらしからぬものがあるといいたいほどだ。特に指摘したいのはトゥイーターの音で、かなりノイズが目立つ。音も決してしなやかさと滑らかさをもったものではない。ヴァイオリンはトゲが気になるし、ピアノの中域は明らかに不明瞭だ。ジャズでも、ハイハットやシンバルの高域の質感は決して品位の高いものではなく、少なくともジルジャンの音ではなかった。

総合採点:6

オンキョー M-77

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菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 全体の傾向として、鮮烈な音楽・演奏には物足りないが、ソフトな音楽性に持味の生きるスピーカー。ピアノの粒は丸く聴きよいが、ややもったりとして切れ味の鋭さに欠けるといった具合である。その反面、弦楽器はしなやかでよく聴かれる耳ざわりな刺激音が出ない。むしろ、なかなか魅力のある、しっとりした美しさが楽しめた。シルヴィア・シャシュのソプラノはやこもり気味で、リアリティが不足したようだ。ソプラノらしい倍音の再生が十分ではないのか、聴きようになってはメツォのようなクードになる。ジャズではリズムが鈍く、シンバルや張りのあるスネアのスキンに冴えと切れ味の不足が感じられた。ブラスも倍音の冴え、透明感が不十分であった。甘美でソフトな持味を生かす音楽、あるいはそうした音色を嗜好する人々にとっては好ましいスピーカーといえるだろう。つまり、全体のバランスや音色の点でも、滑らかさではかなり優れた水準にあると思えるからだ。生き生きした元気のよさが望まれる。

総合採点:7

ソニー SS-R5

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菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 この価格としてはかなりオーセンティックな力感の味わえるシステムで、迫力と豊かさの点ではかなり雄弁なスピーカーだといえるだろう。性格がそのまま感じられるような、ワイドレンジでハイパワードライブの可能なシステムである。ただ、その反面、音の繊細さ、しなやかさといった品位の点では多少期待はずれのシステムといわざるを得なかった。ピアノは、大方のスピーカーと全く異質の表現で、レガートなパッセージがもたもたした流れの悪い表現に聴こえたし、弦のニュアンス、デリカシーもよく再生されない。先述したように、力はあるからジャズやロックの力感は、かなりのハイパワードライブで再現可能ではあるが、肝心な楽器の音色が精緻に出てこないので、音楽の愉悦感が味わえない。音色が鈍く冴えないので、個々の楽器の持味が生かされにくく混濁してしまう。細かい音色を云々せずに、音楽を豊かにスポーティに楽しもうとという志向のスピーカーシステムということになるだろう。その意味では効果抜群だ。

総合採点:7

ラックス MS-10

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菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 全体のバランスはよくとれていて、周波数レンジもよく伸びている印象だ。音そのものも、各楽器の音色を素直に出してくれる方だ。ただ、試聴したシステムはトゥイーターに少々引っかかりのある嫌な響きがつきまとい気になった。別の機会に聴いた経験ではこんなことはなかったので、このモデルだけのことかもしれないが......。不満としては、音楽の力感的性格に対して十分な反応を示さないことだ。どちらかといえば品のよい内省的な響きということなのだろうが、もう少し屈託のない明朗な響きに対応する能力がほしい。少し具体的に書くと、シルヴィア・シャシュのソプラノの声でトゥイーターの響きが刺戟的であったこと、バスドラムの強打やベースのピチカートの反応がやや鈍く、朗々としたファンファーレが透みきらなかったことなどだ。したがって、チャック・マンジョーネの演奏など、打楽器のリズム感のはじけるような鮮烈さが不十分で、このレコードの演奏が十全には生きなかった。

総合採点:7

テクニクス SB-3

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菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 全体の印象としてはソフトタッチな、平面的な音像で、音の奥行感、マッシヴな立体感に乏しいスピーカー。すべての楽音が、さらっと淡泊な味わいになるのがこのシステムの特長で、決して聴きづらい汚れや、耳を刺すような刺激的な音は出てこない。バランスとしては中域以上の帯域に寄っているから、なおさら音が軽い印象を受ける。良さとして受けとるか、物足りなさとして受けとるかは聴き手次第といえるだろうが、私の音の好みからすると、音楽のエネルギーバランスとして、もっと低音に重心のある、重厚感がほしいのである。そして、高域も前述したように平面的だから、艶とか輝きといった印象を受けにくい。フリューゲルホーンなどは独特の音色的味わいが出にくく、時としてトランペットのぼやけたような音色に聴こえてしまう。ベースやバスドラムの力感と弾みも十分に出きらない。したがって、どちらかといえばムーディなストリングスの方がよく、ジャズやロックには不満が出る。もっとリアルなプレゼンスが欲しい。

総合採点:7

デンオン SC-101

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菅野沖彦

ステレオサウンド 54号(1980年3月発行)
特集・「いまいちばんいいスピーカーを選ぶ・最新の45機種テスト」より

 何の変哲もないオーソドックスなスピーカーシステムだが、小型ブックシェルフとしては大変よくまとまったシステムだ。まとまりだけでなく、一つの魅力をも備えている。鋭さと柔らかさが、ほどよくバランスしているところが強みで、楽音によって、時として鋭さが難となる場合があるが、オーケストラなどを聴いても実感のある雰囲気が楽しめる。全体の音色としては明るく、プレゼンスの豊かなもので、2ウェイらしい自然な音場感が楽しめる。ヴァイオリン・ソロではもう一つ弦特有のしなやかさが欲しかったが、ピアノは粒立ちのよい輝きのあるものだった。小型スピーカーだから圧倒的なスケール感を味わうには、低域の量感、出し得る最大音圧レベルからいって無理があるが、一般家庭での平均的な音圧レベルで聴くには不足はないだろう。トゥイーターがもう一つスムーズになると一層素晴らしいシステムとなるように思うが、かといって、それがこのシステムの味の素として、重要な因子なのかもしれない。

総合採点:9
菅野沖彦

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「'81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 全面的に海外製品の占める分野である。このクラスも、コントロールアンプのスーパーマニア製品の項で述べたことが共通していえる。パワーアンプの場合には、パワーで差が出るというのがコントロールアンプより誰にでも理解のいくところだが、かといって、実際にすべての100万円以上のアンプが超出力であるとは限らない。マーク・レビンソンのML2Lのように、モノーラルで25Wというものもある。これを2台そろえれば、198万円だ。ステイシス1は200懦夫るあるが358万円にもなる。同じパワーでステイシス2は半値以下の113万円である。マッキントッシュのMC2500は500Wのパワーで118万円。このように、パワーと価格も全く無関係というのが現実である。メーカーの実情と力などによっての価格水準も変わってくることも加わって、その価値判断は実に複雑な様相を呈することになる。これが趣味の世界というものなのかもしれない。
菅野沖彦

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「'81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 なぜ70万円で価格帯を区切ったのか編集部の意図を推測してみると、どうやら、マーク・レビンソンのコントロールアンプの存在のためらしい。ベストバイの一覧表を見ても、70万円を超えるものはマッキントッシュのC32と、あとはマーク・レビンソンのML7、LNP2L、ML6ALの、いずれも100万円を超す3台だけである。それなら、100万円で区切ったほうがよかったと思う。そして、このゾーンをスーパーマニアと呼ぶとなると何やらおかしいことになる。これだけのお金を払う人のことをスーパーマニアと呼ぶという考え方にとらえそうである。40〜70万円のところで書いたことは、このゾーンにもあてはまる。一品一品に心血をそそいで作られるアンプ、それは量産にはない魅力をもつ場合もあるが、逆に量産のもつ信頼性や安定性に欠ける場合もある。この両方のさよをバランスさせたものが、最高級ランクでのベストバイということになるだろう。
菅野沖彦

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「'81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 ペアで120万円以上は、スーパーマニア向き、あるいは専門家用の超高級システムということになり、最新最高の結晶、あるいは伝統に輝く名品といえるものが、このゾーンには存在する。もちろん、全部、大型システムとなる。いずれも、大変な風格を音にも外観にも持った製品がそろっている。これらのスピーカーの鳴らす音の世界は、それを使う人を反映するといわれるほどで、まさに、オーディオの世界の深奥を聴かせる可能性を秘めている。しかし、まかりまちがえば惨憺たるもので、7万円未満のブックシェルフシステムを、さり気なく鳴らした音にも劣りかねない危険性ももっている。つまり未熟ツナドライバーが、高性能のスポーツカーを走らせるようなもので、人にまで迷惑をかける。これを作った人間達の英知と教養と、それを使う人間の戦いでもあり、美しき理解と協調でもある。それにふさわしい高額な出費もやむを得ないだろう。
菅野沖彦

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「'81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 フォノモーター/ターンテーブルシステムという分野は、一つのパーツとして考えるべきものだろう。プレーヤーは、大きく分けてベース、フォノモーター、ターンテーブルアッセンブリー、トーンアームそしてカートリッジのシステム化により音が決まる。フォノモーターの場合は、ベースがないわけで既製のプレーヤーシステム、あるいはターンテーブルシステム(アームレスプレーヤー)のベースでは気に入らない人が、パーツアッセンブリーとして求めるものだろう。そうした実情から、フォノモーターは、コストを節約したものではあまり意味がない。ターンテーブルシステムは、モーター、ターンテーブル、ベース、そしてトーンアーム取付ベースまでを一体としてメーカーが作り上げたもので、性格としてはプレーヤーといえそうだ。トーンアームの選択を自由にしたものだけに、これも、よほど高度なものでなければ存在理由はない。
菅野沖彦

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「'81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 トーンアーム単体には価格帯をもうけていないが、もともと、これを使おうというぐらいの人は、かなり要求度の高いマニアで、明確なコンセプトから選択するもだろう。プレーヤーシステム附属のトーンアームにも、かなりクォリティの高いものがある実情からして、プレーヤーシステムのターンテーブルに自分の要求が満たされないか、あるいは、どうしても附属のトーンアームが気に入らないといった人達のための存在ということになる。プレーヤーシステムは、カートリッジからベースにいたるすべてを含めて、一つの音をもつものだから、トーンアームも、それ自体の性格と、トータルのシステムの一員としての適性を考える必要がある。さすがに、各社のトーンアーム単品は、明確なコンセプトと専門メーカーらしい精緻な作りをもっている。自分自身の技術的な見地から充分調査することが必要だ。目的は一つでも、考え方がいくつかあるのがこの分野であるから。
菅野沖彦

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「'81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 これもずい分広い価格帯の設定で、概括するのが難しいが、このランクにはかなり特色をもった個性的な製品が多くある。出力は小さいが、技術的には興味深いAクラス・アンプなどは、このゾーンに多いようだ。そして、一般的な国産パワーアンプは今のところ、ステレオで100万円が最高価格であるから、このゾーンはトップモデルを含むことになる。全体としては、海外製のアンプがこのゾーンではめっきり増えてくる。パワーでは200Wクラスが大きいほうで、先に述べたように、,50Wクラスのものまである。作りやデザインにも個性が強く現われ、不思議なことに、国産アンプも、コントロールアンプよりも、ずっとオリジナリティをもったデザインのものが多いようだ。音の密度の充実した製品が多く、海外の大型スピーカーシステムのもてる個性を十分に発揮させるに必要なアンプとなると、このクラスのものが望まれる。
菅野沖彦

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「'81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 このクラスのパワーアンプとなると、さすがに、パワーアンプとして存在感が強い。国産パワーアンプがほとんどで、パワーも100〜150Wが標準である。歪特性はいずれも優秀で、性能的には不足のないものばかりに見える。しかし、実際に音を聴いてみると、実にいろいろな音を出すのが面白い。個性が興味の的となってくる。このクラスに総じていえることは比較的オーソドックスで汎用性の高いものが多いということである。パワーの小さめなものは、その分音質にまわっていることか納得出来るのも、このクラスから上の製品のもつ誠実さといえそうだ。だからといって、パワーの大きいものは音質が劣るとはいえない。僅かだが、そうしたものもあるにはあるが、国産パワーアンプの技術の見せどころといった中堅機種が、このゾーンの代表であり、もともと趣味性の高いセパレートアンプの世界のこと故、この面から見ると、もう一歩といったところだ。
菅野沖彦

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「'81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 パワーアンプ単体も、コントロールアンプの項で書いた、セパレートアンプの性格と共通するものだが、ただパワーアンプの場合、コントロールアンプより使い方が多機能となる場合が多い。つまり、マルチアンプとして、高域用に小出力のアンプが欲しいとか、ある種のブースターとして使いたいような場合がある。30Wクラスの単体パワーアンプが3万円ぐらいから存在することと、同クラスの単体コントロールアンプとを同じに考えることは出来ないのかもしれない。しかし、ここでは一応メインシステムとして考えると、原則としてプリメインアンプのパワー部の水準を超えてこそ、単体パワーアンプの存在が光ってくるといっておこう。そして、それは現実に10万円から上になるようだ。管球式アンプは特殊な存在として、一般には、100W+100Wクラスのパワーのものが単体パワーアンプの現実の目安であろう。
菅野沖彦

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「'81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 この価格帯の後半は全部といってよいほど外国製品となる。そして、これを概括して述べることは全く不可能といってよい。きわめて個性的なものが並んでいて、価格と価値の関係も、それぞれのメーカーのお家の事情で異なり、まったくまちまちである。こういう特殊なものだから、専門メーカーが多く、開発費のかけ方、生産量などが即、価格に反映するのである。早い話が、マッキントッシュのC29を一台だけ作ったら大変な価格になるだろうし、年間700万台も作れば1/10ぐらいになるかもしれない。しかし、このクォリティを維持することは出来ないであろうから、土台無理な話である。というわけで、こういう製品を値段で区切って、どうこういうこと自体が非現実的である。しいていえることとしては、40〜70万円をコントロールアンプ単体のために出費するユーザーとして、真によいものを見抜く眼力と張力が重要だということである。
菅野沖彦

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「'81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 この価格帯には、国産のほとんどのコントロールアンプが集中している。一般的にいって、国産アンプの場合、パワーアンプに比べてコントロールアンプが不作であるが、それでも20万円以上となると、さすがに手応えのある製品を見出すことが出来る。物理特性的には最高だ。コントロールアンプは、心情的に豊かな魅力をもったものが要求され、直接手で触れて、音をコントロールする専門のコンポーネントということから、パワーアンプ以上に、要求が複雑になるようだ。音だけでなく、総合的な印象が音楽を聴く心情の対象として厳しく見つめられるであろう。そうした意味でいくと、20〜40万円のゾーンは、やや物足りなさがあるかもしれない。いいかえれば、国産コントロールアンプの抜群の特性にバランスした、ものとしての魅力や風格、オリジナリティとセンスにいま一歩のところがあることを物語っているようである。
菅野沖彦

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「'81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 コントロールアンプというからには、パワーアンプが含まれていないセパレート型だ。アンプにはプリメインアンプと呼ばれるインテグレイトな便利なアンプがあるわけだから、セパレートには、それなりの必然性が要求される。つまり、プリメインアンプでは得られない性能、クォリティ、魅力があるべきだ。実際には、プリメイン型の高級機にも劣るセパレートアンプもあるから要注意である。形態がセパレートであるというのも魅力のうちだから、かなり安価なコントロールアンプも市場にはあるが、あまり感心出来るものはない。3万円〜5万円でプリメインアンプを超えるものが出来るわけはないのである。どうしても10万円近いところからが存在の必然性をもったものというのが実情である。本当は、10万円内外と20万円クラストの間に線を引くべきなのかもしれないが、このゾーンにも結構、単体コントロルアンプとしての魅力をもったものが存在する。
菅野沖彦

