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Date: 10月 20th, 2019
Cate: アナログディスク再生

私にとってアナログディスク再生とは(リアパネルのこと・その6)

その人は、特にオーディオマニアではないが、
好きな音楽を、少しでもいい音で聴きたい、と思っている人で、
使っているオーディオ機器も、ものすごく高価なモノではないけれど、
オーディオにまったく関心のない人からすれば、
かなりの高級品と思ってしまうクラスのモノで鳴らしていた。

それでも、それぞれの信号レベルについての知識はなかったのではないのか。
カートリッジの出力がどの程度で、
スピーカーケーブルに流れる信号がどの程度なのか、
そのへんの理解がないから、
シールドされているかされていないかで、
電源コードとの距離を判断していたようである。

シールド線といっても、同軸型と二芯シールドとの両方があり、
そこでのプレーヤーのフォノケーブルは、一般的な同軸ケーブルだった。

二芯シールドだから、完璧なシールドがなされているとは考えていないが、
それでも同軸ケーブルよりは有利なことは確かだ。

その人のオーディオの知識は、その意味では不十分すぎたが、
実際にケーブル類の整理をした音を聴いてもらうと、
きちんとした判断をされていた。

その人は、縦型のラックのいちばん上にプレーヤー、
その下にプリメインアンプで、そのアンプも一般的な端子配置の国産機である。

なのでフォノケーブルをそのままに下にたらせば、すぐにアンプのフォノ入力端子である。
プレーヤーとアンプの電源コードは、フォノケーブルの位置とは反対側の橋だから、
こちらも下に電源コードをたらせば、フォノケーブルと交差することはなかったわけだ。

Date: 10月 20th, 2019
Cate: アナログディスク再生

私にとってアナログディスク再生とは(リアパネルのこと・その5)

今夏にヤフオク!で手に入れたテクニクスのSL01とサンスイのAU-D607、
この二台で音を鳴らそうとした時に、どう設置しようか、と少し迷った。

ラックの上にSL01、ラックの下側にAU-D607という置き方を、
国産の、この時代のアンプは推奨しているかのようなリアパネルの端子の配置である。

こうすればフォノケーブルは真下に向い、
プレーヤーの電源コードともアンプの電源コードとも、基本的には交わらない。

けれど横に二台を並べようとすると、
プレーヤーを右側に置けば、
プレーヤーの電源コードとフォノケーブルは交わる。
反対にプレーヤーを左側に置けば、アンプの電源コードと交わることになる。

それぞれの電源コードに流れる電流の大きさは、
当然だがプリメインアンプのAU-D607の方が大きいわけだから、
交わることによる影響も、それだけ大きくなる。

それにAU-D607の二個の電源トランスは、アンプ内部左側にある。
つまりSL01を左側に置くと、カートリッジ、トーンアームという、
微小な信号が流れるラインと、アンプの電源トランスがかなり近づくことにもある。

電源トランスは直接は見えないが、
アンプを自分の手で持てば、どのあたりに配置されているかはすぐにわかる。

そうなると、あえて試すまでもなく、SL01とAU-D607を二台、横にならべるのであれば、
プレーヤーが右側、アンプが左側と自然に決ってしまう。

そういえばあるところで、フォノケーブルが、電源コードとくっつかんばかりに近づいていた。
わざとそうしているように見えたから、
ここ(フォノケーブル)とここ(電源コード)、離しましょう、といったら、
そうするとスピーカーケーブルと電源コードが近づいてしまう、大丈夫ですか、
という返事だった。

フォノケーブルはシールド線、スピーカーケーブルはシールドなしだから、
スピーカーケーブルが電源コードに近づく方が影響が大きいと考えた、ということだった。

Date: 6月 5th, 2012
Cate: アナログディスク再生

私にとってアナログディスク再生とは(リアパネルのこと・その4)

ステレオサウンドの試聴室で、以前こんなことを体験した。
まだCD以前のころで、そのときのステレオサウンドのアナログプレーヤーはExclusive P3だった。
なにかの試聴の準備が終り、チェックのために音を出したら、
いままで体験したことのないほど大きなハムが発生した。

ここまで大きなハムが出るということは、アース線は間違いなく接続したはずだったけれど、
接続し忘れたのかとチェックしても、結線にミスはなかった。
カートリッジはMC型、昇圧用にはトランスを使っていた。
トランスはヘッドアンプよりもハムをひきやすい。
けれど、このとき使っていたトランスは何重にもシールドがなされたもので、
それまでの経験からいってもハムにはかなり強いものにも関わらず、盛大にハムが出る。

トランスの向きを変えてみたり、ケーブルの這わせ方をあれこれ試したりしてもハムはほとんど減らない。
かなり時間をかけてわかったのは、パワーアンプからの漏洩フラックスが原因だった。
それも盛大な、そのパワーアンプの電源トランスからのフラックスが洩れを、昇圧トランスが拾っていたわけだ。

