Posts Tagged アキュフェーズ

Date: 7月 27th, 2014
Cate: チューナー・デザイン

チューナー・デザイン考(パイオニア Exclusive F3・その21)

アキュフェーズのチューナー、T104と三点セットとなるコントロールアンプのC240とパワーアンプのP400。
この三台を「横一列に並べたときの美しさは独特だ」と瀬川先生が、以前書かれている(ステレオサウンド 59号)。

この三台のデザインを比較すると意外なことに気づく。
C240はP400とは対照的に意欲的なデザインとなっている。

P400は同社のほかのパワーアンプと並べてみても、これだけが特異な存在ということはない。
C240はレベルコントロール、バランスコントロール、カートリッジの高域特性のコントロールだけが回転ノブ、
ミューティングのON/OFFの切替えがレバースイッチ、
ほかの機能はすべて57個のプッシュボタンで操作する。

アキュフェーズのコントロールアンプとして、かなり思いきった方向性を打ち出している、ということで、
デザインに関してはC240、P400、T104の三台では、どうしてもC240に注目がいってしまいがちだった。

T104はシンセサイザー方式のチューナーである。
C240よりも、プッシュボタンによる操作がしっくりくるものであった。
にも関わらず、T104は、それまでのアナログ式チューナーのインターフェイスのままである。

T104も、チューナーとしてはプッシュボタンの数は多い。
それでもシンセサイザー方式であることを、T104のフロントパネルは強く主張していない。

C240と同じ方向でのT104のデザインもありえた。
にも関わらずそうなっていない。
そうなっていないからこそ「横一列に並べたときの美しさ」が生れているのかもしれない。

Date: 7月 25th, 2014
Cate: チューナー・デザイン

チューナー・デザイン考(パイオニア Exclusive F3・その18)

オーレックスのST420はダイアルスケールをフロントパネルの最下部にもってきている。
ふたつあるメーターはダイアルスケールの上、フロントパネルのほぼ中央で、やや左側に寄っている。
チューニングノブは右端、電源スイッチは左端についている。

ST420以前にもダイアルスケールを下に、メーターを上に配置したチューナーがあったのは前述した。
けれどダイアルスケールをフロントパネル最下部に配置したのは、ST420が最初である。

ST420の登場以降、同じようにダイアルスケールを最下部にもってきたチューナーが、いくつか出てきた。
アキュフェーズのT104もそういう製品のひとつといえる。

T104はシンセサイザー方式だから、いわゆるダイアルスケールはない。
かわりに受信周波数を数字で表示するようになっている。
この表示部はダイアルスケールのように横に長い。T104はこれを最下部に配置している。
二つあるメーターダイアルスケールの上、フロントパネルのほぼ中央で、やや左側に寄っている、
チューニングノブは右端、電源スイッチは左端についている、と書けるように、ST420と基本的に同じである。

ことばで説明する以上に、ST420とT104の真正面からの写真を並べてみると、
基本レイアウトの共通性の同じであることがはっきりする。

このことに気づいたとき、私は嬉しかった。

Date: 7月 25th, 2014
Cate: チューナー・デザイン

チューナー・デザイン考(パイオニア Exclusive F3・その17)

ダイアルスケールとメーターの位置関係。
これか同じだからといって、各社のチューナーのデザインが似てくるわけではない。

ここで挙げたメーターがダイアルスケールの上にあるチューナーを見ていっても、印象はそれぞれに違う。
ソニーのST5000Fはダイアルスケールがフロントパネルの上側に配置されている。
ダイアルスケールの下、つまりフロントパネルの下側半分にチューニングノブをはじめとするツマミが並ぶ。
しかもメーターとダイアルスケールはひとまとめされている。

同じソニーのチューナーでも、その後のST4950、ST5950もメーターが上にくるが、
ダイアルスケールがフロントパネル・センターより下にきている。
それにメーターも視覚的にはっきりと独立しているので、ST5000Fとはずいぶん異る印象をもつ。

それぞれのメーカーの、それぞれの機種についてひとつひとつ書いていくと長くなってしまう。
どうしても書きたいのはひとつである。

それはオーレックスのST420とアキュフェーズのT104について、である。

ST420は1976年当時47800円のチューナー。
T104は1978年当時250000円のチューナー。

ST420は4連バリコン使用のチューナー。
T104はクォーツロック・フレケンシーシンセサイザー式のチューナー。

ST420はウッドケースなし、
T104はウッドケースつき。

ST420とT104、
このふたつのチューナーは、ダイアルスケール、チューニングノブ、メーターの配置が共通している。

Date: 9月 14th, 2008
Cate: 4345, 瀬川冬樹

4345につながれていたのは(その1)