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「'81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 国産・外国製共に、名実共に高級スピーカーシステムといえるものが、この価格ゾーンになるだろう。プロのスタジオ用モデルは別として、コンシュマー用は全部といってよいほど据置型のフロアーシステムであり、かなりの大型機が多い。半数ぐらいは、プロ用モニターシステムである。それも、外国製品が圧倒的に多い。60万円クラスで述べた趣味性はさらに高まり、このクラスとなると、ものは、その性能の可能性を誇り、使う人の才能、技術、経験を要求しはじめる。ユーザーの資格が問われるといってもよいであろう。ただお金があるから買うといったことがあってはいけない。ましてや、昨日今日オーディオに興味をもって、いきなり、このクラスのものを買い込むことは慎むべきだ。決してよい結果は得られないであろう。然るべきコンサルタントがいれば話は別であるが......。だからこそ、ステイタスにすりかえられることにもなるのであろう。
菅野沖彦

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「'81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 この価格帯を展望した時の目立った傾向としては、外国製品の存在である。そして、フロアー型が多くなり、38cm口径級の大口径ウーファーをベースにしたマルチウェイが目立ってくる。マニア向けとしては決して高級クラスとはいえないが、ここまでくると、もう音楽は生活の伴奏ではなくなり、糧となる。大きさもかなりのものになってくるし、人は、正面からスピーカーと対峙する構えが必要だろう。特に国産品では最高級品の領域であるから、こうした性格が強い。外国製の場合は、どうしても割高となっているから別の捉え方が必要だろう。つまり、現地価格からして、このクラスが本格派への入門といったところである。かなりの個性派が多く、かなりの趣味性を満足させる似たる製品がずらりと並んでいる。人の感性や情緒の対象として、あるいは音楽表現の味わい、楽器の音色の色彩感や美しさに照らし合わせて云々するに足るものが増えてくるゾーンといえるだろう。
菅野沖彦

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「'81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 このクラスになると、中堅製品とみてよいだろう。ブックシェルフシステムなら、もう限界といってよい大型のものから、フロアータイプのものまでが登場してくることになる。ウーファー口径も、大きいものは38cm径があるし、構成も、技術的特長も、変化に富んでくる。外国製の個性的な製品も多く入ってくるようだ。大ざっぱにみて、大型の本格派を、限られたコストの中で狙ったものと、独特な個性を技術的にも音的にも狙ったものに分けられる。前者は、この価格で大音量とスケール感を狙ったものだし、後者は味わいや個性といったクォリティを追求したものである。かなり技術的追求のおこなえるコストであるだけに、気の入った力作が多く注目される。音楽の表現や、色彩感に関与してくるといった趣味性が出てくるのである。相当〝うるさい〟人にも応えられる製品がある。いわば、本格派向きである。ブックシェルフとしては最高級品になる。
菅野沖彦

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「'81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 7万円未満と7万円台では明確に線を引くべき根拠はない。大きく、7〜15万円という範囲を一把みにして考えるということでいけば、たしかに、一つの傾向を発見出来ることになるようだ。このクラスのスピーカーシステムは、開発の意図からして、音に感心のある趣味的な人を対象に考えているからである。ブックシェルフシステムがほとんどであるが、構成は、3ウェイシステムが圧倒的である。全体像として捉えると、中級スピーカーシステムということになるが、オーディオファンを対象とした場合に、この辺が、初心者、入門者向きの製品群とみるが妥当のように思う。コンポーネントシステムとして最も購買者層の厚い、いわゆる売れ筋の商品ということになるだろう。時々の音楽の流行や、音のファッションに左右されることの多い価格帯ともいえるし、店頭効果を狙ったものも多い。中にはオーソドックスなものもあり、もっとも混乱の激しいゾーンである。
菅野沖彦

ステレオサウンド 59号(1981年6月発行)
特集・「'81最新2403機種から選ぶ価格帯別ベストバイ・コンポーネント518選」より

 7万円未満のスピーカーといっても、下限は1万円以下とその範囲は広い。12〜16cm口径のフルレンジスピーカーを一個内蔵した小型ブックシェルフシステムから、30cmウーファーをベースにした3ウェイシステムでかなり大型のブックシェルフまで、内容は多種多彩である。さすがに、大型フロアーシステムこそ含まれてはいないが、これらの製品群の最大公約数を見つけ出すことは難しい。しかし、ごく全般的にいって、このクラスは趣味性を満たすといえるものではないだろう。中に、際立って優れた傑作もないとはいえないが、それも、7万円に近い領域である。小型で、さり気なく使えるスピーカー、ベッドルームでのサブシステムとして、あるいは、音楽を生活の伴奏としてムーディに聴き流すといった向きの製品が、この価格ゾーンに存在すると考えて大きな間違いはないだろう。5万円未満は特にその傾向が強く小型システムがほとんどである。
菅野沖彦

ステレオサウンド別冊「世界のオーディオ・マッキントッシュ」(1976年発行)
「マッキントッシュ論」より

「マッキントッシュ論」という、本来きわめてかたい文章を引き受けたわけだが、私はどうもこれから、〝友人ガウを語る〟というにふさわしい文を書いてしまうような気がする。というのも、私がこれほどまで深くマッキントッシュを知り、また知ろうという気持になったのは、ゴードン・J・ガウという一人の男を知ったからであり、その男の魅力にひかれたからでもあるからなのだ。
 彼は現に、マッキントッシュ社の頭脳でもあり行動そのものでもある。すなわち、ガウを語ることは、そのままマッキントッシュ社を語ることであると、私には思えてならないのである。

私が見たマッキントッシュ・ラボラトリー
 私がマッキントッシュ社をはじめておとずれたのは、1969年早々だった。ちょうど、同社のトランジスター・アンプが評価を得たころだったと思う。私はその製品の美しい魅力にひかれ、こういうものを作る会社は、一体どんな会社だろう、という期待に満ちて、マッキントッシュ社をたずねる気になったわけだ。
 マッキントッシュ社は、ニューヨークのマンハッタンから、当時はプロベラ機で40分ほど、やや西に飛び、有名なナイアガラ・フォールスとマンハッタンの中間ぐらいに位置する、ビンガムトンという小さな町にあった。
 小高い山の頂上を削って出来た飛行場からは、美しいビンガムトンの町全体が、見渡せるほどの感じだった。
 その空港で、一人の小柄な紳士が私を迎えてくれた。小柄とはいっても大変に精桿な印象で、しかも、体に似合わない非常に大きな声で、明るくあいさつをしてくれた。「おれはゴードン・ガウという者だ」
 もちろん私は、彼がどんな人物なのか全く知らなかった。そればかりか、彼がさしだした名刺を見ても、この人がマッキントッシュの中心人物であることを、知ることはできなかった。なぜなら、彼の名刺にはなにも書いてない。そこにはただ、ゴードン・J・ガウ、マッキントッシュ・ラボラトリー・インコーポレイテッドとだけしか書かれていない。これは後で知ったことなのだが、マッキントッシュ社の人々がもつ名刺には、どれも肩書きがないのだ。いや、肩書きがないというよりも、彼等は、肩書きとして書くべき地位をもっていないというべきだろう。ともに仕事をする人間関係に対する、マッキントッシュ社のユニークな考え方が、ここにあるのだが、その話はあとにゆずろう。
 そして、これも次第にわかってきたことなのだが、空港で私を迎えてくれたガウ氏が、これからお話をするマッキントッシュの中心人物で、マッキントッシュ製品のすべてを手がけ、創業以来、製品づくりから製品の売り方まで、すべてのことをやってきた人物だったわけである。
 そのときの私の印象では、彼は、それほどの年配でもなく、いわゆる大ボスという風格をもった人ではなかった。ただ、精桿な面構えで、現役バリバリの技術部長というふうな感じを私は受けた。
 彼の運転するクライスラー・インペリアルで、空港のある山頂から町へおりたわけだが、それは、緑の多い、すばらしい景色だ。彼はそのときこんなことをいった。「これはリンゴの木だ。これはマッキントッシュ・アップルというリンゴの木なのだ」と。もっとも、マッキントッシュ社と関係があるのではなく、偶然のことであるらしい。
 やがて、木の間がくれにサスケハナ川の両側に拡がる、ビンガムトンの小ぢんまりとした愛らしい町並みが見えはじめた。
 実のところ当時の私は、アメリカのアンプ工場で、文字どおりのクラフツマンシップを目にするとは、考えてもいなかった。アメリカに対する漠然たる認識は、マスプロダクションにほかならなかったからである。しかし、ビンガムトンのその工場では、まさにクラフツマンシップが展開されていたのである。どこを見まわしても、ベルトコンベアーらしきものは見当らない。当然そこでは、一人のワーカーが非常に多くの作業を受け持っている。一台のアンプは、せいぜい数ブロックに分けられる程度であり、多少オーバーな言い方をすれば、まさに、一人で作っているのだ。
 さらに、もう一つ驚かされたのは、日本のメーカーなら当然、専門の下請工場へ出すべき部分まで、すべて自社生産である。シャーシの板金、メッキ、塗装、そしてあのグラスパネルのシルクスクリーン・プロセスまで。もちろん、マッキントッシュ・アンプの心臓部であるユニティーカップルト・トランスフォーマーも、自社で巻いている。大変に年配の人が、せいぜい三人ぐらいで......。
 こういう一貫生産という姿、これは日本人の私達でさえ、すでに忘れかけていたものだった。さらにもう一つ、私が今でもはっきりと印象に残っている光景があった。それは、工程から工程へ移るとき──マッキントッシュの製品はご存知のように、ガラスパネルもメッキ部分も、すべてピカピカであり、その美しいフィニッシュを得意としている──必ずクロスですべての部分をピカピカに磨きあげて、次の人に渡す。当然、次の人はそれを受け取り、自分の手あかをつけるわけだが、自分の仕事が終った後、また、ピカピカにして次の人に渡す。
 私の「なぜだ」という質問に、ガウ氏は笑いながらこう答えた。「別にわれわれが強いてこうしろと言っているのではない。自分達が作っているものを大切にする気持が、自然にあらわれているんだ。ここで彼等がふくたびに、きっとマッキントッシュ・スピリットが入ってゆくんだろうな」と半分冗談まぎれに......。
 しかし、私にとってその光景は大変に印象的であり、なるほど、文字どおり手塩にかけて作ってゆく商品は、どこか違うはずだ、という感じをつくづく持ったのを覚えている。
 そして、その後、何回マッキントッシュの工場をたずねても、ごく最近では今年の6月におとずれた時でさえ、その物づくりの徴密さという点は、全く変っていなかったのである。
 マッキントッシュ社のクラフツマンシップが、いかに根強いものであるかを証明する一つの材料として、ガウ氏が話してくれた次のようなことが思い当る。
 それは、マッキントッシュ社の人間関係についてだが。
 アメりカという国はご承知のように、雇用関係がきわめてドライな国であり、昨日までGMの社長が、今日からフォードの社長になるといったことも、けっして珍しくない。こうした風土に生まれたマッキントッシュ社は誕生時10人のメンバーでスタートしている。
 誕生から30年近くを経た現在では、600人とかいう数になっているわけだが、スタート時の10人のうち8人が、今でも同社で働いているのである。これは恐らく、雇用関係が義理人情でしばられやすい日本でさえも、ちよっと珍しいことではないだろうか。
 何かでしっかりと結びついているに違いないこの人間関係が、私にはマッキントッシュ社のクラフツマンシップと、無関係に考えることのできない、重要な事実のように思えるのである。
 そしてさらに、前記した、名刺に肩書きがないということも、緊密な人間関係と、緻密なクラフツマンシップに深いかかわりを持つのではないだろうか。
 人間に肩書きをつけないという方針は、まさにガウ氏の考え方であり、彼はそのことについて次のような話をしてくれた。
「人間にタイトルをつけるということは、大変に人間を侮辱することなのだ。一体、誰が誰にタイトルを与える権利があるのだ。人間はタイトルによって働くものだと、今の会社組織は思っているようだが、とんでもない。タイトルを与えれば、タイトル以外のことはしなくなる。部長とか課長とかいうタイトルは、与えるものではなく、自分がつくるものである。リーダーは上の人が任命するのではなく、下の人が自然につくりだすものではないか。フォロワー、つまり、従う人間があってはじめて真のリーダーたり得るはずなのだ」
 この考え方を、マッキントッシュ社では現に実行している。だから、社長であるはずのマッキントッシュ氏をはじめ、ガウ氏、さらに現場の一技術者に至るまで、名刺だけに肩書きがないのではなく、定められた地位や仕事のわくにしばられていない。全く、彼等からもらった名刺からは、誰が何をしているのかわからないのである。
 人間同志の緊密なつながりを最も尊ぶこの考え方は、マッキントッシュの社内の人間関係だけにはとどまっていないようだ。これは、方針といったものではなく、マッキントッシュ社の体質なのである。 その具体的なあらわれを、私はいくつか知ることが出来たし、私自身も経験した。
 これは、前記したマッキントッシュ社がすべてを一貫生産する、ということにもかかわる話なのだが。マッキントッシュ社の中には印刷工場まであり、カタログや宣伝物まで、すべて自分達の手でつくっている。もちろんこれには、彼等なりの経済的な理由もあるのだが、それよりも、この機構が、ユーザー一人一人を直接マッキントッシュ社と緊密に結びつける上で、重要な働きをしている。
 というのも、マッキントッシュ社は、いわゆる雑誌広告とか、どこかへ広告を出すとかいったアドバタイジング活動は一切やらない。それに代えて、あくまでも厳選した販売店ごとの新製品の紹介も含めた販売店ニュース的なものや、自社製品のダイレクトメールなどを、この印刷工場で印刷し、販売店にかわって、全部ZIPコードをつけお客のところヘダイレクトで送る。ユーザーに直接コミュニケーションするための機構として、この印刷工場はフルに活動しているわけである。
 もちろん、ここでは自社製品の説明書やカタログなども印刷しているわけだが、そうしたものも、外部に依頼すると必ず種々のトラブルが生じ、結果的にサービスの低下につながる、という。そして「この方式が、ユーザーからも販売店からも、最も信頼され、かつ効果的な方式である」とガウ氏は言った。
 マッキントッシュ社が、自分の責任、自分のオリジナリティをきわめて大切に、しかも、緊密な人間関係を重視していることの、一つのあらわれではないだろうか。
 さらに、ユーザー一人一人とマッキントッシュ社を強く結びつけるものとして、クリニックカーによるマッキントッシュ・クリニックのシステムがある。
 マッキントッシュ社では、今、申し上げたようなシステムによって、どの地区にどれだけのユーザーがいるということを、はっきり掴んでいるわけである。したがって、それに応じ、クリニックカーが定期的に順回してくる。もちろんそこでは、マッキントッシュのすべての製品を、また、他社製品でさえ、フリーで測定し自社製品は無料で修理するという、きめの細かい活動が行なわれるのである。
 このことは、今申し上げている、ユーザーと直接、緊密なつながりを持つという事のほかに、もう一つ、マッキントッシュにとって重要な意味を持つ。それは、マッキントッシュの製品はすべて開発段階で、将来ともにフリー・オブ・チャージでサービス出来るという、条件をそなえていなくてはならないことになるわけである。製品開発の基本的な姿勢をここに置く、ということが条件づけられるわけなのだ。現にそれは守られている。
 マッキントッシュ社がこのように、社内の人間関係を大切に考え、かつユーザーとの緊密なつながりなど、あくまでも心のかよったあたたかさですべてを通している根底として、私は、マッキントッシュ氏とガウ氏、この二人の人柄と友情を無視することは出来ないと思う。
 とにかく二人とも、本当にいい人なのだ。だから、先ほども述べたように、この緊密な人間関係は、けっして方針ではなく体質に違いないと思うのである。ことに、この二人の仲の良さ、友情の深さは本当に驚くばかりだ。二人がマッキントッシュ社をはじめて、すでに30年を経過するわけだが、お互いに、本当に信頼し合っていなくては、こうした関係がこれほどの期間つづくものではない。
 会ってみると、二人とも実に頭のきれる人で、しかも人間的な魅力があって、明るく豪快。そして、そのホスピタリティのすばらしさには、ただ、驚くばかりである。とにかく彼等は、皆で飯を食い、飲むということが大好きである。それも、こちらがとまどうばかりに、実に綿密な計画と準備万端で客を迎える。私はその後、しばらくは毎年行ったのだが、こんなにしてもらっていいのだろうかと思ってしまうほどだった。ある時は私達のテーブルに、アメリカと日本の小さな国旗をかざり、ある時は、日本からのお客様だからといって、どこで探したのか、日本の菊の花をいっぱいにかざる。滞在中は二度と同じ所で食事をさせない。ある時など、ニューヨークへの定期便が時間的に都合悪くなると、「われわれの方でチャーターしてあげる」といって、チャーター機を用意してニューヨークまで送ってくれたりもする。
 そう、その時の話がいかにもガウ氏の人柄をしのばせるので紹介しよう。
 空港まで送ってくれたガウ氏は、そこで自分のしていた「マッキントッシュ」のネクタイピンをはずし、これをあげると言って私のネクタイにさした。しかし、私は以前にもらったことがあったものなので、機内に入ってから同行のN君に、「君にやるよ」と言ってネクタイにつけさせたわけだ。やがてニューヨークに着いた私達の前に、ショファー・スタイルの一人の男があらわれ、N君にこう問いかけたのである「あなたはミスター・スガノであるか」と。ネクタイピンは目印だったのだ。
 迎えのリムジンでホテルまで送られながら、私は何ともいえないあたたかいものを感じた。おそらくガウ氏は、私達を送り出すとすぐに、ニューヨークに電話をして迎えの手配をしたのだろう。そして今頃、空港の迎えに驚いている私を想像しながら、楽しんでいるに違いない。彼はそういう男なのだ。
 ガウ氏はよくこう言う。「われわれは高い広告費を払って広告はしない。その費用があったらそれは研究開発に回す。また、こうして話しながら食事をしたり飲んだりする方が、はるかにマッキントッシュを理解して考えられるではないか。一人一人のユーザーにまでそれは出来ないが、考え方は同じだよ」
 でも、この言葉は半分うそであろう。彼のホスピタリティは営業的政策以前のものである。それは彼の体質である。彼は客をもてなす事を、彼自身、真に楽しんでいるのである。彼はそういう男である。だから、そこで本当に心が通じ合うのではないだろうか。