しかもこのパワーアンプは、国産メーカーの、それもオーディオ専門メーカーの最高クラスのものだった。
原電トランスには立派そうなケースがかぶせてあった。
なのに他社製のどんなアンプよりも漏洩フラックスは凄かった。
昇圧トランスとパワーアンプとの距離は、通常なら問題にならないくらいには離れていても、こうなってしまった。

昇圧トランスだからはっきりとハムという形で表れ、そのパワーアンプの欠点(というより欠陥)がわかったが、
このアンプをラックにいれ、その上にコントロールアンプがあったら、どうなっていただろうか。

あのアンプのメーカーは、 MC型カートリッジもつくっていたし、スピーカーもつくっていた。
けれどMC型カートリッジ用の昇圧トランスはなかった、ヘッドアンプはあったけれども。
おそらく、このメーカーの人たちは開発・試聴時にトランスを使うことはしなかったのだろう。
トランスをつかっていれば、すぐに、このパワーアンプの問題点はわかったはずだから。

このパワーアンプは、はっきりいって極端な実例である。
ここまでひどい漏洩フラックスのアンプにはその後、出合っていない。
とはいうものの電源トランスがあれば、それが容量の大きなものであれば、多少なりともフラックスは洩れている。
そのフラックスの発生源であるアンプを、アナログプレーヤーの真下には、やっぱり置きたくない。

こんなこともあって、それと操作性の面からも、フォノイコライザーを搭載したコントロールアンプなり、
プリメインアンプのデザインについては、私の頭の中はあれこれ、どうしても考え込んでしまうことになる。

Date: 6月 5th, 2012
Cate: アナログディスク再生

私にとってアナログディスク再生とは(リアパネルのこと・その3)

アナログプレーヤーの操作は、右利きであろうと左利きであろうと、
マニュアルプレーヤーであればトーンアームは右手で、ということになる。
左利きの人であっても、トーンアームに関しては右手を使わざるをえない。

右手でレコードの盤面に針を降ろす。
ほとんどの人がこの時点ではアンプのレベルコントロールは絞っているから、
針を降ろすと同時にすばやくアンプのレベルコントロールにふれてあげる。
この一連の動作にもたつきがあっては、レコードの冒頭にフェードインすることになるし、
椅子につくまでに音楽が鳴りはじめる。

私は前にも書いたようにトーンアームからのケーブルは最短距離でアンプに接続したい。
だからリアパネル右にフォノ端子があるものならばプレーヤーの右隣に、
リアパネル左にあるものならプレーヤーの真下にアンプを設置することになる。

となるとプレーヤーの右隣にアンプの場合、
トーンアームの操作、レベルコントロールの操作はどちらも右手で行う。
アンプが真下にあれば、どちらも右手で行なうかもしれないし、レベルコントロールは左手になるかもしれない。

右手だけで操作する場合、手の動きは横方向か上下方向かの違いがある。
どちらがやりやすいかは人によって違うのか同じなのか……。
私は横方向に移動する方がいい。

ならばリアパネル左にフォノ端子のアンプもプレーヤーの右隣に置けばいいじゃないか、といわれそうだが、
そうするとトーンアームからの信号ケーブルはアンプのフォノ端子にたどりつくまでに電源コードに近づき、
プリメインアンプならばスピーカーケーブルにも近づき、ライン入力ケーブル、
テープ関係の入出力ケーブルにも近づいて、という経路を通る。
ときにはくっつきあうこともある。フォノ信号がとおるケーブルを、
いくつものケーブルのあいだをぬうようには通したくない。

それにコントロールアンプならばアナログプレーヤーの真下に置くのにそれほど抵抗はないけれど、
プリメインアンプとなると、注意も必要となる場合が出てくる。

Date: 6月 5th, 2012
Cate: アナログディスク再生

私にとってアナログディスク再生とは(リアパネルのこと・その2)

最初に断わっておきたいのは、
ここでのコントロールアンプ、プリメインアンプはいうまでもなくフォノイコライザーを搭載しているアンプのこと。

なぜ、日本のコントロールアンプ、プリメインアンプはリアパネルの左端にフォノ入力端子があって、
アメリカのアンプはリアパネルの右端にあるのか、
その理由はわからないものの、
もしかすると、ここには文字の表記の違いが関係しているのではないか、とも思ったりする。

リアパネルの右端にフォノ入力端子があるということは、
フロントパネルの左から右へと信号は流れていくことになる。
リアパネルの左端にフォノ入力端子の場合は、フロントパネル右から左へ、となるわけだ。

つまりこれは欧文が横書きで左から右へ、というのと、
日本語は縦書きで右から左へ、というのと、偶然だろうが一致している。

ではイギリスはどうかというと、実のところ混在している。
QUADの44はリアパネル右端にフォノ入力端子だが、
管球式時代のQUADのコントロールアンプは左にフォノ入力端子がある。
トランジスター化された33は右にある。