瀬川先生の終の住み処となった中目黒のマンションでのメインスピーカーは、JBLの4345。
アナログプレーヤーは、パイオニア・エクスクルーシヴP3を使われていた。
アンプは、マーク・レビンソンのペアだと思っていた。
ML7Lのことも高く評価されていた(ただし、これだけでは満足できないとも書かれていたけど)し、
パワーアンプは、やはりレビンソンのML2Lだと、そう思いこんでいた。

けれど、昨年11月の瀬川先生の27回忌の集まりの時に、
当時サンスイのAさんの話では、アキュフェーズのC240とM100の組合せだった、とのこと。
たしかにステレオサウンドに掲載されたM100の新製品のページは瀬川先生が書かれていたし、
そうとう高い評価以上に、その文章からは音楽に浸りきっておられる感じが伝わってきた、と記憶している。
C240もお気に入りだったらしいから、この組合せで鳴る4345の音と、
ステレオサウンドの記事で、世田谷のリスニングルームで行なわれた、
オール・マークレビンソン(ML2L、6台)で鳴っていた4343とは、もう別世界だろう。

4343と4345の鳴り方の違い、マークレビンソンのアンプとアキュフェーズのアンプの音の違い、
それから世田谷で使われていたEMT927Dstとマイクロの糸ドライブ、
それらとエクスクルーシヴP3の性格の違い、
この時期のステレオサウンドの新製品の記事、
SMEの3012R、JBLの4345、アキュフェーズのM100を記憶の中から呼び起こす。

そこに共通するものを感じるのは私だけだろうか。

Date: 9月 11th, 2008
Cate: ML2L, 瀬川冬樹

思い出した疑問

1980年のことだから、ずいぶん昔のことだが、そのとき、感じていた、ある疑問を思い出した。
ステレオサウンドの夏号(55号)のベストバイの特集(このころベストバイは夏号だった)で、
各筆者がそれぞれのマイベスト3をあげられている。 

瀬川先生が挙げられたのは、スピーカーはJBLの4343とL150とKEFのローコストモデル303、
コントロールアンプは、マークレビンソンのLNP2LとML6L、それにアキュフェーズのC240。
パワーアンプは、たしかアキュフェーズのP400に、マイケルソン&オースチンTVA1、
それにルボックスのA740だった(と記憶している)。 
プレーヤーはマイクロの糸ドライブ、エクスクルーシヴのP3とEMT930stだ。 

疑問に思っていたのは、パワーアンプのベスト3に、
なぜマークレビンソンのML2Lをあげられていないかだった。 
コントロールアンプではLNP2LとML6Lと、マークレビンソンの製品を2つあげられているし、
価格的に高価なものを除外されているわけでもないにも関わらず、ML2Lがない。 

このとき、以前愛用されていたSAEのMark2500は製造中止になり、
新シリーズに移行していたので、Mark2500がないのはわかる。 

ML2Lがないのはなぜ? 
当時理解できなかったこのことも、いまなら、ぼんやりとだがわかる。

Date: 9月 11th, 2008
Cate: Mark Levinson, 瀬川冬樹, 瀬川冬樹氏のこと

瀬川冬樹氏のこと(その9)

2005年夏、ある人から、瀬川先生に関する話をきいた。

1981年(亡くなられた年)の春、 スイングジャーナルの組合せの取材でのこと。 
当時スイングジャーナルの編集部にいたその人が、 
取材前に、瀬川先生に組合せに必要な器材をたずねたところ、 
「スピーカーはアルテックの620Bを用意してほしい、 
アンプはマークレビンソンはもういい、 
マイケルソン&オースチンのTVA1とアキュフェーズのC240がいい、 
プレーヤーはエクスクルーシヴのP3を」ということだったとのこと。 

そして取材当日、620Bのレベルコントロールを、大胆に積極的にいじられたりしながら、
最終的に音をまとめ終わり、満足できる音が出たのか、 
「俺がほんとうに好きな音は、こういう音なのかもなぁ……」と 
ぽつりとつぶやかれた、ときいた。 

そのすこし前に使われていたのは、
JBLの4343に、 マークレビンソンのアンプのペア、
そしてアナログプレーヤーは、EMTの927DstかマイクロのRX5000+RY5500(それも二連仕様)。 

JBLの組合せとアルテックの組合せの違い、
表面的な違いではなく、本質に関わってくる違いを、どう受けとめるか。