マッキントッシュ・ラボラトリーの誕生
 マッキントッシュ社は、正式には「マッキントッシュ・ラボラトリー・インコーポレイテッド」という。オーナーのフランク・H・マッキントッシュ氏は、以前、ワシントンで放送機器関係のコンサルタント業とともに、FM放送のサブキャリアを使った、バックグラウンド・ミュージックの仕事をしていた。ガウ氏は、そのときエンジニアとしてマッキントッシュ氏に雇われたのである。
 彼に与えられた仕事は、BGMの音質を改良することであった。彼はそこで、こつこつとアンプを設計したり、手づくりで製造していたという。
 彼が、より良い音のアンプを作るために、一番気になったことは、プッシュプル回路のノッチングひずみであった。それまでの標準的なプッシュプル回路では、どうしてもBクラスのノッチングひずみが出てくる。しかし、Aクラスではあまりにも効率が悪すぎてコマーシャルベースに乗りにくい。Bクラスのエフィシェンシーを持ち、かつ、何とかノッチングひずみをへらす方法を考えたいと、研究を重ねたわけである。
 このノッチングひずみについては、1936年にペン・タン・サーという人が、すでに問題を提起していたが、ガウ氏が非常に印象を受けて、自分の研究の刺激になったのは、フレッド・ターマンというオハイオ州立大学の教授が発表した論文であるとの事であった。彼がまず取り組んだ回路は、シングルエンディット・プッシュプル、すなわちSEPP回路によるひずみの低減であった。その結果ぶち当った問題が、今度はアウトプット・トランスフォーマーということになったわけである。それまでのトランスでは、どうしてもある程度以上にひずみを減らすことは出来なかったわけだ。
 とにかく彼は、入出力のリニアリティを上げるために、コア材と巻き線の両面で非常に苦労をした。とくにコア材に関しては、フラックス・デンシティとコイルの磁力がリニア関係をもつものが、全くなかったという。彼はいろいろなコア材の研究をした結果、グレイン・オリエンテッド・シリコン・スチールという鋼材が、きわめて良好な結果をもたらすことを発見した。これを具体的に採用したのが、ウエスティングハウスの開発に成るハイパーシル・コアというものであった。
 一方、ワインディングすなわち巻き線に対しても、彼は多くの研究を重ねている。その結果得たものが、現在のバイファイラー・バランスド・シンメトリックという、つまり、1次線と2次線をパラレルにして同時に巻いてゆく方法なのだが、これに至るまでに、実にあらゆる方法を実験したそうである。 たとえばその一つは、実に58ものタップが出るコイルであった。普通のトランスでは五つか六つのタップであるが、それが58もあったわけだ。彼は苦心して作ったハイパーシル・コアに、58ものタップをもつコイルを巻いた試作品を作り、マッキントッシュ氏に見せた。その時マッキントッシュ氏は「これは大変にすばらしい、しかし、一体いくらにつくのだ!」とさけんだという。
 ガウ氏はその時の事を私にこう話してくれた。「はっきり覚えちゃいないけど、とにかくとても商品になるような値段ではなかったよ」と。しかし、この回路を元に、その後二人でもっと実用性のある方向にアレンジを加え、そして出来上ったのが、1946年に出願したマッキントッシュ・サーキットなのであった。そして1949年に、この回路はパテントを得ている。
 マッキントッシュ社が会社として設立されたのは、前記した特許出願の年、1946年、場所はまだビンガムトンではなくワシントンDCであった。もちろん当時は、まだ、それまでのプロフェッショナル・ユースのアンプを一点づくりで納めていた、アメリカ流に言えばガレージ・メーカーである。その後、パテントを得た1949年に現在のビンガムトンに本拠を構え、アンプメーカーらしいアンプメーカーとしてスタートする。この時、前に申し上げた10人の社員になったわけである。
 その段階で、マッキントッシュのオリジナルサーキットが決まり、その後、チューブ・アンプリファイアーからトランジスター・アンプリファイアーになっても、この基本回路はずっと踏襲されてきている。
 現在のマッキントッシュ社は、社員が約600名。本社工場をはじめ、ビンガムトン内に七つのプラントを持っている。この七つのプラントで、アンプ、チューナー、スピーカーをはじめ、前記したようなシャーシ類の製造から例のガラスパネル、そして各種の印刷物まで、すべてを作っている。そして、会社の中心人物は、マッキントッシュ氏、ガウ氏のほかに、技術関係をコーダーマン氏、総務的な問題をペンショー氏、営業的な面をキャロル氏が担当しているらしい。らしいと言うのは、たびたび申し上げるように、彼等の名刺には何も肩書きが書かれていないからである。

マッキントッシュのアンプ・デザイン
 私とガウ氏の交友もすでに7年になり、その間、何度も顔を合わせて、いろいろな話をしているわけだが、マッキントッシュの製品に関して、私が以前から興味を持ちながら、しかもなぜか、一度もあらたまって質問したことのない部分があった。それはマッキントッシュ製品のデザインについてである。
 ご存知のようにマッキントッシュ製品は大変にすばらしいデザインを持ち、高級品にふさわしいオリジナリティと美しいフィニッシュを誇っている。
 マッキントッシュ社のデザイン部門をガウ氏がプロデュースしていることは、以前から私も知っていた。しかし、デザインに対するポリシーなど、その考え方については、これまで、とくに質問したことがなかったわけだ。マッキントッシュ社では、すべてを自社生産しているように、そのデザインもいわゆるデザイン事務所に外注したりはしていない。社内にデザイン・セクションがあり、彼の意見によって若いデザイナー連が仕事をしている。
 ガウ氏は驚くほどいろいろな事をやってきた人なのだ。アフリカにいたこともあるらしいし、サンフランシスコの大学で教鞭をとっていたり、それからアナウンサーをしていたこともあるという。そんな彼だから、恐らくいつのまにか、デザインについても意見を持つようになったのだろう。これは私の想像なのだが、先日ステレオサウンドで見たC−8のパネルに書いてある「BASS」とか「TREBLE」とかいったフリーハンドの文字が、どう見ても彼の筆跡に似ている。恐らくあれは、ガウ氏の字だろう。
 そう言えば、彼は以前、マッキントッシュの一連のパワーアンプにほどこされているシャーシのメッキについて、こんなことを言ったことがある。「あれは要するに、おれのアマチュアイズムなんだ。おれは自分で物を作ったら、それがバラックみたいなかっこうであることがいやなんだ。別にデザインというほどのものではないよ」とその時点では謙遜していた。しかし、「ガラスパネルを本格的に使うようになってからのものは、デザインらしいデザインと言えるかな」とも言っていたわけだ。そこで今回、この一連のガラスパネルによるアンプデザインについて、そのポリシーなどをたずねてみた。しばらく、ガウ氏の話に耳をかたむけてもらおう。
 おれはデザインについてこう思うんだ。デザインは思いつきや感覚だけで出来るものではないと。最も大切なのはリアリティだよ。君がおれのアンプをきれいだと言ってくれるのは大変うれしい。もちろん、きれいじゃなくては困るんだけど、一番必要なことは、絶対に必然性だ。機械としてのね。
 そこで、アンプの場合には何が最も必要かという事になるのだが、アンプは音楽を聴くためのものだ。音楽を聴く場合には、音楽を聴く人のエモーショナル・レスポンス・フォー・ミュージック──音楽に対する情緒的反応──これが生命だと思う。だからアンプは、エモーショナル・レスポンス・フォー・ミュージックというものを持つべきで、これを大切にしなくてはいけない。そのために何が最もふさわしいかなのだが、おれはそれに対し、イルミネーションが最もふさわしいものだと考えたわけだ。
 次に、それならイルミネーションの色はどうすべきか、という問題になる。
 そんな事を考えながら、ある時、飛行機に乗っていて、それが滑走路へおりて行く時に、おれはタクシーウェイのイルミネーションを見た。これだ、これは絶対にすばらしいと思った。しかも、これはだてや酔狂で、ネオンサインのつもりで色をつけているのではないはずだ。そう思うだろう? 相当リサーチされた結果に違いないんだよ。
 実の所、イルミネーションでいこうと決めた時、その色やデザインについて、おれはミシガン大学の研究室に協力をあおいでいたんだ。(ミシガン大学はデトロイトにある関係もあって、すぐれた自動車デザイン部門を持っている)おれは何をやるにも、まず基本的なスタディからはじめないと気がすまない性格だからね......。
 ガウ氏は、この空港で得たヒントを研究室に持ち帰り、徹底的なリサーチを行った。その結果決定されたのが、マッキントッシュのイルミネーションに使われている、ブルーでありグリーンであり、レッドなのである。
 彼の説明によると、ブルーという色は、人間に、少ない光量で視覚的に正確な認識を与えるものとして最も適している。光量が一番少なくていいわけである。要するに、イルミネーションで正確な認識を与えるためには、光量が多ければいい。しかし、それでは結果的にまぶしく、疲れてしまう。最低の光量で、最も正確に認識しうるものが、イルミネーションの基本のはずである。「現に、飛行場のイルミネーションも、この実験から生まれたものだったんだよ」と彼は言う。
 しかし、心理的に、このブルーという色は冷たい感じを与える。「視野の中に入ってきたブルーから冷たい感覚を得ないためには、それにグリーンとレッドを組み合わせること。こういうデータをミシガン大学の研究室で得たんだ」
 たとえばメーターは、最低の光量で見えるべきだ。見てまぶしいようなメーターでは困る。最低の光量で正確に見える色はブルーである。だが、これだけでは冷たい。そのためにグリーンを持ちレッドを持つ。「これが、あのイルミネーションの基本的な考え方なんだ」
 次に、なぜガラスを使ったかなのだが、これについてガウ氏は、「それは単純だよ」と言う。つまり、イルミネーションというアイデアが浮かべば透明なものを使わなくてはならない。考えられるのはアクリルなどのプラスチック類とガラスである。「三つの点でガラスがまさっている。第一に傷に強い。第二に最も純粋な透明度が得られる。第三にフィーリング・オブ・アキュラシー、つまり緻密な精度感を持つ。せっかくいいメカニズムを作っても、そのフィニッシュにアキュラシーなフィーリングがなくては......。それは中味を象徴することになるのだから」
 だが、材質をガラスに決定した事によってイルミネーションのプリントには大変な苦労をしたようである。ピンホールがちょっとでも出来ると、相手が光だからパッと出てしまう。しかもプリントの精度は、1万分の1インチ以上でなくてはフィーリング・オブ・アキュラシーが出ない、と彼は言う。
「とにかく、200種類のインクを分析して実験した。その結果、出来るようにはなったんだが、プリント時の温度は絶対に70度プラスマイナス5度。そして湿度は15%プラスマイナス5%。これを管理しなければならない。実際にこれは、途中で何回やめようと思ったかわからない。でも、思いついたことをやりとげるのが自分達の仕事の喜びなんだ」
 あまり飾らないガウ氏が熱をこめて語るこの言葉は、同時に、彼のマッキントッシュ製品に対する自信のほどを、裏づけるものとも、私には思えたのである。