イギリスのプリメインアンプはどうかといえば、
オーラにしてもミュージカルフィデリティにしても日本と同じである。

となると、もしかするとフォノ入力端子がリアパネル右なのか左なのかは、
車のハンドル、車の通行と関係しているのではないか、とも思うが、はっきりしたことは何も言えない。

フォノ端子がリアパネルの左なのか、右なのかの理由はわからないものの、
フォノ端子の位置によってアンプの使い勝手に関係してくるということと、
コントロールアンプ、プリメインアンプのデザインについて語るときにも関わってくることはいえる。

Date: 6月 4th, 2012
Cate: アナログディスク再生

私にとってアナログディスク再生とは(リアパネルのこと・その1)

まだ10代の、マークレビンソンに追いつき、追いこせを目標に、
アンプの勉強をする傍らで、すぐにできることというわけで、アンプのフロントパネルのスケッチを含めて、
内部コンストラクションについてあれこれ考えていたことがある。

アンプの設計はまだできなくても内部コンストラクション、
つまり信号経路をどうするかについては紙の上ではあっても試行錯誤できる。

もう30年も前の話だから、メインとなるプログラムソースはアナログディスクであり、
それもMC型カートリッジの使用が前提としてブロックダイアグラムともども、
どうすれば微小信号を損なうことなく扱えるのかについて考えていたときに気がついたことがある。

それは日本のアンプ(プリメインアンプ、コントロールアンプともに)と
アメリカ、ヨーロッパのアンプのリアパネルの配置は反対だということである。

私が、このとき考えていたのはいかにアナログプレーヤーからの信号ケーブルを短くできるか、
そしてその信号ケーブルが、他のケーブルや電源コードから遠ざけられる、ということだった。
答(というほどのものではもないが)は、フォノ入力端子がフロントパネルからみると左端
つまりリアパネルでは右端に設けるということだ。

アナログプレーヤーでは当り前すぎることだが、トーンアームは手前からみて右側にある。
トーンアームの根元に接続される信号ケーブルは右側奥から出ている。
これは、どのアナログプレーヤーでも同じである。
だからそこから最短距離でコントロールアンプ(もしくはプリメインアンプ)のフォノ端子までもってくるには、
アナログプレーヤーの右隣にコントロールアンプ(もしくはプリメインアンプ)を置くのがいい。

そうなると必然的にリアパネルの右端にフォノ端子を設け、
カートリッジからの微小信号にもっとも悪影響をあたえる電源ケーブルはもっとも距離をとりたいから、
それに内部コンストラクション的にもフォノイコライザーアンプと電源トランスは距離をとりたいので、
電源コードはリアパネル左端にもってくることになる。

これは誰もが考えつくことだと思うし、実際にアメリカのコントロールアンプの多くはそうなっている。
イギリスのアンプもほとんどそうなっている。
マークレビンソンのLNP2もそうだし、GASのThaedraも、QUADの44もそういうリアパネルの配置だ。

なのに日本のアンプは逆にリアパネル左端にフォノ入力端子、右端に電源コードという配置だ。
つまり日本のアンプはコントロールアンプにしてもプリメインアンプにしても、
アナログプレーヤーの下(もしくは上)に設置することを前提としていることになる。

Date: 11月 30th, 2014
Cate: アナログディスク再生

アナログプレーヤーの設置・調整(その28)

アナログプレーヤーの出力ケーブルだけでなくラインケーブル、スピーカーケーブルでも同じことである。
これらのケーブルと電源コードが接近していれば、なんらかの音への影響がある。

信号ケーブルはシールドされているから大丈夫、と思っている人もいるようだが、そんなことはない。
どんなシールドであっても影響を皆無にできることはない。
確実な方法は信号ケーブルと電源コードはできるだけ距離をとることである。
特に信号レベルが極端に低いアナログプレーヤーの出力ケーブルは電源コードからできるだけ距離を確保したいし、
他の信号ケーブルとの距離もできれば確保しておきたい。

いまはデジタル機器がシステムにあることが多い。
CDプレーヤーの電源をオフにしても、
どこかにスイッチング電源を使用しているオーディオ機器があれば、
その機器の電源コードには高周波が流れているとみるべきである。
これも音への影響となってくる。

この影響に関してもシールドがあれば問題ない、ということにはならない。
シールドをあまり過信しないことである。
結局、この影響に関しても距離を確保するのがいい。

つまりアナログプレーヤーの設置は、ケーブルの引き回しを含めて考えなければならない。
電源コードの長さがあまっているからといって束ねてしまう人がいる。
その気持はわからないわけではないが、束ねてしまうことは基本的にはやめたほうがいい。

アナログプレーヤーのケーブルの引き回しには、
コントロールアンプのリアパネルの端子の配置も関係してくる。
このことについては二年ほど前に、「私にとってアナログディスク再生とは(リアパネルのこと)」で書いている。

このケーブルの引き回しに関しては、できるかぎり最初からきちんとしておいたほうがいい。