マッキントッシュのオーディオ・ポリシー
 マッキントッシュ社の緊密な人間関係や、ユニークな一貫生産のシステム、そしてガウ氏のデザイン・ポリシーなどについて話してきたわけだが、次に、もう一歩ふみこんで、彼の、ということはすなわちマッキントッシュ社の、プロダクト・ポリシーといった面に話をすすめてみよう。
 ガウ氏がよく口にする言葉がある。「大切な事は、たゆまぬ研究開発である。しかし、研究開発というものは常に動的なプロセスであって、その段階で、それをすぐ製品化してしまうということは、大変に危険なことなのだ。自分達は断じて、お客様にリライアビリティ、すなわち信頼性を保証しなくてはならない。リライアビリティが保証できる自信のないものは製品化すべきでないんだ」これが彼の製品づくりの哲学と言ってもいいと私は思う。この点に対するガウ氏の神経の使い方は大変なもので、信頼性のない製品は必ずすべてをぶち壊してしまうと言う。客に迷惑を与え、販売店をぶち壊し、メーカーを駄目にする。もちろん機械に故障はつきものだが、だからこそ万全を期して、大きな故障が起きないようにしなくてはならない、と言うわけだ。
 このリライアビリティの重視は、すなわち製品のロングライフにつながる。「使っていて、短期間のうちに極端に初期性能が衰えてしまうようなものは、自分としては絶対に作りたくない。何年間でも、調整さえすれば常にオリジナルの状態に復元できるような機械でなくてはだめなんだ。これは機械の作り方だけの問題ではなく、基本設計の時点ですでに問題になることなんだ」そしてさらに「だから、まず良いオリジナルな設計を持つ事が大切だし、それを持ってスタートしたら、今度はとことんまで製造面を追求して行かなくてはならない」
 マッキントッシュ社にとってのオリジナルは、前に申し上げたバイファイラー・トランスフォーマーによるマッキントッシュ・サーキットであるわけだから、彼等はこれを、けっして捨てることはないわけである。「このオリジナルに、もうリサーチの余裕がないという事になればともかく、まだまだ、これを発展させ改良させることは可能だ。簡単に捨ててしまうようなものは、本当のオリジナリティではない」と彼は常に言っている。
 アンプがトランジスターになった時、それでもトランスをしょっていることについて、彼はいろいろな人から質問を受けたらしい。私が質問した時にも、またか、と言った感じだったが、その時にも彼が言ったことは「一番大きな理由はロングライフだ。これは絶対に壊れないんだ、トランスをしょっていれば」という事だった。現に彼は、その頃のハイパワー・アンプのライフテストを全部やって、その結果、マッキントッシュのアンプが最も過酷な使用に耐えるアンプであるというデータを自分で確認していたのである。
 ガウ氏はアンプの音質について、こんな考え方を持っている。もし、二つのアンプが同じひずみ率、現在はかり得るすべてのディストーションが同じグレードにあったとしたら、その二つのアンプのオーバーロードではない範囲の音質すなわち、静かにかけている場合には、二つの音質の違いは非常に聴き分けにくい。アンプの問題は、ほとんどの場合オーバーロードで働かされている事にある。
 たとえば彼の実験によると、スネア・ドラム1個のアコースティックパワーは5ワット出ると言う。ところが、能率の悪いエアーサスペンションのスピーカーだと、音響変換効率はせいぜい1%である。そうすると5ワットのエネルギーを出すためには500ワットのパワーを入れなくてはならない。だからアンプは、まず大きなパワーを持たなくてはならない、と言うわけである。たしかにマッキントッシュのアンプは、その時代、その時代で、いつも大きなパワー、大きなパワーという方向に行っているが、それは彼のこうした考え方によるものなのだろう。
 もっとも、ガウ氏は個人的には静かな音で音楽を聴くのが大好きなのである。「オーディオ機器のあらが一番出ない、静かな音で、イメージとして音楽を聴くのが、最もハッピーである」と言う。しかし、実際の使われ方はそうではない。多くの人はスピーカーからリアリティを求めている。「そうなると、きわめて大きなパワーがなければリアリティは求められない」という事になる。
 彼は言う。現に、現在のほとんどのアンプはオーバースイングの状態で使われている。そういう状態では、アンプはきわめて音質の差がはっきり出てくる。たとえばチューブアンプとトランジスターアンプの場合、いろいろな要素はあるけれど、一番ティピカルな音の違いはオーバーロードに対するものだ。この二つのクリッピング波形は、はっきりそれとわかる。これを何とかしなければ、いつまでたってもおまえのところのMC2105より275の方が、はるかにパワフルで、はるかにいい音だと言われてしまう。だから、現在アンプで最も問題にしなければならないのは、クリッピングしないほどのパワーを持たせるか、あるいはクリッピングしても、それをあまり強く感じさせないことだ。
 彼は、こんな実験をしたという。それは、最近よく問題にされるスルーレートに関するものである。「方形波を入れて、それがアウトプットでどういう形になるか。それがアンプの特性を示す一つの目安になることは確かだ」と彼も言う。しかし同時に「現在のような形でスルーレートを取り上げるジャーナリズムのあり方には、大きな問題がある」と言うわけだ。
 彼は、一般のユーザーを集め、方形波のかなり悪いシステムと、かなり良いシステムを比較させ、音楽を聴く上でそれがどれだけの影響を持つかを確めている。彼は言う「たとえばテープレコーダーは方形波がきわめて悪い。磁気ヘッドは本質的に位相特性が非常に悪いから、方形波はめちゃめちゃに崩れてしまう。でも、そういうテープレコーダーで、はたして音楽は音楽でなくなってしまうか。あの波形を見ると、確かにびっくりするほどの波形だが、音楽はちゃんと音楽らしく鳴っているではないか」
 もちろん彼は、エンジニアにとって方形波が非常に重要なものである事は認めている。ただ、現在のジャーナリズムの取り上げ方は本当にアンプの物理的なことを理解していないコンシューマーに対して、「方形波がこうなるということは、あたかも音楽がそういう形になるかのようなすりかえで、アピールしている」これは大変に危険なことだ、と言うのである。
 私はこの考え方を、オーディオの認識のトータルの姿として重要だと思う。これを、単なるガウ氏のデモンストレーションとして受け取ったら、それは浅い。彼自身の意図は、エンジニアリングの立場だけを、一般の人にアピールしたのでは、一般の人たちが神経質になってしまい、オーディオを楽しめなくなってしまう、という事なのだ。それは、ガウ氏が単なるエンジニアではなく、彼自身が音楽好きで、しかもオーディオマニアであるからだろう。もし単なるエンジニアだけだったら、方形波は悪くとも音楽は聴けるではないか、というような事はなかなか言えるものではないと思うのである。
 前記した、クリッピング時の波形がアンプの音質にとって重大な影響を持つというガウ氏の考え方は、マッキントッシュのアンプが、常にハイパワー化へ方向づけられていたゆえんでもあるわけだが、最近、もう一つの新しい方向が持ち出され、製品化されている。
 彼はチューブアンプとトランジスターアンプの音質の差という事に、本当に真剣に取り組んで、いろいろな研究をしてきたわけである。この結果、クリッピング波形の問題に着目した。たとえば彼が言うのは、10ワット程度の真空管アンプは、たしかに10ワット程度のパワーしか出ないからダイナミックレンジは狭い。しかし結構豊かな音で鳴る。ところが、トランジスターアンプは50ワットあっても豊かさに乏しい。その最大の理由が、クリッピング時の波形の違いであると言うわけだ。トランジスターアンプのクリップ波形はシャープで、サインウェーブが方形波のようになってしまうが、真空管アンプはクリップしても、なかなかそういう波形にはならない。現実には先ほども申し上げたように、ほとんどのアンプがひんぱんにクリップポイントにリーチしながら使われているからトランジスターアンプはひずんだ音が気になるケースが多い。
「トランジスターアンプがオーバードライブされても、ひずみとして耳に感じさせない事。これがわれわれの、一つの新しい方向なのだ」この回路が、新しいパワーアンプMC2205をはじめとする一連の製品に採用された、パワー・ガード・サーキットである。これは簡単に言うと、インプット波形とアウトプット波形を常に比較して、アウトプット波形が1%のひずみに達した時、インプットを制御する方式らしい。したがって、オーバーロードでもシャープなひずみが発生しないわけである。ダイナミックレンジはそこで狭まることはあっても、ひずみとして耳に聞こえる事はない。これは実際に聴いてみると非常に効果のあるものであった。
 だからと言って、もちろんマッキントッシュがハイパワーの方向を捨てたわけではない。と言うのも、近々、400ないし500ワット・パー・チャンネルのアンプを登場させるという。従来の200ワットクラスの大きさと目方で、それぐらいのパワーが取り出せるようになったと、ガウ氏は最新の情報として話してくれた。

私のマッキントッシュ・インプレッション
 これまでお話し申し上げたように、私はマッキントッシュを大変にすばらしいメーカーだと思っている。と言うのも、これは私のオーディオ観でもあるのだが、私のオーディオに対する喜びの中の一つの大きな要素として、メカニズムそのものに対する魅力というものを無視することができない。もちろん、オーディオの大部分は、音楽を聴くための道具であるが、音楽を趣味とすると同時にオーディオそのものを趣味としている一つの理由が、メカニズムの魅力だと思う。そして、そのメカニズムの魅力とは何かと言うと、結局、帰するところは、メカニズムを作った人間との対話なのだ。結果的にあらわれた、すばらしいメカニズムだけを評価してすませてしまうか、あるいは、作った人間がどういう人間であろうかというふうなところまで、考えをめぐらすかどうか、と言う事だと思う。そして私の場合には、メカニズムを通してその人間を想像し、いろいろと楽しんでいる。私はそういうメカニズムとの接し方をしているのである。
 したがって、そのメカニズムから、どうしてもその裏側にあるべき人間が想像できないようなものは、きわめて気味が悪く、私にとってはあまり魅力がない。これはオーディオだけではない。カメラ好きの人はカメラからそれを感じるだろうし、車好きの私は、やっぱり車からもそれを感じる。どうしても、設計者や製造者に対する興味を禁じ得ないのである。
 そういう意味からマッキントッシュにも私はアプローチをし、その人達と親しくなったわけだ。その結果、マッキントッシュの製品から受けるものが、実際に会ったマッキントッシュの人々と、非常によく合致するということを明確に感じた。
 またガウ氏の話で恐縮だが、彼がよく行くレストランにベステル・ステーキハウスというのがあって、そこでは本当にびっくりするほどの、サイズ・イレブンと称せられる物すごいサイズのローストビーフを出す。誇張でなく、その隣にスカッチの水割りグラスを置くと、その高さとローストビーフの厚さが同じなのである。ガウ氏はそれをペロッと食ってしまう。私も懸命になって食べたが、まさに獅子奮迅の格闘をして食ったあとでも、その口ーストビーフは持ってきた時と大して形が変わっていなかった。でも彼は、本当にペロッと食べてしまう。
 それから、彼は絶対に大きい車が好きである。小さい車には全く興味を示さず、仕事に使うのはキャデラックの75リムジン、キャデラックでも一番大きい車である。ガウ氏自身もこう言っている「おれは小さいだろう、だから何でもデカイのが好きなんだ」と。
 そして私には、この彼の性質と、マッキントッシュの作る強力なアンプ、常に大パワー、大パワーを目指す方針が無関係とは思えないのだ。もちろんその方針は単なる感覚的な事ではなく、理屈の裏づけがあってのことなのだが、それでも、そこからは彼のスケールの大きさがそのままにじみ出ているのだ。
 私がガウ氏に会う前に、マッキントッシュの製品から想像していたイメージが、実際のガウ氏とほとんど食い違わなかった事に、私はひそかな喜びを感じたのである。やっぱりこれほどの製品になれば、メカニズムを通しての人間との対話ということが、本当にありうるものだと、しみじみ感じた次第である。
 こう書いてくると、私はまるでマッキントッシュ・クレージーのように思われるかもしれない。だから誤解がないようにつけ加えておかなくてはならないのだが、私自身は、マッキントッシュの音そのものはマイ・サウンドとは言えないのである。私は決して、マッキントッシュのアンプを自分の音として愛用しているものではない。C−28とMC−2105を以前に買って持っているが、常用ではない。マッキントッシュ・サウンドのあの大柄な、あのたくましい感じが、私のものとは違うという感じがするのである。それでも私は、マッキントッシュの製品に最大限の評価と賛辞を惜しまない。ここがオーディオのむずかしいところなのだろう。もっともこれは必ずしもオーディオだけに限らず、たとえば車でも同じ事が言える。
 いずれにしてもマッキントッシュは、すぐれた頭脳と堅実な思想、そして彼等の豊かな人間性によって、すばらしい製品を作り上げている。もちろんそれも、ある見方を変えれば、たとえば古いと言われる一面も持っているかもしれない。マッキントッシュ社は、けっして新しいテクノロジーをどんどん取り入れて行くタイプではない。いまだにアウトプットトランスをしょったアンプは、アウト・オブ・ファッションと言われるかもしれない。しかし、それを単なる古さ、おくれた考え方とだけ見るのは大きなあやまちである。私はむしろ、そこに彼等の、文化に対するどっしりとした精神的バックボーンを見るのである。
 私は常に、明治のハイカラ思想と第二次大戦後の欧米コンプレックスの二つが、日本のいいものをかなぐり捨てた、そして、いま日本はそれによってあえいでいると実感している。優秀なものが大量に出来るようになったが、ドーンと人を感動させる最高級なものを作ることが出来ないでいる、現在の日本の精神構造の弱さ。これほど高い文化の歴史を持つ国でありながら、現代人が作り出すものの中に文化というにおいがしない。これは工業製品だけではなく、すべての分野に言える事であろう。
 しかし、われわれオーディオの好きな人間ぐらいは、そういう精神文化というものを大切にしていきたいと思う。その点においても、私はマッキントッシュ製品を、高く評価しているし、この考え方は今後も変らないものと思っている。
菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 プリメインアンプ35機種のヒアリングテストを終えた。5万円台から10万円台まで17社の製品であった。おそらくオーディオ・コンポーネントシステムの構成に、このクラスのアンプは、最も多く使われるものだろうし、メーカーにとってもユーザーにとっても、一番重要な主力製品といえるだろう。本誌がまとめた本年の1月10日現在のプリメインアンプ価格分布表を見てもその機種数は、3万円台に次いで、5、8、6万円台がそれぞれ多い。3万円台はいわゆるシスコン風のプリメインアンプとみてもよいだろうから、本格的なコンポーネントとしてのプリメインアンプは5万円台から10万円台に分布していると見てよいだろう。ごく少数、20万円台以上の製品もあるが、そのぐらいの値段になると、セパレートアンプとオーバーラップして、むしろセパレートの価格帯域と考えてよい領域に入るであろう。したがって、今回の本誌のプリメインアンプのテストは、文字通りプリメインアンプのすべてといってもよいものだし、それだけにテストに加わった一員として、その任の重さを感ぜずにはいられなかった。
 そもそも、アンプによる音質の変化というものは、その表現が大変に難しい。私の役目は、その音質の試聴感にのみ限られていて、アンプとしての操作性や、動作、総合的なデザインや完成度などといった視点からの判断は除外されているのであるが、だからといって、そうした要素を全く切り離してアンプの音だけが純粋に評価し得たとも思わない。できるだけ、そうするように努力はしたが、人間の総合感覚として、どうしても視覚的、触覚的要素を完全に切り離すことは困難であるし、また、そうすることは不自然である。ブラインド・テストという方法は、目に見える部分を無視するか、共通・同一の条件と仮定してなら意味があっても、きわめて非現実的であって、特に私個人のオーディオ感からは全く無意味である。これについて詳しく書いているスペースはないが、要は、人間を基本に考えた、生きた評価が重要で、それ以外の定量、定性的評価は測定に頼る他はない。そして、その測定の満たせない部分を、人間的に判断する意味があるからこそ、こうしたテストがおこなわれるものだと思うのである。
そんなわけで、私のテスト記は、決して機械的正確さはないことを、はっきりお断りしておきたいのである。したがって、少々極端な表現が出て支障があるかもしれないが、それは私の性質であり、癖であるとお考え願えれば幸せである。思ったことを率直に述べるのが、私の性分なので、何とぞ御寛容のほどをお願いする次第である。この種のテスト記は、筆者が、いかなる人間であるかという理解が前提になってこそ、意味があると私は思っている。狭くは、その音と音楽への思考や思想であろうけれど、本当は、人となりすべてが大きく影響するはずだ。また、それが重要だからこそ、本誌でも一人のテスターではなく、数人のテスターにやらせているだと思う。だから、テスターによって評価が異なることは至極当然であろう。ただし、大筋において、評価が一致することも当然であろう。このことに感心をもたれ、各テスターの評価を、読者諸兄なりに総合して判断されれば、参考になるではないかと思う。よくAという人とBという人の評価が全く違うから、この種のテストは信用できない、でたらめだという批判を聞くが、それはあまりにも単純だし、音や音楽と人間との関係を無視しすぎる考えだと思う。そういう考え方では、オーディオのすべてが不信の対象になってしまうだろう。本誌の愛読者ならば、そんな考えをもっておられるはずはないとは思うが、どうしても、今一度お断りしておきたい問題なのである。
 私のテストは、瀬川冬樹氏と同時におこなわれた。二人で、同時にレコードを機器、一台一台、その場で試聴記を書いて編集部に渡すという方法であった。このほうが印象が新鮮だし、あとで現行をまとめるより、率直でいろいろな思惑に悩まされることがなく、私には好ましい方法だと考えたからだ。それも、先に述べたような考えが私にはあるからであって、もっと、総合的に、それぞれのアンプに対する評価を述べるとなったら、とてもこの方法では無理であったと思われる。他の専門家による測定その他の客観的な評価と合わせて、一つの完成した評価が、それそれの読者のイメージとして把んでいただけるのではないだろう。
 次に、35機種のプリメインアンプを試聴した全体的な印象について、個々の試聴記で述べられなかったこと幾つかを、ここに記すことにしよう。
 まず強く印象に残ったことは、アンプがよくなったということである。データを見てもわかるように、諸歪率は、ほとんどのアンプが、コンマ・ゼロ何%以下という値であり、SN比も最低70dBを越えている。こうしたデータと音質の関係は、ほとんど耳で聴いて判断は不可能であるから、これをもって、アンプがよくなったと断じるのは早計かもしれないが、計測し得るデータはよいほどよいというのが私の持論だし、音質や音色の魅力は、その上でのことだと思っている。事実、ほとんどテータに変わりのない二つのアンプが、音では全く異なった印象をもつものが珍しくないのであった。アンプの音質の差というものは、たとえていうなら、人間の体質のようなもので、スピーカーやカートリッジが、人間の顔を中心とした、体形などの造形的違いとすれば、アンプのほうは、肌のキメの違い、肉のしまり具合の違い、体温の違いとでもいった印象の差として現われる場合が多い。したがって、こうした細かい点に注意しなければ、どんなアンプでも、美人ぞろいであって、プログラムソースや、スピーカーの造形を変えてしまうようなひどいものは、今や見当らなくなったのである。そのわかり、ひと度、そうした質に感じる感性を養った人にとっては、きわめて重要な本質的な品位と性格を決定するのがアンプの音だといってもよかろう。データが一様に向上した現在も、こうした質的な違いは、すべてのアンプに残されていたのである。今や、回路図とデータを見ても、そのアンプを知ることはできない。アンプに関するそれらの資料は、見合いの相手に関する履歴書と、慰藉の診断書みたいなものだ。高調波歪0・01%とか、周波数帯域DC〜500kHzなどというデータは、見合い写真に、胃袋のレントゲン写真を見せられたようなものだ。会ってみなければわからない。聴いてみなければわからないのである。いいアンプづくりのノウハウは「優れた回路設計と同様に、部品の選び方や、シャーシを含めたコンストラクションなどの現実の工法にウェイトがある」と語った、あるアメリカの私の友人の言葉が思い出される。設計だけでは、いいアンプは出来ないというのは当り前のようであるが、従来のアンプ製造は、どちらかといえば設計に80%以上のウェイトがおかれていたのではあるまいか。建築設計というものは、工事の現場からのフィードバックが重要なプログラムであるらしい。アンプづくりと家づくりはちょうど逆の性格をもっているのではないか。設計図なしで、立派な家を建てたのが昔の大工である。現場を知らずに精密な設計図を書くのが今の建築師である。アンプでは、今までは設計図重視であった。そして、その結果の確認は、測定データであって音ではなかった。今、現場の工事が、唯一の目的である音に大きく影響を与えることが認識されはじめたのであろう。これだけ多くの大同小異のデータをもったアンプが、それぞれ異なったニュアンスで音楽を鳴らすのを聴くにつけ、アンプがよくなったという実感とともに、面白くなった、難しくなったという感慨を持ったのである。
 もうひとつ、書き落としてならないことは、新しいものが必ずしも古いものより優れていなかったということである。もちろん、なんらかの点で、より優れたものが出来たからこそ、新シリーズとして誕生するのであろうが、実際に音楽を聴いてみて、明らかに旧シリーズのほうが勝っていたと思われるものが少なくなかったのである。データ上では、新しいものは必ず改良されているのを見るとき、何か見落としてはならない大切な問題の存在を感じるのである。
 音というものは、本当に難しい。しかし、味なものである。エレクトロニクスの粋であるアンプが、こんなに音のニュアンスに噛み合ってくる事実を知るとき、電子の存在に、一段と親しみを感じるのを覚えた次第である。
菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 全35機種中、推選機種をあげるとなると難しい。線の引き方で、どうにでもなってしまうからだ。価格とのかね合いで、徹底的に主観的判断をもって音質の好みをとり、客観的に、デザインを含めた商品としての完成度とバランスさせて選んだのが13機種である。視点を変えれば20機種以上を選び出してもおかしくないし、極端に言えば一機種にしぼることもできるというのが、この種の選考である。
 以下簡単に、13機種について推選理由を述べておくことにする。
 ソニーTA3650は、きわめて手馴れたアンプづくりのキャリアが生きていて使い勝手のいいパネルレイアウトと、万人向きのデザイン、音のよさはこのクラス随一といってよいし各種スペックも控えめながら信頼性が高い。
 サンスイAU607は、同社のアンプとしては飛躍的な佳作で、DCアンプ構成をとり、操作類は簡略化されながら、よく検討された機能とスムーズな動作で安心感がある。元祖のブラックパネルは現代的で緻密な感覚にあふれたデザインの高品質なアンプである。
 パイオニアSA8900IIは、IIになってやや音が無性格になったとはいえ、試聴記でも書いたようにあらゆるソースをこなすオールマイティと、よく練られた造形とセンスは第一級の製品だと思う。
 ビクターJA−S75は、大変オーソドックスで格調の高い音質、ややアンバランスなところはあるが嫌味のないデザインと、がっしり組まれた電源の質の高さなど、プリメインの模範的製品という感じである。
 サンスイAU707は、AU607をさらに充実させたもので、ここまでくると、あとはファンクションの豊富さと質を落とさずパワーアップという発展を残すのみ。85W×2というパワーと、この音質の両立は文句なく推選に値する。
 ソニーTA5650はTA3650のパワーアンプ・バージョンと考えるのは間違い。機能をより豊富にして質を上げたもので、私にはDCアンプの同社新製品をしのぐ音の品位が感じられた。
 トリオKA7700Dは、現在のアンプとしての特性のあらゆる点を盛りこんだ代表的なモダンアンプとでもいえるもので、DCアンプ構成、3電源方式の採用など、豊富なフィーチュアを持ち、それが単なるフィーチュアに止まらず、実質的に中味の濃い製品まで練られた徳用品である。高級プリメインアンプとして充分な質とパワーを備えた信頼度の高い製品だ。
 オンキョー・インテグラA722nIIは、同社としては新しい製品ではないが、充実した内容と、オンキョーらしさをもった佳作である。新シリーズより安心して音楽が楽しめると思う。新しいものにそれなりの良さもあるが、このほうが音の品位、堅実味で好感が持てる。
 ラックスL309Vも同社の旧シリーズのイメージ・デザインだが、いかにもラックスらしいアピアランスと音の品のよさが魅力だ。マニアックな製品をつくるラックスの体質が感じられる趣味性を評価したい。
 トリオKA9300は、プリメインアンプとして同社の最高級に位置するのみならず、一般的にいって、代表的プリメインアンプとするに足る。音質については試聴記を参照していただきたいが、質に独特な弾力性のあるのが好みの分れるところだろう。力強く、よく弾む音と、トリオの経験が集積されたアンプ構成・レイアウトは、さすがに完成度が高い。
 ヤマハCA2000は一口にいって最高の機能と質をかねそなえた一級品だ。使ってみれば、その感触のデリカシーに高級品の味わいを感じであろう。
 パイオニアSA9900マランツ1250は20万円近いプリメインの究極的な製品で、パイオニアのヴァーサタイルな信頼性、マランツの個性と風格は、互いに異質ながら、このクラスを求める人に充分な満足感を与えるはずである。
 以上の他、上げればキリがないが、詳しくは試聴記から判断していただければ幸いである。

マランツ Model 1250

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菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 確かな手応えと輝かしい魅力をもった音のアンプである。たくましい躍動感のあるベースの弾力的なはずみのある音はリズムに血が通う。華麗で艶っぽい高域は、プログラムソースによっては少々個性が強過ぎる嫌いはあるが、中低音が大変に品位が高いので、破綻としては感じられない。なにを聴いても音楽がリッチに響き、いじましさや、ドライな寒々しさは全くない音だ。空間のプレゼンスも立体的な奥行きがあって、実在感の豊かなしまった直接音を華麗に包み込み、決して野放図な空虚感にはならない。声の艶や湿感は色あせず、生き生きとして、みずみずしい。弦楽器の高域が一番このアンプに対する好みの分れるところだろうが、強調感はあるが、ゆとりのないヒステリックでドライな響きとはちがう。艶であり、輝きである。かなり明確な個性をもったアンプだが、音楽的な情緒を絶対に失わないので大きな魅力となる。昔ながらイメージの残るパネルフェイスもいい。

パイオニア SA-9900

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菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 パイオニアのアンプは、どれを聴いても快い質感を持っている。これを言葉で表現するにはとても与えられた次数では無理に思えるのだが、とにかく感触がいい音なのだ。このアンプも、同じように、そうしたタッチと、ウェル・バランスドな、大変まとまりのいい音であった。なにを聴いても、実によく音楽の特質を生かし、魅力をちゃんと再現するのである。コンストラクションもパネルデザインも、操作性も、この音と同じように、本当によく出来ているアンプだ。スピーカーを選ぶ傾向も他のアンプと比較して神経質ではなく、スペンドールもJBLも、その特質をよく生かして鳴らした。とびきり高級な品位と風格を備えた次元には至らないと想われるが、これだけ妥当な再生音を聴かせてくれるアンプは、ざらにはない。脱帽する。キメの細かさが立体的な力強さと相まって、なんとも聴き心地のいい音のアンプであった。

ソニー TA-F7B

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菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 力強い活気のある音だが、どうも電気臭い匂いが鼻についてくる。マルチトラックのミクシング・ダウンを最高のレコーディングシステムと考えている人達や、そのサウンドに何の疑問を持たずにすむ感性には大層効果的に響くアンプだろう。率直にいって、洗練された美しい音を素材とした高次元の音楽の再生には、このアンプの品位では追いつかない。おそろしいもので、声や楽器の表情が影響をうけて、演奏の品が下って聴こえてしまうのである。優れた特性をもつアンプであることは認められるのだが、ほんのちょっとしたこと、しかし、一番重要なことで、アンプの音が決定的になる。試聴に使った2台のスピーカーでは、スペンドールが全く真価が殺される。JBLのほうは、それなりに、効果的には鳴る。JBLが生きるわけでは決してないが、このスピーカーの物理特性の余裕が、こうしたエフェクティヴなサウンドにも効果を発揮するということだ。

ラックス 5L15

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菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 明るく抜けきった、きわめてワイドレンジの広い優秀な特性を想わせるアンプである。それでいて、弾力性のある質感と、軽くふわっと湧き上るような空間の再現のデリカシーも得られる品位の高さである。しかし、高音域のややきついヒステリックな刺激性と弱々しさが、プログラムソースによっては気になるし、スピーカーをかなり選ぶ傾向があるようにも感じられる。試聴ではスペンドールがベターであって、JBLはバランスをくずす。今までのラックスのサウンドとは画然とした違いのあるもので、品位の高さは同次元に近いが、まるでセンスの違う音という印象だ。フィッシャー=ディスカウの声には38FD/IIとはちがうけれど、品位の高さでは迫るものがあったが、弦合奏になると、高弦の破綻が現われる。ただし、これはレコーディングのアラかもしれず、38FD/IIがこれをまくこなしてしまうと判断すべきなのか? 難しいところだ。

ラックス SQ38FD/II

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菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 このアンプの音と俗なアンプの音の肌ざわりの違いは、まるでコーデュロイとヴェルヴェットのそれのようだ。フィッシャー=ディスカウの声の滑らかな艶と柔らかいニュアンスの中に、ぐっと力の入った筋肉質な喉のヴィヴラートのリアリティがこれほど魅力的に再現されたアンプは他になかったといってよい。弦楽器もしなやかで、まるで音の出方がちがうといった印象。あたかもスピーカーが変ったような、音の根本的なクォリティが上等である。ジャズやポピュラーにもその通りの品位のよさに変わりはないが、音楽の性格との違和感がある。全体にエネルギッシュなインパクトがなくなってしまう感じである。こう書いてくるとクラシック向きというようにとられる危険性があるが、たしかに結果的にそうなるのかしれない。このアンプの30Wというパワーからして、また、練りに練られた音の質感からして、デリカシーの再現が生命となるような音楽に向いていることは確かだ。

ローテル RA-1412

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菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 まず、大型のアメリカ人好みの、ものものしいパネルフェイスに度肝を抜かれる。決して品のいいルックスではないが、少なくとも、国産アンプのほとんどがそうであるような画一性からは独り立ちした個性をもっているし、仕事として力の入ったものだ。ところで音だが、これがまったくルックスとは違って、耳触りのよいキメの細かいスムーズな高音のラインを響かせながら、しっかりと充実した中低域にサポートされている立派なもので、なにをかけてもちゃんとプログラムソースの特徴を再現する。フィッシャー=ディスカウの声の魅力も見事だし、対照的な大オーケストラのfffパートで、バランス、音色分析ともに乱れがない。ピアノの質感も、ややタッチが軽くなるが、明晰で音色の表現もまずまずであった。もう一つ、締って充実した音の品位の高さがあれば特級品だ。各種スイッチ類もノイズを出さないし、残留ノイズも少ない優秀なアンプである。

ヤマハ CA-2000

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菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 このアンプの音は1000IIIとは大分素性がちがう。パワーでは20W大きいのだが、音の勢いがまるでちがう。音に生命感があって、音楽が生きてくるのである。大変品のよい、洗練された質感はヤマハのアンプであることがわかるが、その品のよさだけでなく、エネルギッシュな充実感のあるプログラムソースでも、これなら不満がなく火花を散らすようなインパクトを持って鳴り切るのである。弦楽四重奏などを聴くと、端正な瑞々しさが生かされ美しいし、オーケストラでは、スケール感の大きい、しかし決して粗野にならない節度を持ったソノリティが演奏の質の高さをよく生かした。ピアノの再現も明るく透徹で、もう一つこくのある、油ののった艶のある音色の輝きが出きらない嫌いはあったが、実感溢れる生き生きしたものだった。美しい音と力がバランスしたこのアンプはMCインプット、Aクラス動作、抜群のSN比と、高級アンプの名に恥じない。

トリオ KA-9300

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菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 最高級プリメインアンプにランクされる製品としての実力は備えているアンプだと思う。音の品位は高いし、なにをかけてもその音楽的特質をよく再現する。フィッシャー=ディスカウの声はソフトで、たっぷりと響き、豊かだし、クヮルテットも、高域にやや味の素の利き過ぎる感じはあるが雰囲気はよく出る。オーケストラの強奏への安定性はよく堂々としたソノリティと、明解な音色の分離で混濁することはない。コーラスも透徹なさわやかさだ。ピアノは少々モノトーンに感じられ、もう一つデリカシーが足りないが、立体的な粒立ちがよい。ベースもよく弾む。ただ、全体に妙な表現で恐縮だが、ゴム質の質感があるのが聴けば聴くほど気になってくる。これば決して嫌な感触ではないし、人によっては快かろう。しかし、この粘りつくようなセクシータッチは、湿って重苦しく感じられてくる。もう一つ明快に晴れ上ってほしいものだと思う。

ダイヤトーン DA-U850

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菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 このアンプの音は充実している。細かいところを問題にする前に、この豊かで輝かしい音の質は高く評価したい。ところで、問題は弦楽器の高い音域での一種ヒステリックなキャラクターで、これは、金管や打楽器系の再現では気にならないが、ヴァイオリンでは明らかに癖として出てくる。弦楽四重奏を聴いて、その点を強く感じた。一つ一つの音の彫琢の深さ、音の持っている弾力性のある実感は見事なものだけに、ここがスムーズに出てくれば高級アンプとしても最高の部類に入れられると思う。フィッシャー=ディスカウの越えなどに聴かれる美しく気品にみちた再現、ピアノの芯ががっちりしたタッチ感と、その輝かしい音色の再生は立派であった。ベースもよく弾むし、力感も十分で、定位や空間の再現も申し分ないものだ。残留ノイズは、現在の高級アンプとしてもう一息といったところだろう。実力のあるプリメインアンプだと思う。

サンスイ AU-10000

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菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 艶と油気の多い充実したサウンドは、ジャズやポップスには大変魅力的な再生をしてくれる。音のクォリティは高く、ソリッドな密度の高い手応えのあるものだ。アン・バートンは、このアンプが今まで聴いた中ではベストといってよいほど、声の魅力が生き生きとしてくるし、「サイド・バイ・サイド」のピアノの音も大変満足した。演奏の所作とでもいえる、ちょっとしたニュアンスがアンプによってずい分変るのだが、このアンプで聴くといかにも人間味豊かな八城一夫らしいタッチの妙が生かされる。反面、フィッシャー=ディスカウの声は少々粘り、エッシェンバッハのピアノの中低音も不明瞭な感じになる。空間のレゾナンスガ中低域で強調される傾向だ。JBLを鳴らすと、実に巧みにコントロールがきいて中高域がスムーズである。弦楽四重奏には軽妙な味や品のいいデリカシーの再現が少々不満であった。トーン・ディフィートでは大きく音の鮮度が変るアンプだ。

ラックス L-309V

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菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 楽器や演奏の持つ美しい質感をよく再現するアンプで、ハイセンスの音の品位と風格を持っている。オーケストラの持つヴェルヴェットのようなクォリティ・トーンをよく再現するし、ピアノ一音一音のデリカシー、輝かしい音色を生き生きと再現する。こうした微妙な音色感が得られるか得られないかが、10万円を越えるアンプの評価の分れ道だと思うのだが、このアンプは、はっきりその水準を越えている。もちろん5〜6万円クラスのアンプにもそういうものがあるのだが、10万円以上のアンプでも、その再現をなし得ないものが多いのだ。ただ、文句をいいたくなるのは、ノイズレベルが最新最高の水準に至っていないことで、残留ノイズも少なくないし、ボリュウムを上げた時のノイズの増加も、ゲインに比して多過ぎる。最新の製品ではないのである程度はやむを得ないが少々気になる。見た目の風格も、さすがにベテランの落着きと重厚さで品がいい。

オーレックス SB-820

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菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 従来のオーレックスのアンプからは大きな躍進が感じられる。しかし、この価格の製品として歴戦錬磨の強豪の中で客観的に評価すると、中程度の出来といわざるを得ない。どんな音楽をかけても破綻なく、大きな違和感や、バランスをくずすことはない。しかし、よく聴きこむと、ずいぶん細かいニュアンスのとりこぼしがあることに気がつくのである。大きくは把んでいるが、魅力となる微妙なニュアンスまでは再現しきれないのだ。したがって、嫌な響きも出ない。ピアノの音色など、きわめてしっかりしたタッチで聴けるが、複雑な波形がどこかへ消え、まるでうぶ毛のないそしてドライな音になる。レコード自体限界に近い大編成のオーケストラのトゥッティなどは、よくコントロールされ、うるさい響きとならないので、かえってよく聴こえるようだ。デザイン意識過多で、パネルは、下絵のデッサンを書き過ぎたような必然性のないこり過ぎだ。

マランツ Model 1150MKII

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菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 しっかりした構築のくずれない骨太の音で、高域には輝きと肉がのっていて、華麗だがヒステリックにはならない。柔らかいニュアンス、繊細な品位の高さを要求されるクラシックの室内楽などより、実感溢れた人間表現を積極的に訴えるジャズなどに、この充実したサウンドはよりぴたりとくる。たくましく華麗な音というのが、このアンプの印象だ。こういう音の質感は、好みもあろうが、音楽の大きな表現力を生き生きと伝えてくれるので私は好きである。明らかに水彩ではなく、油のタッチに近い。パネルレイアウトはかなり個性的で中域のトーンコントロールもできるトリプル・トーンコントローラーを表に出したイメージからしても、能動的にマイ・サウンドを楽しもうという人に向くアンプだという感じがする。これで弦楽器のしっとりした柔軟な味わいや、コーラスでさわやかな透明感がよく再現されれば文句はないが、そういう点では中の出来。

ヤマハ CA-1000III

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菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 このアンプの音質の印象を書くのは難しい。どこといって悪いところがないと同時に、常に欲求不満を覚えるなにかがある。というより、なにかがなくて不満なのかもしれない。美しい音だし、解像力や立上りにも不満はない。つまり、試聴の際にはとっかかりとするファクターは全部合格してしまうのに、どうしてもどこかで音楽からはぐれてしまう冷たさ、質感の違和感がつきまとうのである。強いて私流に表現すると、音にエロティシズムがない。音に把まえどころのない、生命感の不足、とでもいおうか。高音域の細身の肉薄のキャラクターは弦楽器で明瞭に現われる。淡彩という感じが、CA1000以来ずっと続いていたが、たしかにMKIIIになって、弱々しいところはなくなった。しかし、音の平板な弾みのないところが、もう一つ物足りない。それ以外は客観的にいってアンプとして完璧に近い。機能、SN比、A級動作とMCヘッドアンプ、万事水準を越える性能だ。

オンキョー Integra A-722nII

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菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 A5やA7の新シリーズのグラマラスな中低音、少々野放図に感じられる音より、このアンプの音は品位では勝っている。やや細身の音と感じられる部分もあるし、中音の肉付きがもう少したっぷりしていいように感じるが、このぐらいコントロールされていたほうが、端正な音楽のバランスが得られる。帯域の広さとしてはむろん、なんの不満があるわけではなく、むしろA5、A7のほうがコントロール不足のように思えるのである。弦楽四重奏に聴かれる品のよいアンサンブルのまとまりと対照的なジャズやロックの迫力と締った音の充実感は、プリメインアンプとして第一級の実力を認めてもよいだろう。不満としては、もう少々潤沢な柔らかい艶の肌ざわりを持った弦の内声部とピアノのフェルトハンマーによる打弦感がリアルに出るといいと思われるが、このアンプについては、むしろこの気位の高い端然とした響きの姿を高く評価したと思う。

トリオ KA-7700D

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菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 きわめてワイドレンジを感じさせる音でありながら、音楽の表現に重要な中域の充実した聴きごたえのある音。高域に独特の色彩感と触感があってリアリティを効果づけているが、プログラムソースによっては、それが気になることがある。特に弦楽器のハーモニックが味つけ過多の印象でもう少し素直に、しなやかに響くべきではないかと思う。反面、こうした特質は、管やピアノにはプラスと働くようで、艶と輝きのある音色効果は演奏表現を魅力あるもにする。余裕のあるパワーはさすがに力強く、数Wの範囲で鳴っている時でも音が締って力強い。どちらかというとソリッドな音で、空間を漂う繊細なニュアンスの再現より、実在感のある楽器の直接音の再現に力を発揮するアンプのようである。トーン回路による音の変化は少ないほうだが、やや甘く、音がひっこむ感じになる。SN比は大変よく、特性の優秀な高性能アンプの名に恥じないものだ。

ソニー TA-5650

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菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 価格に比してパワーは小さいが、その分中味の充実さを買ってもらおうという意図は充分達成されたアンプだと思う。実際のパワー以上の余裕ある音質感は、音楽を豊かに再生し、神経質な線の細さを感じさせない。音の立体感があって弾力性に富み、血の通った、たくましさと暖かさをもっている。空間の再現がよく、ステレオフォニックな音場がふわっと両スピーカーの間にたちこめる様は見事である。こうした豊潤な音は、私が従来のソニーのアンプに持っていた印象とは別物であり、最近の同社のスピーカーの示した変身ぶりとも相通じるものがある。無機的な響きがどうしても気になっていたソニーのオーディオ機器が、これほど人間的な値の通いを感じさせるようになったのは同慶にたえない。音楽のように人間表現そのものが生命といってよいものにあっては、こうした血の通いや心の躍動をニュアンス豊かに再現してくれるものでなければなるまい。

ダイヤトーン DA-U750

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菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 音の解像力もいいし、張りのある充実した響きは特性のいいアンプであることがわかる。力の入ったアンプだが細かく聴くと、いくつか気になる点がある。まず、高音域が、線が細く、やや耳を刺す。鉛筆にたとえれば、H、2Hといったタッチである。本当は、HBのタッチがほしいのだが。それでいて、中音から低音にかけては、HBからBの方向の感触なのだ。低音は大変豊かで、やや鈍重と評したくなるような重苦しさを備えているが、これは組み合わせるスピーカーと部屋の問題で変わってもくるだろう。これで、高域がのびきっている優秀な特性に、しなやかな肉ののったものになればかなりよい。弦楽器の音が硬く細い線になるのが惜しまれるのである。これは外観上のイメージとも共通するものでしっかりときれいに作られていながら、余裕のない硬さを感じさせるのである。明解さは、この高域によるところが大かもしれぬが、どうしても耳障りなキャラクターが残る。

サンスイ AU-707

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菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 AU607のところで、空気感の再現のよさを指摘したと同時に、音が空芯だという表現を使った。この707では、この音の感触がぐっと密度が高くなり、いうならば、空気圧が上ったという充実感がある。それだけに607ほど、他のアンプと異った特徴というものは感じられなくなったけれど、音のよさ、品位は明らかに一枚も二枚も上手である。フィッシャー=ディスカウの声の気品と重厚、柔軟な風格はちゃんと再現するし、弦楽四重奏の美しさは特筆してもよい。高弦のフォルテで破綻がなく、それでいて弦の色彩感は色あせることがない。オーケストラのfffも音くずれがないし、弦管打が遊離せず、がっしりとハーモニーを聴かせる。相変らずの黒パネルは、より洗練されて、昇華され、品のいいメカニックなイメージで好ましい。立体感のあるアンプの姿に共通した、充実した音の優れたアンプである。欲ばれば、もう一つさわやかなプレゼンスがほしい。

オプトニカ SM-3510

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菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 やる気十分の力作であることは一目でわかるし、コントロールした限りでは、技術的に攻め込んでいることもよくわかる。残留ノイズの少なさ、各種スイッチ類のショックもなく、トーン回路のオン・オフ時の音の変化もほとんどない。3トランスフォーマー・トロイダルと銘打つように、左右パワー電源、プリ電源を独立させるなど、大変な努力の跡はうかがえる。しかし、音質は、高域に浅薄な品の悪さがあってけばけばしい。パネルデザインのイメージもきらびやかなもので、心なしか、音のイメージと共通したものを感じさせる。これが、このメーカーの持つ個性的感性なのかしれないが、そうだとしたら、音楽の魅力の把み方の次元が少々低すぎはしないか。プリメインアンプとしては、かなりの高級品にランクされる製品だけに、もっと格調ある音の再現ができなければ不満である。表面的な繊細華麗さに止っている音であった。

デンオン PMA-701

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菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 このアンプで一連の試聴レコードをかけると、不思議なキャラクターが加わる。ウッドベースは、エレキベースの表情を持ち始めるし、ピアノの音の抜けも悪く、冴えがない。フィッシャー=ディスカウの声は、気品が一つ落ちるし、アン・バートンの声は、娼婦的になるのである。オーケストラのfffは、コントロールを失うようだ。全体にさわやかさや、雰囲気が再現しきれないようだ。悪いことばかり並べたようだが、これを、そのまま極端に受け取られるとあまりこのアンプがかわいそうなので弁護すると、音の肌ざわりは、とげとげしたところがなくて、なめらかなほうだし、曇りの微妙なニュアンスを問題にしなければ、いわゆる歪み感はない。だから、このアンプだけを聴いていれば、そうしたことに気がつかない人もいるだろう。しかし、全帯域のエネルギー・スペクトラムが、どこか平均していないようなノイズのキャラクターも感じられるのである。

テクニクス SU-8080 (80A)

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菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 高い技術レベルに支えられたアンプだということが聴いてもよくわかる。プリメインアンプとしてユニークな構成で、インプットのイコライザーからダイレクトにパワーに入れるトーンディフィートなどの発想は新しい。音は、いかにも端正で立派である。品位が高く、色づけのない素直なもので好感がもてるけれど、豊潤なソノリティを出し切れないのが、もう一つ、このアンプの魅力に欠けるところだと感じられた。クヮルテート・イタリアーノのベートーヴェンの初期の弦楽四重奏など、フィリップスの華麗な音色をコントロールして格調の高い響きで聴かせてくれるが、オーケストラの中低域のニュアンスや、ピアノの巻線領域の豊かさなどの抑揚に、もう一つ血が通わない再生音になる。自分の作ったレコードにしか自信を持っていえないが、試聴に使った一枚では、明らかに意図したリズムの豊かな躍動に不足を感じた。客観的に素晴らしいアンプだと思うのだが......。

ビクター JA-S75

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菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 はからずも? パイオニアの8900IIと同価格、同データのアンプが、このJA−S75である。音質は、このアンプのほうがオーソドックスだという気がするが、裏返せばパイオニアのほうが、あらゆるソースのアラをかくして、音楽をそれらしく効果的に鳴らす魔力では勝っている。音のクォリティは、こちらのほうが落着いていて、長い間に飽きはこないと思えるのであるが、弦楽四重奏やオーケストラのトゥッティでの高弦のフォルテにおいての乱れが、やや耳を刺す。これは、レコードやカートリッジの段階での問題かもしれないのだが、アンプによっては、その乱れを巧みに馴らして耳障りな響きをおさえこむものがあるので、聴感上、実態の把握は難しい。残留ノイズは抜群に低く、多分ツインボリュウムによるのだろうが、しぼりこんだ時のノイズは高能率のスピーカーでも皆無に近い。トーン回路挿入時の音色の変化は少なく、総合的に優秀なアンプであった。

パイオニア SA-8900II

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菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 パイオニアのアンプはどれを聴いても、大変にまとまりのいい心憎い巧みさを感じる。たとえていうなら、あたかも英デッカのレコードがヴァイオリンの高音に独特のシルキーハイとでもいいたい巧妙な音色コントロールのノウハウを会得しているのに似ている。一般的に、音響機器の一つの苦手な音色は、高い弦楽器のフォルテにあって、生に聴かれる柔らかさ、瑞々しい艶、しなやかな肉付きといった特色が消えて、キンキン、ピーピーといった音になりやすいことは、オーディオにこっている人なら体験ずみだと思える。これを巧みにコントロールすると、こちらの実は葉ごまかされる。というより快く聴ける。この辺のノウハウがパイオニアのアンプにはあるに違いないと感じられるような音なのだ。80Wという余裕のあるパワーと快い美音のコンビネーションが、実用価値の高いアンプを作りあげている。トーン回路を入れると少し音にくもりが出るが惜しいが、いいアンプだ。

オットー DCA-1201

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菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 インテグラルアンプとして真面目に作られたアンプだということは外観からもよくわかる。しかし、音は、レコードに入っているはずの最も大切な微妙なニュアンスがよく再現されないので興をそがれる。ピアノの音色の重要な支配者といえる高調波成分がよく再現されないため、音が坊主で表情が出ないのだ。もっと複雑な音色をもった大オーケストラのトゥッティでは、むしろよくコントロールされた音くずれの少なさが表へ出て、そうした音色のデリカシーの不満が感じられなかった。これは、こちらの耳の識別能力の問題だと思う。単純なソロ楽器での音色の特色のほうが、デリカシーはよくわかるものだからである。このアンプの音は、よくいえば端正で、よくコントロールされたもの、逆にいうと、音の魅力は、ニュアンスの再現までがコントロールされて楽しめないということになるだろう。もう一次元上の音の感触、色彩感などの味の問題が残る。

オンキョー Integra A-7

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菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 フィッシャー=ディスカウの声の品位、自然さがよく出るし、ピアノ伴奏のこまかいニュアンス再現もよい。ただ間接音の響きが、やや大ざっぱに強調される傾向があり、少々スケールが大きくなりすぎる嫌いがある。ライヴネスがよく出るのはいいのだが、極端にいうと鳴り過ぎるという感じがあって、もう少し節度があるべきだ。中低域がグラマラスで高域が派手に響くアンプだから、概して品位の高い音楽や演奏には耳につく色づけが感じられるようだ。よく弾むベース、透明なクリスタルを思わせるようなピアノ、腹にこたえるバスドラムの響きなど、ジャズやロックには、大変に効果的であるし、力強く聴きごたえがある。これで、弦楽四重奏やオーケストラの落着いたソノリティと重厚な雰囲気を、より克明に再現し得たらよいのだが、やや力不足のようだ。もう一つ音の締り、ダンピングがきいて、音に芯ができるとよい。

ヤマハ CA-R1

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菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 きれいな音のアンプである。キメが細かく、帯域が広く、繊細感が魅力。同時に、結構力強さもあって、現代的な音というイメージである。しかし、どうも冷たいという印象が常につきまとう。今や、歪感とか周波数特性などのキャラクターが音から感じられるというアンプの時代ではないし、どのアンプも高度な物理特性を持っていながら、一つ一つの音の違いが依然として存在するのだから不思議といえば不思議である。私なりに感じる音のちがいは、質感という表現があてはまろうかと思うが、このアンプの質感にはエロティシズムがない。日本流にいえば色気というべきかもしれないが、西欧の音楽、楽器の魅力に不可欠な、もっと肉筆の弾力性に富んだ音の分厚さが再現されてほしいのでる。油ののったベースの音が、やや乾いて聴こえるし、弦楽器の高域も美しいには美しいが、血が通わない。MC型がダイレクトに使えるヘッドアンプ内蔵はあがたい。

サンスイ AU-607

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菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 このアンプの音質は、音が空間に浮遊する様を感じさせる点では出色のものだ。空間感とか、プレゼンスとかいう表現に近いことになるのだが、それら音場を連想させるイメージに加えて、ここで感じられるのは、音像(音源でもよい)そのものの実在感に空芯のイメージがあるとでもいいたいのである。これは、決して数多くのアンプが可能にしてくれるものではないし、スピーカーでも、このイメージが出るものとそうではないものとがあると私は思っている。概して、この感覚が得られるオーディオ・コンポーネントは、かなり練りに練られた高級品にしか見当らないものなのだ。BCIIが、空気を一杯にはらんで鳴り響いているような素晴らしいソノリティが楽しめたし、4343による、ピアノやベース、そして、ドラムスの実感も相当なものであったが、欲をいえば、この空芯感と、さらに充実したソリッドな実感が調和すれば、理想的といえる。一線を超えたアンプだ。

ソニー TA-3650

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菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 このアンプの音はいい。さわやかな高音域が、プレゼンスのよい、のびのびとした音場を再現してくれる。中低域も充実していて聴きごたえがある。スペンドールBCIIの個性的魅力もよく生かし、艶ののった瑞々しい音が生きる。きちんとした音像の輪郭、大オーケストラのfffにおける乱れのない迫力、ピアニシモにおける空間感も見事であった。どんなアンプでも、音質のコントロールは作為と偶然性が相半ばするものだと思うが、このアンプのコントロールは、スピーカーを鳴らして音楽を生き生きと聴くという実体に根ざした当を得たものだと思う。目的のために技術が駆使されるべきオーディオの本質を心得て作られたアンプだという印象を強くした。フィッシャー=ディスカウの声の柔らかさと厚味、アン・バートンの舌打ちの自然な水気? なえなかリアリティがある。ピシッとガラスがわれるようなピアノのハーモニクスも手にとるように聴こえる。

パイオニア SA-8800II

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菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 よく出来すぎているアンプというと最高の賛辞に聴こえるだろう。実際、商品として、価格のバランスで見れば、最高の賛辞を呈してもよいと思うのだ、このアンプには......。パイオニアのアンプというのは、この点で世界一といっても過言ではないだろう。本当はこれで終り、これ以上は書く必要はないのだろうが、音や音楽というものは面白いもので、実は、ここから先が楽しいところであり苦しいところなのではないか。このアンプは、スペンドールを鳴らしても、JBLを鳴らしても、不思議に同じような音と響きで鳴らしてしまう。それは決して嫌な音でも響きでもない。いや、むしろ、快い音といえるだろう。しかし、ある種の組合せで、この二つのスピーカーが最高に魅力をたたえて鳴るような鳴り方とはちがうのである。どこも欠点はない。また、どこといってふるいつきたくなるほどはの魅力もない。このクラスの商品としてはやはり最高の商品なのだろうが......。

Lo-D HA-5300

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菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 日立のお家芸、ダイナハーモニーのアンプであるが、その割には、この価格で60W×2というスペックは、びっくり仰天するほどのもではない。細かいところに神経の配られたアンプだが、どうもその神経の配り方が、私がアンプに要求するポイントとずれている。たとえば、ボリュウムのアッテネート目盛りにライティングシステムを取入れているところなどは、大変なこりようだと思うが、そのわりには、レバースイッチの操作ノイズなどが大きく感触が安っぽい。そうしたことはともかく、肝心の音だが、あまり繊細なうるささを要求しなければ、なんでも適当な華やかさと、粘りで再現する効果音である。決して品位を要求する音楽の質の再現までは望めないが......。楽器のもつハーモニクス領域の再生が、あまりに大ざっぱなため、微妙なニュアンスや魅力が再現されないのが惜しい。残たゅうのイズは普通。トーンディフィートすると増えるというのは不思議だ。

デンオン PMA-501

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菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 フォノ・クロストーク・キャンセラーという武器を備えたアンプ。これを調整して使うと相当な効果がある。音場が一段と拡がってステレオフォニックな空間再現のイメージがはっきりと変るのである。この回路の入切による音質の変化はないので、大変有効なものだと思う。このアンプの音は、なにを聴いてもプログラムソースの持つ音、音楽のニュアンスをよく再現し、音楽を聴く意欲が損なわれない。どちらかというと、大型の高能率型のSPがよく、音の品位の高い、安定した再生が可能である。瑞々しい魅力が、やや硬いニュアンスとして再生される傾向にあるが、それだけに、音の充実感を強く訴えかけるのである。このクラスとしては音質面で高く評価したいアンプだ。ただし、トーン・ディフィートやモードスイッチなどの切替によるイズが出るのは、現在のアンプの水準からしてあまりにも無神経に過ぎる。それも、不安定な出方で、精神衛生上きわめて有害だ。

ビクター JA-S41

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菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 大変オーソドックスな響きを聴かせてくれるアンプだ。以前に他の機会にこのアンプを聴いた時には、もっと豊潤な、魅力を感じさせる音だという印象だったのだが、今回の試聴では、そうした効果的な響きがなく、ある面、物足りなさを感じさせる音であった。スペンドールBCIIでは、この傾向が強く出て、魅力に乏しく、音楽の楽しさが生きてこないようで、JBL4343では、オーソドックスなよさが、端正な再生を可能にしてくれる。このクラスの製品としては実際に組み合わせられるスピーカーなどの価格的制約を考えれば、もう少し、美しいと感じさせる音を持ったアンプの方が圧倒的に多いし、その必然性もあるだろう。このアンプは、今回聴いた限りでは、大変真面目な音に徹していて、総合的には高く評価できるように思われるが、現実には商品性の難しい立場にある。一言にしていえばあきのこない音だ。聴感上のSN比は大変優れ残留ノイズは極少だ。

トリオ KA-7100D

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菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 細工はりゅうりゅうといった感じの気合いの入った力作である。本質的な音の素性はかなり品位が高いが、それに加えて、なかなか堂に入った味つけが巧みに施されている。充分にびきった低域にバランスさせるべくコントロールされた高音域の輝き、艶が、ソースによって、あるいは、スピーカーによっては、大変効果的に響くのだが、スペンドールでは効果として働き、JBLではその逆の傾向になった。ベーゼンドルファー・ピアノの音はしっとりした味わいと、品のよいソノリティが、少々ヒステリックになり、日々が安っぽい。弦楽四重奏では、内声部から低音にかけての厚みが豊かなソノリティをつくり効果的だが、高弦のハーモニクスがやや耳をさす。大オーケストラのfffでの音の締りと明晰さはこのクラスとしては秀でていて、音くずれが少ない。TC回路を入れると一枚ベールをかぶるのは問題だが、残留ノイズの少ないことは特筆に値する。

オンキョー Integra A-5

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菅野沖彦

ステレオサウンド 42号(1977年3月発行)
特集・「プリメインアンプは何を選ぶか最新35機種の総テスト」より

 暖かさと、まろやかさが、適宜、明解な力強さとバランスした音だ。スペンドールBCIIで聴くフィッシャー=ディスカウの声のふっくらとした丸いふくらみと豊かな余韻、弦楽器のハーモニーと、個々の楽器の分離の明解さと整ったバランスは見事であった。45W×2というパワーは、現在水準からして決して大きいほうではないが、このアンプの持っている豊かな音質感が、パワー不足を感じさせない。降雨率のJBL4343をドライヴすると、相当な音圧レベルでも安定したプレイバックが楽しめる。大編成オーケストラのトゥッティのfffともなると、もう一つ、スピーカーを引き締めて、がっしりとした音の構築を感じさせて欲しい気もするし、鋭いピアノのアタックの一音一音には、重量感と力感がほしい。しかし、「サイド・バイ・サイドII」の八城一夫の−ベーゼンドルファーの気分の再現は上々で、個クラスでは優れた製品。

タンノイ Autograph

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菅野沖彦

ステレオサウンド 55号(1980年6月発行)
「タンノイ研究(1) 名器オートグラフの復活」より

 タンノイと私のふれ合いは、不思議なことに、あの熱烈なタンノイ信奉者の故・五味康祐氏、そして、古くからのオーディオ仲間である瀬川冬樹氏のそれと一致する。本誌別冊の「タンノイ」号巻頭に、両氏のタンノイ論が掲載されているのをお読みになった読者もおいでになると思うが、両氏がはじめてタンノイの音に接して感激したのが、昭和27〜29年頃のS氏邸に於てであることが述べられている。私もその頃、同氏邸においてタンノイ・サウンドを初めて体験したのであった。両氏共に何故かS氏と書かれているが、新潮社の齋藤十一氏のことであると思う。もし違うS氏なら、私の思い違いということになるのだが......。当時、私が大変親しくしていて、後に、私の義弟となった菅原国隆という男が新潮社の編集者(現在も同社に勤務している)であったため、編集長であった齋藤十一氏邸に私を連れて行ってくれたのであった。明けても暮れても、音、また音の生活をしていた私であったが、その時、齋藤邸で聴かせていただいたタンノイの音の感動はいまだに忘れ得ないものである。正直いって、どんな音が鳴っていたかは覚えていないのであるが、受けた感動は忘れられるものではない。もう、27〜28年も前のことになる。以来、私の頭の中にはタンノイという名前は、まるで、雲の上の存在のような畏敬のイメージとして定着してしまった。五味氏によれば、当時タンノイのユニットは日本で17万円したそうだが、そんな金額は私にとって非現実的なもののはずだ。しかし、実をいうと、当時はタンノイがいくらするかなどということすら考えてもみなかったのである。それは初めて見たポルシェの365の値段を知ろうとしなかった経験と似ている。つまり、値段を聞くまでもなく、自分とは無縁の存在だということを嗅ぎわけていたから、そんな質問や調査をすることすら恐ろしかったのだと思う。なにしろ、神田の「レコード社」に注文して取り寄せた、シューベルトの「美しき水車小屋の娘」(ペトレ・ムンテアーヌの歌で伴奏がフランツ・ホレチェック)を受け取りに行くのに5百円不足して四苦八苦したような頃だったから、推して知るべしである。おまけに、このレコードを受取りにいったレコード社で、ばったり、齋藤十一氏に会ったのはいいが、後日、先に書いた私の義弟を通して「美しき水車小屋の娘」を買うなんて彼は若いね......というような意味のことを齋藤氏がいっていたと聞き、えらく馬鹿にされたような気になった程度の青二才だったのだ。幸か不幸か、タンノイは、こうして私の頭の中に定着し、自分とは無縁の、しかし凄いスピーカーだということになってしまった。正直なところ、このコンプレックスめいた心理状態は、その後、私が、一度もタンノイを自分のリスニングルームに持ち込まず、しかし、終始、畏敬の念を持ち続けてきたという私とタンノイの関係を作ったように思うのである。若い頃の体験とは、まことに恐ろしいのである。
 その後、多くの機会にタンノイを聴いてきた。いい音もあったし、ひどい音で鳴っている場合もあった。自分でも勿論鳴らした経験は少なくない。よく鳴らすことが難しいスピカーだと思う。ひどく、エイジングで変るスピーカーだとも思う。血統の正しい、出来のいい、純度の高い、高性能な機器に特有のデリカシーを持っているのである。名器と呼ばれるものには、えてして、こういう気難しいものが多い。ここで断っておかなければならないが、気難しいといっても、その最低レベルは、並のもののそれより絶対に高い。ただ、使い手とぴったりよりそった時に聴かせる信じ難いほどの美しさや魅力が、おいそれとは聴けないという意味である。優秀な機械が、機械としての優秀性を超えたなにものかを垣間見せるということだ。オーディオ以外の私の道楽に車があるが、同じような体験をしている。ポルシェがそうだ。人馬一体の感覚が味わえる車だが、そう簡単にはいかないのである。昔持っていたキャデラックのエルドラードは、いつでも心地よく快適に乗せてくれたが、こちらの要求に、あるところまでしか応えてくれなかった。可能性に限界があって、それ以下では、いつも安定して黙々と忠実に動作するのである。ポルシェはちがう。まだまだ、こちら以上の可能性を感じさせ、逆に教えられるのである。タンノイは、これに似ている。オートグラフが見事なコンディションで、ある条件下で鳴らす、この世の機械から出た音とは信じられない美音を私は知っている。そんな時、つくづく私は、文字通り、そのオートグラフの主、G・R・ファウンテンという人間に触れ得たことを実感する。この瞬間こそが、機械を通して人と人とが心を通わせ合える時であり、オーディオや車などのメカニズムを愛する人間のみが知り得る幸せであろう。
 こうした高度の次元に存在する機械が少なくなりつつあることは、誠に淋しい限りであり、それを理解し、正しい価値観を持つ人間が減っていくことは嘆かわしい。特に芸術に関与するオーディオ機器の世界にとって、これは重大なことだ。
 今世紀初頭のヨークシャーに生れたガイ・R・ファウンテンが、47歳の時に発売した同軸型ユニットは、すでに30余年の歴史をもつ。また車を例に出すけれど、これは、ポルシェの歴史とほぼ一致する。この〝動く精密機械〟のプロト・タイプがオーストリーの寒村グミユントで産声を上げたのは1948年で、その市販モデルが、西ドイツのシュツットガルトで生産を開始したのが1950年である。さんかに車を持ち出すのは、実はガイ・R・ファウンテンも車に縁の深い人だったことによる。彼は、1920年代に自動車の技術に深い興味を抱いていたそうで、事実、友人数人と、ランカスター自動車会社というコーチビルダーの会社を経営、車の注文生産をおこなっていたほどだ。たゆまぬ技術改良をおこなったとはいえ、ポルシェが一貫して、現役の911までオリジナルの基本設計を貫いてきたのと同様、またタンノイも、デュアル・コンセントリックという同軸型2ウェイユニットを1947年に発売して以来、現在の最新モデル、スーパーレッド・モニターとクラシック・モニターに至るまで、その基本構造はまったく変更されていないのだ。そして、ポルシェ博士が、自ら設計製造した車のハンドルを自ら握ってラリーやレースに参加したように、ガイ・R・ファウンテンはレコード音楽を自らが満足のいく音で鑑賞するために、〝オートグラフ〟という、とてつもない複雑で巨大なホーンエンクロージュアを制作したのである。大のクラシック音楽愛好家であったファウンテン氏がなんとか自室をオーケストラの演奏会場のような音で満たしたいという執念と情熱が、この名作を生み出したのであった。タンタルム・アロイ(電解整流器の主成分としてタンノイ者が開発)の合成語タンノイの社名に加えて、ガイ・R・ファウンテンという自らのオートグラフをシステムに刻印し、それをそのまま、モデル名としたのであった。
 自らを信じ、自らの満足と納得のいくまで製品を練り上げ、世間におくり出す。それが、例え、世間の常識をはずれた価格であろうとも、必ずや、その価値のわかる共感者が現れてビジネスを支える。そういう時代はたしかに過ぎた。そしてすでにそうした背景から生れた数々の名器は姿を消した。タンノイやポルシェは数少ない現存の名作といってよいであろう。しかし、タンノイ・オートグラフのオリジナルは今やイギリスでは生産されていない。職人の高齢化によって創ることが出来なくなったからである。伝統工芸的な技術を要するこのエンクロージュアをつくる職人が絶えたのだ。たとえ、そうした職人が残っていたとしても、もはや、このようなビジネスが、世界のマーケットでビジネスを支え得るとは思えない。日本には幸い、読者諸兄のような価値観の持主がおられる。熱心なオーディオ愛好家にとって、たとえそれが日本製であっても、オリジナルにきわめて忠実な形でこの名器が継続して作られるということは喜ばしいことであろう。この日本製のオートグラフ・エンクロージュアはイギリスのタンノイ社が驚くほど精巧で、同社の公的な承認が得られ、その証明が示されている。
 そこで、混合から連載される「タンノイ研究」の第一回として、改めて、各種のオートグラフを比較試聴してみようということになった。新ユニット、K3808スーパーレッド・モニター入りのオートグラフが、今、市場で手に入れることの出来るオートグラフの代表機種であるわけだが、はたして、その音はどうだろうという興味は、試聴に出かける私のポルシェハンドルさばきを軽くした。
 オートグラフが発売されたのは1953年で、当初のものはかなりこった家具風の重厚なフィニッシュであったらしい。しかし、基本的なエンクロージュアの構造はすでに現在のものと大佐がないという。'57年に、マイナーチェンジを受け、内蔵ユニットがモニターシルバーからモニターレッドとなり外観デザインも現在のものになった。これは、'54年発売のヨーク(レクタンギュラーではない)、翌'55年発売のGRFのデザインと共通イメージである。
 さて、今回試聴したシステムは、4種類のオートグラフである。といってもエンクロージュアは'70年代初期と思われるオリジナル・オートグラフと、最新のレプリカの二種類で、ユニットとの組合せで4種類となる。
①オリジナル・エンクロージュア(モニターゴールド入り)
②オリジナル・エンクロージュア(HPD385入り)
③レプリカ・エンクロージュア(K3808スーパー・レッド・モニター入り)
④レプリカ・エンクロージュア(K3808スーパー・レッド・モニター長時間使用のユニット入り)
 右の4機種を比較試聴したわけだが、ユニットの入替えにあたり、スーパー・レッド・モニターは、HPD385、モニターゴールドと取付穴の寸法が異なるため、オリジナル・エンクロージュアには改造を施さねばならないということで、今回は試聴ができなかったことを、お断りしておく。オリジナル・エンクロージュアを持っていて、ユニットをスーパー・レッド・モニターあるいはクラシック・モニターという新しいものに交換したい方は、そのままでは取付不可能であるということだが、改造をいとわなければ可能であるということだ。そして、レプリカ・エンクロージュア(タンノイ社承認のティアック製)は取付寸法に二種類のものが市販されているわけで、HPD385内装のもは、オリジナル取付穴と同寸法で、新しいスーパー・レッド・モニター内蔵のものと異なるので、これも新ユニットに交換するには修整が必要となる。
 ところで、肝心の試聴記が最後になってしまったが、以下に、スペースの許す限りで、それを記すことにしよう。理解を容易にするために、モニターゴールド内蔵のオリジナルとの比較をベースに記すことにする。
 まず、新しいK3808スーパー・レッド・モニターと、かなり長時間使用のものとでは明らかに高域のしなやかさの点で違いがあり、エイジングのきいたユニットが絶対にベターなので、これにしぼる。また、オリジナルにHPD385を入れたものは、決して望ましいものとはいえないので、これも、モニターゴールド入りオリジナル一本にしぼってよいだろう。つまり、結局は2機種の比較試聴ということになり、他は、参考試聴ということになった。試聴レコードは、弦楽合奏、ソプラノとオーケストラのオペラのアリア、ピアノ独奏、打楽器主体のジャズという4種類とした。
 どちらにしても、ステージの空間が、そのまま再現される圧倒的な雰囲気であったが、低域はレプリカのほうがよ絞り、オリジナルは時として演出過多とも思える響きがある。オリジナル・エンクロージュアにスーパー・レッド・モニターを入れられなかったので、これはユニットの違いが大きいのか、エンクロージュアのそれかを現場で確認することは出来なかった。多分、私の推測では両者に要因があろうと思われる。ここの部分をどう受け取るかが難しいところでオートグラフを心情・感覚的に、一種のオーディオ楽器として受け取れば、オリジナルのもつ毒も薬としなければならないが、多少、その毒が気になる人にとってはレプリカのスーパー・レッド・モニター入りのほうが行儀よく、適度な味つけということになる。コーナー型として壁面と床をホーンの延長として使い、オーケストラの量感をなんとか出そうとしたG・R・ファウンテン氏の音への嗜好も、現代の録音とのバランスで考えると、むしろ、新型をよしとするかもしれないのである。つまり、彼が生きていたとしても、この新型には決して不満をいわないだろうと思える範囲での違いであった。
 これに伴い、ソロ・ヴォーカルの定位や、音像の明確さは明らかに新型がよく、オリジナルは、やや大きめの曖昧なものとなる。ただし、これは、弦楽器の夢のようなしなやかな再現をオリジナルが聴かせることと共通すると思われるのだが、シルヴィア・シャシュの声の妖艶な色気は、オリジナルの独壇場であった。ピアノについても、中音域の豊かさ、艶ではオリジナルにふるいつきたくなるような魅力があるが、低音域は悪くいえば団子状で量感の明解な響き分けがない。それに比して新型では、よく巻線領域の音色や質感を鳴らし分ける。
 両者にとって、もっとも不得手なのはジャズだ。バス・ドラムは曖昧だし、ベースのピツィカートは、アルコ奏法の瑞々しさとは裏腹に、なんとも不明瞭になってしまう。これは、スーパー・レッド・モニター・システム(スタジオモニターとして開発された新製品)では満足のいく再生を示すから、明らかにユニットのせいではなく、オートグラフ・エンクロージュアの特質と断言してもよいだろう。オートグラフには絶対に向かないプログラムソースであり、音楽性の不和としかいいようがない。ポルシェにロールスロイスの走行を期待しても無理であり、ロールスロイスには絶対、ポルシェの走りは出来ないようなものだ。それが不満なら、最新型のスポーティモダンとは呼ばれる中途半端で無個性のオールパーポンスの車を選ぶしかないということか?
 スーパー・レッド・モニター内蔵の日本製オートグラフをタンノイ社が承認したことが今回の試聴で納得できた。ガイ・R・ファウンテン時代のレコード音楽の環境は大きく変化している現実をふまえ、なお、彼の精神と感性が生かされた製品として立派な存在意義をもっている。そして、これを作れるクラフトマンがいることを日本人の一人として喜びたい。

ビクター SX-LC3

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菅野沖彦

ステレオサウンド 137号(2000年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング863選」より

スピーカー作りでは、現在、我が国No.1のビクターの優れた小型スピーカーシステム。豊かなオリジナリティをもつ設計と、何より、音のバランス、質感の良さが光る。ツボを心得たバランスで、低音は充実しているが重すぎず、大事な中音域が厚い音だし、生き生きした音楽表現には血が通っている感じがする。

BOSE AM-5 III

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菅野沖彦

ステレオサウンド 137号(2000年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング863選」より

ボーズらしさが横溢した小粋なシステムである。この価格で、この音楽的効果はボーズならではの巧みさと言えるであろう。エッジが鮮やかでソリッドな質感もそこそこに味わえ、ワイドレンジ感の演出も巧みである。アイディアとセンスを手慣れた技術で実現する、現代の音の錬金術ならぬ錬音術がボーズである。
菅野沖彦

ステレオサウンド 137号(2000年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング863選」より

アクースティックラボというよりボレロと言ったほうがとおりがよかったが、今はこのステラ・シリーズがメインストリームである。有名だったボレロ・シリーズの名がもったいないが、ステラもそれに劣らない、よりモダーンなシリーズ。全体に高級機にシフトしたが、これは普及クラスの実力機で、明晰で透明な優れた音。

エラックCL330 JET AMBIENTE

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菅野沖彦

ステレオサウンド 137号(2000年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング863選」より

アルミ押し出し材によるモダーンでソリッドなコンパクトネスを全身にたたえたエンクロージュアによるエラックの傑作、300シリーズの中の上位機種である。JETユニット搭載はもちろんのこと、310より大きいウーファーを搭載するぶん、スケールが大きい再生音だ。外観にふさわしいカチッとした音が快適である。
菅野沖彦

ステレオサウンド 137号(2000年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング863選」より

ステラ・シリーズの中堅機だが、新素材振動板や贅沢な磁気回路の採用など、充分力の入った製品である。その音は彫琢が深く、明晰でシャープだが、決して神経質ではない。上質の音で音楽が躍動する優れたスピーカーシステムである。作りと仕上げの良いエンクロージュアも美しく、愛せる逸品である。

タンノイ Turnberry/HE

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菅野沖彦

ステレオサウンド 137号(2000年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング863選」より

同社の高級クラシカル・シリーズであるプレスティッジ・シリーズのベーシックモデルである。25cm口径コアキシャル・ユニットは半世紀以上の伝統を持つ基本設計を踏襲するが、現代的な特性にリファインされている。同軸型らしい定位の明確さを持ち、ウェルバランスで重厚、しなやかな質感を併せ持つ。
菅野沖彦

ステレオサウンド 137号(2000年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング863選」より

ステラ・シリーズの高級機。この上に「ステラ・エレガンス」という最高機種があるが、あれは別物だ。事実上、これが同シリーズのトップモデルといってよいであろう。その名に恥じない優れたトールボーイ・システムで、ユニット構成はヴァーチカル・ツイン方式である。同社らしい音のまとめの巧みさが光る。
菅野沖彦

ステレオサウンド 137号(2000年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング863選」より

かつて、スピーカーシステムで、これほど思い入れを表現した作品が存在したであろうか? また、これほどの手の込んだ工芸的なエンクロージュアも大戦後には存在しなかったであろう。スピーカーは楽器であると言い切ったフランコ・セルブリンの傑作。芸術的なスピーカーとしか言いようがない。

マッキントッシュ XRT26

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菅野沖彦

ステレオサウンド 137号(2000年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング863選」より

傑作XRTシリーズの現役モデルであり、多分、これが最終モデルであろう。1980年のXRT20登場以来20年になるシリーズである。その技術的特徴は数多いが、いずれも他社に先駆けたものであることは意外に知られていない。マッキントッシュはアンプの存在が大きすぎてスピーカーはマイノリティだ。

ラックス D-7

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菅野沖彦

ステレオサウンド 137号(2000年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング863選」より

ラックスのD10の弟分で中級CDプレーヤー。20ビット・サインマグニチュード・マルチビット方式DACを搭載している。しっかりした骨格を持ち、しかも肉厚の音触が魅力的である。低音が豊かだが重くなく、よく弾み、高音はしなやかで芯もしっかりしている。HDCDデコーダー内蔵である。

アキュフェーズ DP-75V

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菅野沖彦

ステレオサウンド 137号(2000年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング863選」より

アキュフェーズの一体型高級CDプレーヤーだ。V型は最新モデルで1999年発売だが、すでに24ビット/192kHzに対応するDAC部を内蔵する。単体D/Aコンバーターとして独立して使える高性能機。同社らしい高度なディジタル・テクノロジーによる先見性を持つ実力機として高い評価を得るにふさわしい製品である。
菅野沖彦

ステレオサウンド 137号(2000年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング863選」より

マークレビンソンのCDトランスポートとDACの組合せによるセパレート型プレーヤーである。セパレート型は発展型とも言えるが、もちろん、このコンビで完結する高い完成度を持っている。細密感とソリッドな質感を持つ深い音である。CDシステムとしての完成度が高いが、ヴァージョンアップにも対応する。

マッキントッシュ MCD751

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菅野沖彦

ステレオサウンド 137号(2000年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング863選」より

マッキントッシュのCDトランスポートだが、同社のMDA700とのペアでも完成度は高い。もちろん、ディジタル出力は同軸、光TOSを備えているから他のD/Aコンバーターとの組合せも可能である。メカニズムはVRDSを採用している。マッキントッシュ・パネルで揃えると言う意味以上に上質なトランスポートである。
菅野沖彦

ステレオサウンド 137号(2000年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング863選」より

アキュフェーズのSACDプレーヤーで世界初のセパレート型である。つまり初のディジタル出入力をもつSACDトランスポートであり、DACである。これはHS−Linkというディジタル・インターフェイスによるもので、同社のディジタル機器(DP75VとDC330)との接続でも威力を発揮する。SACDもCDも高品位な再生音だ。

ソニー SCD-1

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菅野沖彦

ステレオサウンド 137号(2000年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング863選」より

世界初のDSD録音方式によるスーパーCD"SACD"を再生するプレーヤーである。開発者らしい力作で、高剛性メカニズムを採用した高級プレーヤーだ。アクセスタイムが少々遅すぎるのが気になるが、それもせっかちな人にとってであって、このくらいのほうがよいとも言える。CDもしっかりした質感で再生する。

ビクター XP-DA999

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菅野沖彦

ステレオサウンド 137号(2000年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング863選」より

エクステンデッドK2プロセッシングによるCD再生音の高品位かが実現するDACプロセッサーで、サンプリングレート96kHzにも対応する。入力12系統、出力9系統という豊富なファンクション持つディジタルセンターである。よく練られた音で、独特のしなやかさと甘美さを聴かせる暖かいディジタル音である。

マッキントッシュ MDA700

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菅野沖彦

ステレオサウンド 137号(2000年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング863選」より

CDトランスポートMCD751と同時に開発された20bitDACで、ディジタルフィルターも20bit8倍オーバーサンプリング方式を採用している。アナログ・バッファーが効果的であるせいか、安定したグッド・リプロダクションを実現し、しなやかでなめらかな音触感と、彫りの深い陰影感と立体感を聴かせてくれる。
菅野沖彦

ステレオサウンド 137号(2000年12月発行)
特集・「ジャンル別・価格帯別 ザ・ベストバイ コンポーネントランキング863選」より

これはまさにゴールドムンドの音である。硬質で輝かしく精緻だが、決して冷たくない。どこかに、ほんのり甘ささえ感じられる。かつて、この音をクリーミーな音と表現したが、レア・クリームのそれだ。ゴールドムンドのDACのなかでも、これは秀逸な逸品であると感じられた。2点は制約のためで、本当は3点。

マッキントッシュ C41